※本コンテンツはアキバ総研が制作した独自コンテンツです。また本コンテンツでは掲載するECサイト等から購入実績などに基づいて手数料をいただくことがあります。
スイカに塩を振るような感覚で作った「mikamik amore」が、「謎BGM」と言われました(笑)
── 「来訪者編」のサウンドトラックCDには、サスペンスやアクションの曲がたっぷり収録されていました。曲作りをするにあたって、吉田りさこ監督や音響監督の本山哲さんとは、どのような話し合いがあったのでしょうか? 岩崎 いえ、特に何もなかったです。リーナのだめだめなシーンの曲とか、最後のバトルのための曲とか、欲しい楽曲が具体的に指定されている音楽メニューを、本山さんから送ってもらっただけですね。本山さんとは「魔法科」をずっと一緒にやって来て、最近ほかの作品も組ませていただいたので、こういうシーンでこういう音楽の使い方をする人だなというのは、ある程度、肌で感じているんです。今回はまずメニューに沿って音楽を作り、それに加えて、こういう音楽を作っておいたほうが本山さんの選曲のバリエーションが増えるだろうな、使い勝手がいいだろうなということを考慮して、勝手に曲数を増やしたりしました。
── 音楽メニューにない曲も、先を見越して作っておいたと。 岩崎 そうですね。増やした分をちゃんと使ってくれていたので、無駄じゃなかったなと。
── どういう楽曲を増やしたのでしょうか? 岩崎 バトル曲よりは日常曲ですね。本山さんは、日常シーンに細かに曲を付けるという印象が、僕の中にはあって。たとえば、「Fearful valentine」がそうです。本山さんがこういう曲を求めていたかどうかはわかりませんけど、第6話でがっつり使われていたので、ありがとうございますと(笑)。
── 七草先輩が達也に甘味いっさいなしのチョコを送るシーンで使われた曲ですね。アフリカの民族音楽みたいなリズムが入っていて、あのチョコにぴったりでした。 岩崎 ひと言で表せばナンセンスな曲ですね。あのくらいの曲のほうがあのシーンには合っていると思って。第6話はシリアスな展開は小休止という感じで、ほぼバレンタインの話だったので、ここで七草先輩のどす黒さをクローズアップしておいたほうがいいでしょうと(笑)。コミカルな意味でのキャラ立ちをしっかり拾ってあげたほうが「魔法科」の面白さが増すと思いますし、本山さんの助けになるんじゃないかなということで、こんな曲ができちゃいました。
── 学園モノの日常シーンにかかるようなタイプの曲ではないですよね。 岩崎 それはそうですよ。あの曲は七草先輩のどす黒い蠢き(うごめき)の象徴なんだから(笑)。
── なるほど、呪術的というか。 岩崎 そう、呪いです(笑)。実際のところ、あの曲はアフリカの呪術的な音楽では全然ないんですけど、七草先輩の毒のある笑顔と一緒にかかると、そういうイメージにつながりますよね。
── 最初に話題に上がった「謎BGM」こと、「mikamik amore」は、どのようにして生まれたのですか?
岩崎 本山さんのメニューにあった、リーナのポンコツなところをイメージした曲です。これも学園モノらしいやわらかな曲にしちゃうと印象に残らないから、スイカに塩をひとつまみかけるような気持ちでああいう曲にしたんですけど、視聴者のみなさんには胡椒とタバスコと塩を混ぜて大量にかけた曲のようにとらえられたのかもしれないね、わからないけど(笑)。
── インパクトが思ったよりも強かったと。 岩崎 面白がって反応してくれて、ありがとうございますと。でも、こういう曲はそれほど大変じゃなくて、サスペンスやアクションの曲のほうが圧倒的に時間がかかっているんです。