本来のターゲットである小学生男子からはもちろん、そのストーリー性とキャラクターの魅力で、20~30代の男女からも注目度上昇中のテレビアニメ『マジンボーン』。アキバ総研2014春アニメ実力ランキングでは、1位を獲得した。
その魅力をひも解くために、企画の中心となった東映アニメーションのプロデューサー・鷲尾天さんと、アニメ制作の柱であるシリーズディレクター(監督)・宇田鋼之介さんのお2人にインタビュー。作品の秘密と、スタッフ陣の思いを、たっぷりと語っていただいた。
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始まりは「ダークヒーロー」。「ボーン」は「反逆者」!?
──『マジンボーン』という作品は、そもそもどのような企画から始まったのでしょうか?
鷲尾:『マジンボーン』は、バンダイカード事業部が展開する「データカードダス」とのタイアップアニメーションで、いわゆるメディアミックス作品です。「データカードダス」のメインターゲットは、基本的に小学校の中学年以上、3-4年生ぐらいの子どもたち。今回『マジンボーン』のアニメーションは、その少し上の、中学生でも楽しめる作品を目指しましょう……という狙いがありました。アニメを観た、少し年上の子どもたちをゲームに取り込むことで、本来のファン層の子どもたちにもゲームのかっこよさに注目してほしいというのが、バンダイさんの狙いです。企画が出たのは3年以上前。アニメーションをうち(東映アニメーション)で作ることが決まった段階で、「シリーズディレクター(監督)をどなたにしましょう」という話になり、私から、テレビアニメーション『ONE PIECE』の立ち上げのときにご一緒した宇田監督ではどうかと、バンダイさんにお話ししました。
宇田:最初に「この作品の監督をしてほしい」と話があったとき、おもしろいと思いましたね。まず、特撮ものの要素が強いアニメというのに惹かれました。さらに、その段階ではストーリーがほぼなかったので、こちらでストーリーを自由に作れるというのも魅力でした。「それだったら、やってみようか」と、すごく軽い気持ちで引き受けたんですが……。そこから鷲尾プロデューサーと「じゃあ、どういう方向性で行こうか」と、2人で考え始めたときから、泥沼が始まりました(笑)。
鷲尾:どういうふうに作品のカラーを、方向性をつけるのか、延々2人で話をしましたね。それで、最初に2人で考えたのが、「ダークヒーロー」だったんですよ。たとえば「裏切り者」という言葉がキーワードになるような。
宇田:それと、自分の中でずっとやりたかったテーマのひとつに「古事記」があったので、それをベースにしたらどうだろうという話をしましたね。劇中に登場する「魔神(マジン)」とは何か、「ボーン」とは何かを考えていくと、「魔神」は神様なんですよね。神様を扱うのなら、古事記の一番始め、天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)から天地が始まり、イザナギ・イザナミが国造りを行った。そのあたりを物語に生かしたい……というアイデアがありました。
──「魔神」が神様だとすると、「ボーン」は何になりますか?
宇田:「ボーン」は神に仕えし者。キリスト教でいうところの、天使みたいなものです。そこに、さっきの「裏切り者」というキーワードが加わって、本来は神の使いである「ボーン」が神に反逆するという構図が成立するわけです。そこまで方向性を大体固めると、あとは具体的なストーリーやキャラ作りになります。シリーズ構成の羽原大介さんと一緒に、ああでもないこうでもないと、細かいところを固めながら進めていきましたね。
鷲尾:『マジンボーン』が、通常の「メディアミックス」と思われているものと、ちょっとかたちが違うのは、ゲームとアニメの双方がお互いのジャンルにきちんと入っていることです。つまり、アニメでやることをゲームシステムに反映したり、ゲームの事情によってアニメのストーリーを調整する、ということを、密にやりとりしているんです。ゲームとアニメの作業が、渾然一体となって進められていて、そのことでアニメとゲームに、より連動感がある。これは、業界でも珍しいパターンかもしれません。
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