【インタビュー】意識したのは「ルパンチームの在り方」──シリーズ構成・村越繁が語る「ルパン三世 PART6」第2クール

2022年01月07日 12:000

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2021年に「PART1」放送開始から50周年を迎えた、テレビアニメ「ルパン三世」シリーズ。10月より放送中の「ルパン三世 PART6(以下、PART6)」には新たな強敵シャーロック・ホームズのほか、魅力的な新キャラクターが多く登場し、アニメーション作家の押井守氏や、数多くのアニメで脚本を手がける辻真先氏、小説家の芦辺拓氏、樋口明雄氏、湊かなえ氏といった豪華な面々が脚本を担当するなど、メモリアルイヤーにふさわしい作品となっている。

2022年1月からは、いよいよ第2クールが放送開始! 第2クールでは、2014年にテレビアニメ「シドニアの騎士」で脚本家デビュー、以後シリーズ構成として「ゾンビランドサガ」、「かつて神だった獣たちへ」、「体操ザムライ」などを担当した村越繁氏が、シリーズ構成を手がける。

新たな展開を迎え、ますます面白みを増す「PART6」第2クールについて、村越氏に話をうかがった。

  



「第1クールとはまた違う、自由な物語でいい」というオーダー

――今回、脚本担当をお受けになったいきさつを教えてください。

 

村越 本当に前触れなく、ある日よくお世話になっている脚本家さんづてに、自分に「ルパン三世」新シリーズのオファーが来ているとうかがったんです。まさかの話でしたのでビックリしたのを覚えています。

長く続くシリーズですし、多くの方々が関わられてきた作品なので「なぜ自分が?」「自分がお受けしてもいいのだろうか?」という思い、迷いは当然ありました。ただ、お話を聞くと、「ルパン三世には今作第1クールやこれまでの50年で関わってきたそうそうたる面々だけでなく、これからの50年のために、あらゆるクリエイターに参加してもらいたい」、という意図があることがわかったんです。ならば精一杯がんばらせていただこう、とお引き受けしました。

 

――村越さんが一番ご覧になった「ルパン三世」シリーズは?

 

村越 「PART2」です。僕が小さい頃、夕方に再放送をやっていて。その後「ルパン三世 ルパンVS複製人間」や「ルパン三世 カリオストロの城」といった劇場版、そしてテレビアニメ「PART1」など、ファンとして楽しませていただきました。

 

――今回シリーズ構成を担当するにあたり、どのようなオーダーがあったのでしょうか?

 

村越 まず菅沼(栄治)監督やプロデューサーからは、「担当させていただく第2クールのテーマが『女』であること」、また「第1クールのテーマが『ミステリー』で、このような方々が脚本を担当し、このような物語になります」という説明をしていただきました。そのうえで「(第1クールとは)異なる、自由なストーリーにしてもらってかまわない」と言われまして。自由にできるというのはうれしくもあり、プレッシャーもありました。

 

 

往年のファンにも刺さるような演出は、プロデューサーからのアドバイス

――村越さんにとっての「第1話」にあたる、第13話(第2クール/第1話)の構成にはどんなこだわりがありましたか?

 

村越 第2クールの始まりの回、ということもありましたので、アクションシーンを多めに入れ、ここからご覧いただく人の目も引くようにインパクトを出すことを意識しました。

 

――オールドファンが思わずニヤリとしてしまうようなシーンも盛り込まれていたように感じます。

 

村越 プロデューサーさんから「こうしてみたらどう?」という言葉をいただきました。僕が「あの名シーンをオマージュしたい」と提案するのは恐れ多いので……。アドバイスをいただけたのはありがたかったです。

 

――脚本を担当するにあたり、過去の作品はご覧になりましたか?

 

村越 はい。話をいただいたとき「ちょっと、お時間いただけますか?」とお願いして、すべて観直しました。これまではあくまで「いちファン、いち視聴者」としての目線でしたので。「もう一度しっかりと観ておかないと」という使命感のようなものはありました。

 

 

日常のやり取りは「ルパン三世」シリーズの醍醐味

――物語の流れで、意識したところはありますか?

 

村越 やはり「ルパンチームの在り方」でしょうか。たとえば、かけ合いのせりふなど、“らしさ”を維持することをかなり意識しました。何気ない日常のやり取りは、その魅力が一番出る部分だと思いましたので、第13話のルパンと次元、不二子のシーンは、大変でしたがやり甲斐もありました。

 

――ルパンが作った小型ドローンや、敵対勢力が空中を飛ぶシーンは、時代を反映しているように見えました。

 

村越 敵が空中を飛ぶときのギミックは菅沼監督からのアイデアで、現代に実在するものを参考にしています。皆で資料を見ながら、そういったアイデアを吸収して脚本を作っていきました。

 

 

――第13話のラストは、一見なんの関係性もない女性が次々に登場するという、思わせぶりな演出がありました。

 

村越 あの場面もいたずらに全員を登場させたわけではありません。1人ひとり、個性的かついろいろな立場の女性たちが、今後ルパンたちとどのように関わっていくのか、楽しみにしていただきたいです。

 

 

――第2クールに関しても引き続き、オムニバスエピソードでは別の脚本家が担当する、という形式だそうですね。

 

村越 はい。ルパンファミリーをはじめとする登場人物たちが輝くようなシナリオを書いていただけるよう、みなさんにお願いしました。こちらから「この人物のエピソードを書いていただけますか?」とお願いした方もいれば、「どの人物のエピソードを書きたいですか?」と逆にリクエストをいただくケースもありました。皆さん、バラエティ豊かなシナリオを書いてくださり、本当に頼もしかったです。

 

 

――ちなみに、村越さんのお気に入りのキャラクターは?

 

村越 「PART2」から入った頃は、石川五ェ門が好きでした。「こんなカッコいい剣士がいるのか!」と、すごく興奮しました(笑)。そのあと、渋さがたまらない次元が好きになり、いまは銭形警部です。ルパンを捕まえたいのか捕まえたくない(捕まってほしくない)のか、その微妙な心理状態にすごく共感してしまいます。「ルパン三世」シリーズの中では独特な立ち位置の人物だと思いますし、作品の大きな魅力のひとつではないかと。

 

 

――最後に、メッセージをお願いします。

 

村越 第2クールでは、ルパンがいままで抱かなかったであろう感情が描かれていると思います。各話に魅力的な女性達が出てきますし、第2クールでフィーチャーしている「ルパンの母親の謎」についても楽しみにしていただきたいです。すべて通して観ていただいた時に満足していただけるよう意識して作りましたので、ぜひ最後まで観届けていただければと思います!

(取材・文/佐伯敦史)

【番組情報】

■ルパン三世 PART6』
1クール目、日本テレビ系全国放送中!!
2クール目は、2022年1月8日(土)24:55より日本テレビ系全国放送決定!
配信:Hulu他配信サイトで配信中!
※各局の放送日時、配信サービスは 公式サイト内「ON AIR」(https://lupin-pt6.com/on-air/)にてご確認ください

原作:モンキー・パンチ 

【公式サイト】lupin-pt6.com
【公式Twitter】@lupin_anime ハッシュタグ:#ルパン6

©︎TMS・NTV

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ルパン三世 PART6

ルパン三世 PART6

放送日: 2021年10月9日~   制作会社: トムス・エンタテインメント
キャスト: 栗田貫一、大塚明夫、浪川大輔、沢城みゆき、山寺宏一、島﨑信長、津田健次郎、小原雅人、諸星すみれ
原作:モンキー・パンチ (C) TMS・NTV

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