【インタビュー】TVアニメ「海賊王女」オリジナルサウンドトラックがCD2枚組で発売。梶浦由記が、18世紀の海洋冒険活劇のための音楽を語る!

2021年12月07日 12:000
(C) Kazuto Nakazawa / Production I.G

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「vise versa」ほか4曲を、Joelleさんに歌っていただきました


── 今回のサントラには、Yuki Kajiura LIVEにも参加されているJoelleさんのボーカルをフィーチャーした曲が4曲入っています。まずはDISC1の17曲目「fight to the finish」。これも和テイストが含まれたバトル曲です。それからDISC2では、5話で遺跡を訪れたときの神秘的な曲「ruins」が、まずは1曲目に収録されています。この2曲も聴きごたえがあるんですけど、ボーカル入りのサントラで最重要曲は、DISC2の6曲目「vise versa」です。

梶浦 Joelleさんはそもそも、「vise versa」を歌っていただくためにお声がけしました。劇中でこの曲を歌っているのは誰か、というのが重要だったんですね。フェナ本人ではなく、お母さんのヘレナなんです。温かいような、でもちょっと冷たさもあるような、母性を感じさせるような、逆に感じさせないような二律背反的な深い歌声がほしくて、Joelleさんにお願いしようと。

── 「vise versa」は「逆もまた然り」という意味のラテン語なんですよね。この意味が物語の最大の謎に絡んでいくことになって。

梶浦 このタイトルは中澤監督の指定でした。でも、歌詞は私が作った造語なんです。実は監督が書かれた日本語の歌詞が最初にあって、私はそれに合わせてメロディを書いたんです。でも、日本語の歌詞のほうは劇中で歌われないことになって。

── そういう経緯があったんですね。「vise versa」が物語にとって重要な曲だとわかってから1話を見返すと、実は冒頭でフェナがメロディを口ずさんでいて、一番最初にすでに歌われていたんだと驚きました。それから、15曲目の「what she was here for」もJoelleさんのボーカルで、劇中では若いときのヘレナが口ずさんでいた曲として流れました。


梶浦 聖母のような神々しさ、やさしさのある曲で、中澤さんのメニューには「アベルの狂気を溶かしていく」と書かれていました。この曲はボーカル入りにしてほしいという指定はなくて、私が勝手に作ってしまったんです。頭のメロディから作り始めて、「これ途中から歌が入ってきたら、きれいだな」と思って。

── でもボーカル入りにして大正解というか、物語にとってすごく重要なボーカル曲になりました。

梶浦 母性があって、アベルから見たヘレナというイメージの曲だと、私は解釈しています。だから、本当のヘレナのイメージとは重なりきらないんですね。


── 「what she was here for」を越えて、16曲目以降は物語のクライマックスを彩る曲になっていきます。旅の最終目的地が見えてきて、そこに何があるか、どんなドラマが待っているかという。

梶浦 そうですね。いろいろなことを達成したり、想いを告げたり告げられたり、または想いが破れたりと、いろいろな意味でのクライマックスの曲が並んでいます。

── 最後の収録されている「the land of east」はサントラ最長の7分24秒という尺になっています。この長さから類推するに、シーン合わせ(尺合わせ)で書かれた曲だと思うのですが、いかがでしょうか?

梶浦 はい、最終話用に尺合わせで書いた曲です。もともと原型となる曲があったんですけど、最後は尺合わせにしたいということになって、この曲だけは完成した本編映像を見ながら作っていきました。絵ができるのを待って、一番最後に作った曲です。この曲の後に、実はもう1曲流れることになるんですけど、それは放送をお楽しみにしていてください。

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