エクアたち逃がし屋の活躍はこれからも続いていく!? 「エスタブライフ グレイトエスケープ」橋本裕之監督インタビュー

2022年08月06日 11:000

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フェレスもマルテースも、結局のところ正直者なんです


── エクアの「フェイタル・ラック」という能力は、どのようにして生まれたのでしょうか?

橋本 これはお話ありきの設定ですね。高校生の女の子たちが逃がし屋をやるということで、毎回なんだかんだ言って成功することへのエクスキューズがいると思ったんです。それで生まれたのが、少し先の未来がわかる「フェイタル・ラック」でした。たとえば火事のときにドアから逃げるのと窓から逃げるのと、どちらがいいかわかるくらいの能力で、1か月先や1年先の未来が見えるわけではないんです。

── 先ほども言った通り、第10話でそれがザ・マネージャーから与えられた能力だったことがわかります。

橋本 これは最初から考えていたことではなく、うまくザ・マネージャーとつなげることができました。エクアがザ・マネージャーの演算能力を借りて未来予測をしていたということにすれば、「フェイタル・ラック」の根拠を示せますし、ザ・マネージャーがエクアたち逃がし屋の行動に期待していたことにもなるわけです。

── 謎解きもしっかりされましたが、それよりも物語のテンポをスピーディーにする効果が、「フェイタル・ラック」にはあったと思います。

橋本 エクアは「フェイタル・ラック」を信じ切っているので、一切迷いませんからね。逃がし屋のリーダーが迷っていたら、逃がされる側は気が気じゃないですよね。パッと決められる人についていきたくなるのが心情だと思います。

── 逆にエクアが熱を出した第6話「リーダー業から逃げられない」は、ほかのみんながグダグダでした。

橋本 あの話数はちょっとやり過ぎてしまったかなと。フェレス役の高橋李依さんにも言われたんです。「ちょっとポンコツすぎないですか。フェレスはもうちょっとできる子と思っていたんですけど(笑)」と。たしかに自分も、フェレスはもうちょっとできる子だと思ってました(笑)。

── フェレスは登場当初はクールなキャラかと思っていたら、どんどん人間味が出てきました。

橋本 すごい正直者ですよね(笑)。お姉さんみが強いキャラなので、マルテースのほうが人気が出るだろうなと思っていたんですけど、第5話「女神から逃げられない」くらいからどんどんかわいくなってきて、我々も「フェレスをいじめたいよね」って話してました(笑)。それにフェレスがもっとも普通の人と近い感覚なんですよね。


── フェレスだけは撃たれると死んでしまうと、賀東さんもおっしゃっていました。

橋本 そうなんです、弱いと言えば弱くて。それにフェレスは設定が盛り盛りなんです。第2話「思い出から逃げられない」で、しっかり過去も描かれていて。

── 新宿クラスタ最強の用心棒、山猫フェレスという。かっこよかったです。

橋本 エクア、フェレス、マルテースのような、三角形のままぐるぐる回っている関係性を描くのが、自分は好きなんですよね。気をつけていたのは2対1にさせないということで、エクアとフェレスがいればマルテースはいなくていいというのは違って、3人だからこそうまく収まる。ケンカするけど仲がいいというところに持っていく。


── 第11話「本心からは逃げられない」で、いったんフェレスがみんなから離れようとします。それを引き留めなかったエクアに、マルテースが怒るんですよね。

橋本 あのシーンではマルテースの覚悟を見せられたと思います。大好きなエクアに嫌われても、これだけは言わなくてはいけないと。脚本ができたとき、賀東さんが「いやあ、マルテがいい子なんですよね」と。それが面白かったですね(笑)。

── それだけ、あのシーンのマルテースはがんばっていたということですね。

橋本 それまではずっと、エクア大好きだけだったんですけど、好きにはいろいろあって、単にやさしいから好きというだけでなく、深いつながりを表現できたと思います。あのシーンはやってよかったなと思いますね。

── あれがあったから、エクアとフェレスを先に行かせて、自分は追っ手と戦うという最終話のマルテースの選択に説得力が生まれたと思います。

橋本 うまくつなげられたと思います。たしかにフェレスがいなければマルテースはエクアを独占できるんですけど、自分にはできないエクアとの付き合い方をフェレスがしているのもわかっているし、フェレスがいるからこそ出てくるエクアの魅力があることもわかっている。それに結局、マルテースはフェレスが嫌いなわけではないんです。

── フェレスもマルテースも、心の中で思っていることと言動が逆になることがあって、それが人間味を感じさせました。

橋本 人間ってそういうものですよね。相手や場所が変わると言うことが変わって。ところがエクアだけは、常に嘘や偽りがない。だから、2人はエクアに対して頭が上がらないんです。そういう意味では、結局のところ3人とも正直者だったなと思います。

── 逃がし屋にはアルガとウルラという男性陣もいます。この2人についてはいかがですか?

