2018年秋アニソンのキーワードは「アニソンの洋楽化」!? 出口博之の「いいから黙ってアニソン聴け! in 2018秋」

2018年11月11日 10:000
2018年秋アニソンのキーワードは「アニソンの洋楽化」!? 出口博之の「いいから黙ってアニソン聴け! in 2018秋」

全国1千万人のアニメファンの皆様こんにちは! 流浪のベーシスト兼DJの出口博之です。季節の変わり目にどこからともなくやってくる、主観が過ぎるコラムこと「いいから黙ってアニソン聴け!」、2018年秋号です。

当コラムは新クールのアニメ作品すべてのオープニング曲、エンディング曲を聴き、私の主観ではありますが「今期はこれだ!」と思う10曲を選出しております。それでは早速アニメソング10曲を、と行きたいところですが、まずは2018年秋の所感を少し。

今期はいつにも増して人気作品のアニメ化、続きもの、注目度の高い製作陣が手がける作品といった、話題作、注目作が多い印象を受けました。アニメ作品の傾向としては、わざと枠から逸脱していくトリッキーなものではなく、枠からはみ出さず世界観を広げるような堅実な作りの作品が揃ったと感じました。

作品の世界観がしっかりしているので、楽曲もいわゆる「わかりやすいアニメソングらしさ」とは真逆のアプローチで作品の世界観の拡充を図っている点が、今までにはない特徴としてあげられます。

 

端的に言うと、アニメソングの洋楽化、とでも言いましょうか。私の予想では今クールは、90年代邦楽の質感に似た楽曲が多く出てくると思っていましたが、邦楽ではなく90年代の洋楽、ヒップホップやR/B、ダブ、ニュー・ジャック・スウィングといった、ある種クセの強いジャンルの楽曲が多く出てきました。さらに驚くのがアニメソングとしてもハマっているのが面白い。「ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風」や「INGRESS THE ANIMATION」などに至っては普通に洋楽。「ジョジョ」は過去にも洋楽を主題歌にしていたりするので今さら驚くこともないのですが、選曲が毎度のことながら素晴らしすぎます。

 

以上、ざっくりとした2018年秋についてでした。

これを踏まえつつ、今期アニメ作品から選んだ10曲がこちらになります!

 

・あかねさす少女

OP「ソラネタリウム/MICHI」

 

・うちのメイドがウザすぎる!

ED「ときめき☆くらいまっくす/鴨居つばめ(CV.沼倉愛美)&高梨ミーシャ(CV.白石晴香)」

 

・風が強く吹いている

ED「リセット/向井太一」

 

・からくりサーカス

ED「マリオネット/ロザリーナ」

 

・ゴールデンカムイ(第2期)

ED「時計台の鐘/eastern youth」

 

・青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない

ED「不可思議のカルテ/桜島麻衣(CV.瀬戸麻沙美)古賀朋絵(CV.東山奈央)双葉理央(CV.種﨑敦美)豊浜のどか(CV.内田真礼)梓川かえで(CV.久保ユリカ)牧之原翔子(CV.水瀬いのり)」

 

・DOUBLE DECKER! ダグ&キリル

ED「Buntline Special/ビッケブランカ」

 

・爆釣バーハンター

ED「友情ZABOOOON!!/小松未可子」

 

・火ノ丸相撲

OP「FIRE GROUND/Official髭男dism」

 

・RELEASE THE SPYCE

OP「スパッと!スパイ&スパイス/ツキカゲ(安齋由香里、沼倉愛美、藤田茜、洲崎綾、のぐちゆり、内田彩)」

 

今回はほとんどエンディング曲!

それでは、解説していきましょう。

 

先に今期の楽曲のキーワードとして「洋楽化」を挙げたので、まずはそれに則した楽曲から。

 

 

「火ノ丸相撲」の「FIRE GROUND」は、さまざまなジャンルがクロスオーバーしていますが、楽曲の土台になっているグルーヴは90年代のダンスミュージックの代表格であるニュー・ジャック・スウィングです。ニュー・ジャック・スウィングについて詳しい解説は省きますが、キング・オブ・ポップことマイケル・ジャクソンの妹、ジャネット・ジャクソンなど、90年代の楽曲のグルーヴを調べてみてください。

昨今ダンスミュージックがテンプレ化し、どの曲も似たような印象を受ける中、このアプローチはとても新鮮。めちゃくちゃカッコいい。すべてのパートに「聞いた人が思わず体を動かしてしまうリズムの隙間」があるので、ダンスミュージックとしての機能が半端ない。このような仕組みは洋楽に多く見られる音楽的な特徴です。

 

「うちのメイドがウザすぎる!」のED「ときめき☆くらいまっくす」も、90年代洋楽のテイストが入っています。

 

この楽曲の主役は何と言ってもギター。全編通して主張が強く、楽曲を引っ張っています。このような立ち位置のギターは、たとえばレニー・クラヴィッツ的でもあるし、Guns N' Rosesのスラッシュ的でもあるし、エアロスミスのジョーペリー的でもある。ロックといえばギター、ギターといえばバンドの花形。このように巨大なスタジアムが似合うギターヒーロー像は90年代に隆盛を極めます。

 

90年代以降に登場するパーティー系ロックバンドを彷彿とさせるサウンドを鳴らしているのが「DOUBLE DECKER! ダグ&キリル」のED「Buntline Special」です。

