エクアたち逃がし屋の活躍はこれからも続いていく！？「エスタブライフグレイトエスケープ」橋本裕之監督インタビュー

2022年08月06日 11:000

2022春アニメ

インタビュー

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ゲームや劇場アニメにも、エクアたちが顔を出します

── ジョーク的な質問なんですけど、監督が逃がしてもらうなら、行き先はどのクラスタにしますか？

橋本　アニメに出てきたクラスタはどれもクセが強すぎるので、行きたくないなあ（笑）。まだ出てきていないクラスタを勝手に作って、そこに逃げたいですね。

── たしかにクセが強かったです。池袋が東西に分断されているとか、すごかったですね。

橋本　あれは賀東さんじゃないと出てこないアイデアですね。さすがです。僕が提案したのは、池袋だからペンギンを出そうと。ビルに住んでいて、一度も本当の海を見たことがないペンギンはどんな思いで生きてるんだろうと、そんなことから出たアイデアだったと思います。池袋は東と西でけっこう雰囲気が違うよねとか、賀東さんたちといろいろな街の話をするのが楽しかったですね。白金はいい家が建っていて、俺たちを見下ろしてるんだとか、府中をこんなふうにしちゃって、地元の人に怒られるんじゃないかとか、けっこう軽いノリで作っていってました。

── 第3話のペンギンが山口勝平さんと草尾毅さんだったり、各話のゲストキャラも多彩で、声優さんの豪華さには驚かされました。

橋本　レギュラーキャラが少ない分、ゲストの声優さんは豪華にいこうと（笑）。第9話のシロクマ女囚が久川綾さんだったり、第11話の魔法少女トイチが釘宮理恵さんだったり、第4話のパンダのプープーが飛田展男さんだったり。同じく第4話で、逃亡に成功して「ありがとう、ありがとう」と言って走って去っていくだけの役（役名：クライアント男）を高木渉さんにお願いしたり。あのキャラは当初、牛の獣人だったんですけど、新たに作れないということで、普通の人間になってしまって。その分、声はアクの強い声優さんにお願いしようとなって、高木渉さんにお願いしたんです。

── すごく気持ちの入った「ありがとう」でした（笑）。

橋本　残念だったのはコロナ禍のせいで、皆で収録できなかったことでした。エクアの嶺内さん、フェレスの高橋さん、マルテースの長縄まりあさんは、いつも3人だけの収録で、速水さんや三木さんとも一緒にしてあげられなかったんです。逆に速水さんと三木さんはずっと男2人で収録されていたので、「このアニメ、本当に女の子が出てるの？」っておっしゃってましたね（笑）。

── コロナ禍の収録ということで、仕方がないですね。では最後に全話の制作と放送を終えてのご感想をお聞かせください。

橋本　6月22日に行われた生配信の「エスタブアニメ最終回直前特番！」でも言ったんですけど、この作品は作り始めて長いんですよね。5年くらいずっと作っていて、ゲームにも関わらせていただいているので、正直まだ終わった感じがしないんです。いろいろ大変なこともあったんですけど、全12話でうまくまとめられたんじゃないかなと。この先、ゲームや劇場アニメではまた違った「エスタブライフ」が見られるはずなので、TVアニメは終始ほんわかしている感じでよかったなと思っています。

── エクアたちの活躍は、まだまだ別媒体で見られるんですよね。

橋本　そうですね。ゲームや劇場アニメにも少しずつ登場させるかという話になってきて、魅力のあるキャラクターを作れたのかなという達成感があります。最終話でエムが加わって6人になった逃がし屋も、もし可能ならまたアニメ化してみたいですね。7月からTOKYO MXほかでまた放送がスタートしましたし、配信もあり、Blu-ray BOXの発売も9月に控えています。まだ未見の方にも、ぜひ肩の力を抜いて気楽な気持ちで見ていただいて、もし毎日に疲れちゃったら「自分もこんなふうに逃げたいなあ」と思っていただけたらうれしいです（笑）。

（取材・文／鈴木隆詩）

プロフィール

はしもとひろゆき／アニメーション監督、演出家。京都府出身。「バスカッシュ！」('09)で演出デビュー。「ご注文はうさぎですか？」('14)でTVアニメ初監督を務める。主な監督作品に「魔法少女育成計画」、「ようこそ実力至上主義の教室へ」、「スロウスタート」、劇場アニメ「LAIDBACKERS-レイドバッカーズ-」など。

TVアニメ『エスタブライフ』再放送・配信情報