橋本 大人がチームにいないと、逃がし屋の仕事がしっくり来ないなと。これは自分よりも賀東さんに、その思いが強かったと思います。でも、リアルな大人の男性がいて、そいつがエクアたちと仲よくしているのは、ちょっとイヤだなと。それでロボット(アルガ)と獣人(ウルラ)ということになりました。

── アルガが速水奨さん、ウルラが三木眞一郎さんと豪華キャストでした。

橋本 ウルラは「ワン」としか言わないので、オーディションに来ていただいて「ワンワン」言ってもらうのも申し訳ないので、三木さんに決め打ちさせていただいたんですけど、アルガに関してはオーディションをやりました。ベテラン声優さんをお呼びして(笑)。ぞんざいな口調でしゃべっても、いい人の感じがするというのが速水さんが一番だったので、お願いすることになりました。


── アルガのセリフは切れ味鋭くて、しかも女の子たちに遠慮がないんですよね。

橋本 アルガという輪をかき回す存在がいることで、エクアたちがまとまっていくかなと。女の子3人をまとめるためのメチャクチャな影リーダーみたいな立ち位置のキャラクターです。

── アルガはエクアのことを「お嬢」と呼ぶんですよね。これには何か設定があったのでしょうか?

橋本 エクアがひとりで逃がし屋をやっていたころに出会ったのがアルガで、初めての相棒になったんですよね。そのときのなごりなんですけど、きっかけは何だったのか、もう3年も前に作った設定なので忘れちゃいましたね(笑)。でも、エクアとアルガだけの関係性があるという意味での「お嬢」呼びだったと思います。アルガが「お嬢」と呼ぶだけで、2人にはほかの誰も立ち入れない関係性があるんだろうなって、わかりますから。

── いっぽう、マルテースはウルラのことを「ワン公」と呼んでいて、なかなか乱暴だなと思いました(笑)。

橋本 雑に扱われてますよね、ウルラ(笑)。しかも喫茶ボストークの地下倉庫にウルラ用の犬小屋(寝床)があって、布団で寝かせてもらえてないのかなと。まあ、アルガも地下倉庫で充電器につながれて寝ているわけですけど(笑)。


── あの2人はボストークに住み込みなわけですね。

橋本 エクアもボストークのビルに住んでいます。ちゃんとした部屋で。フェレスとマルテースは通ってくるという設定ですね。

── ボストークは、実に趣きのあるレトロな喫茶店でした。

橋本 昔の戦隊モノって喫茶店がメンバーのたまり場だったじゃないですか。そこでカレーを食べたりして。あの昭和の喫茶店の感じを出したいと話してました。すごいレトロだし、外から中の様子が見えないので、お客が入ってこないんですよね。それでいつも逃がし屋だけで集まっているという設定になっています。

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  • (C) SSF/エスタブライフ製作委員会

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放送日: 2022年4月6日~2022年6月22日   制作会社: ポリゴン・ピクチュアズ
キャスト: 嶺内ともみ、高橋李依、長縄まりあ、速水奨、三木眞一郎、山口勝平、高木渉、草尾毅、雨宮天、青山穣、飛田展男、中谷一博、日高里菜、西地修哉、西村知道、くじら、釘宮理恵、銀河万丈、浜田賢二、富田美憂
(C) SSF/エスタブライフ製作委員会

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上映開始日: 2024年1月5日   制作会社: ポリゴン・ピクチュアズ
キャスト: 小野友樹、上田麗奈、斉藤壮馬、内田雄馬、ゆきのさつき、倉田雅世、福山潤、置鮎龍太郎、中谷一博、大橋彩香、高橋李依、長縄まりあ、速水奨、三木眞一郎、日高里菜、山寺宏一
(C) 2024 BLOODY ESCAPE製作委員会

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