小難しいアーティスト性とは無縁で、ノリがよく、騒げて、難しくなくて、とにかく楽しさを優先するパーティーに特化したロックは90年代中盤あたりに登場し、瞬く間に世界を席巻。時期的にはミクスチャーというジャンルが作られたあたり。少し調子外れなメロディと、ザクザクしたラウドなギターリフ、シンプルなコンビネーションのリズム隊が特徴。サウンド自体はラウドなのに、程よい軽さ(チャラさ、とも言える)が聴き疲れさせない絶妙な要因となっています。

ギターリフとユニゾンしているコーラスも中毒性が高く最高。

  

次は「風が強く吹いている」のED「リセット」。


アレンジやメロディの構築の仕方、トラックの質感など、従来のアニメソングよりも音楽的な部分に重点が置かれているように感じますが、押し付けがましい部分がまったくなく、アニメ本編との相性もバッチリ。

こういったジャンルのトラックは今や「世界共通言語」と言えるくらいスタンダードなものであり、洋楽、邦楽の区分けがあまり意味をなさないジャンルになっていると思います。だからこそ、言葉の壁を超えて世界中の人に聞いてもらうことが可能なのです。

 

「青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない」のED「不可思議のカルテ」は、かわいらしくおしゃれな楽曲ですが、よく聴くと音楽的偏差値が異常に高いアレンジだとおわかりいただけると思います。


転調に次ぐ転調、複雑なコード進行にからむ浮遊感があるメロディは、今期、いや今年トップクラスのグッドメロディかもしれません。この曲を音楽的に解説するのは非常に難しいので、まだ聞いたことがない方はとりあえず聴いていただいて、その世界観に浸ってください。

 

「あかねさす少女」のOP「ソラネタリウム」。

 

誤解を恐れずに言えば、この曲は非常に重いです。ある種暴力的なビートが支配している中で、ボーカルが躍動感と鮮やかな色彩を与えているのが素晴らしい。MICHIさんの圧倒的な表現力があってこそだと思います。今までなじみのあるアニメソングとはまったく異なる楽曲ですが、逆にそれが今のアニメソングらしさ、とも言えるかも知れません。

こちらのインタビューもどうぞ! 

 

声の強さで言えば「からくりサーカス」のED「マリオネット」も素晴らしいです。

作品にリンクした歌詞、最後に明るく希望が持てる展開など、アニメ作品のエンディング曲の教科書のような楽曲。そういった部分を差し引いたとしてもいい曲。正統派にいい曲です。

特筆すべきはとにかく声。透き通ったきれいな声ではなく、どこか引っかかりのある(特定の周波数が異様に突出していると思われる)声なので、メロディの色彩がいい意味で歪になっているんです。日本人離れした感覚を有したボーカリストだと思います。

 

 

ここまでアニメソングらしい楽曲を取り上げなかったので、次は王道のアニメソング。

「RELEASE THE SPYCE」のOP「スパッと!スパイ&スパイス」

 

そう!これこれ!という声が聞こえてきそうな、最近のアニメソングらしい楽曲です。最近のアニメソングとは何か。主観ではありますが、わかりやすい合いの手がある、声優の方が全員ユニゾンで歌う、ペンタトニックを元に構成されたメロディ(リフと主メロがユニゾンする)といった要素があげられます。これはポップスにおいて非常に有効なアレンジ方法でもあるので、多くのアニメソングでも取り入れられています。この楽曲が一発で耳に入る理由は、シンプルながらも普遍性のあるアレンジの効果だと言えます。

 

続いては、要注目の夕方男子向けアニメから「爆釣バーハンター」のED「友情ZABOOOON!!」。

 

サンバ調で元気がいいアニメソング。ボーカルは小松未可子さん。楽曲製作はプロデュースチーム「Q-MHz」が担当しています。明るく楽しい楽曲ですが、ひと筋縄じゃいかないフックがしかけられているのが面白い。とにかく言葉数が多く、メロディも16分音符が詰め込まれているのでどんどん曲が展開していく。楽器の手数もそれぞれのパートの隙間を縫うような複雑さ。おもちゃ箱をひっくり返したようなにぎやかさがありますが、曲として破綻していないのが本当にすごい。めちゃくちゃいい曲。夕方のアニメは深夜アニメに比べて視聴する機会が少ない(ほとんどの人はこの時間働いている)のであまり気づかれていないですが、良曲がたくさんあります。OPの「爆釣ソウル」も必聴!

 

 

最後に、2018年秋イチオシの楽曲を選びたいと思います。

「ゴールデンカムイ」のED「時計台の鐘」!


解説するべきなのは重々承知ですが、この楽曲については何がいいとか、どの部分がすごいとか、そういったことが何も言えません。聴いていると、なぜか涙が止まらなくなる。激情の果ての諦観の境地というべきか。

歌うのは現在の音楽シーンに多大な影響を与えながら、今も最前線で走り続ける北海道が生んだ孤高のバンド・eastern youth。私も影響を受けたひとりです。

 

いかがだったでしょうか?

 

最後はアレだ、いい曲はいいんだよ!ってことで聴いてもらえたら幸いです。

2018年秋ということは、2018年のアニメはこれで終わりってことです! なんて早いんだ!

昨年はこの時期にイベントで1年を振り返る企画をやったので、できれば今年もアニメソングを振り返りたい所存。2018年から10曲選出、もしくは選出から外れたけどこの曲は推したい特集など、いろいろ考えられますね。何かできないですかね? アキバ総研さん……!

 

ひとまず、2018年はこれにて終了! お付き合いいただきましてありがとうございました。

また次回!

(文/出口博之)

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