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ラストの「Dear Violet」は、私自身が作詞させていただきました
── 8曲目の「Never-ending love」は、第10話のイメージです。 石川 アンとお母さんのお話ですね。この曲は……切ない。10話が一番感動したと言ってくださるファンの方が多いですし、劇場版へとつながる話でもあって、今回のアルバムでも印象的な曲になっていると思います。愛に溢れた曲なので、お母さんの包み込む愛のような、やさしい雰囲気が出せるといいなと思って歌いました。
── 9曲目の「Light of Life」(作詞:高瀬愛虹、作曲・編曲:大和)は、第11話のイメージです。ここからTVシリーズはクライマックスに入っていくんですけど、第11話はヴァイオレットが兵士エイダンの死を見届けて、彼の最後の手紙を両親に渡しに行くという、悲しい物語でした。 石川 それを踏まえての「Light of Life」なので、私も歌詞を読んだときはつらかったです。「本当は続いてた日常を ただ… (ただ…ただ…守りたくて…)」という歌詞が心に刺さって。ずっと続いていくと思っていた日常が、ある日突然なくなってしまって、愛する人にもう会えないというのは、本当に辛く悲しいことだなと思いました。
── 歌詞はエイダンの最後の言葉と、それを受け取るヴァイオレットにフォーカスが当てられていて、それを見つめる第三者のような視点で書かれていました。本当に悲しくて切ない言葉が並んでいるんですけど、曲調はむしろ明るいんですよね。 石川 たしかにエイダンは死んでしまうんですけど、残したい想いを誰かに託すことができたという希望が最後にあって、それが曲の明るさにつながっているのかなと思いました。
── 10曲目「手紙」(作詞・作曲:島みやえい子、編曲:増田武史)は、TVシリーズ最終話のイメージです。 石川 13話でヴァイオレットがギルベルトに宛てて書いた手紙をそのまま歌にしたかのようなこの曲は、島みやえい子さんが、作品を見て、その感動の気持ちのまま勢いで作ってくださったそうです。TVシリーズの最後のヴァイオレットの気持ちがストレートに表現されています。ボーカルも収録曲の中では一番キャラソンに近いというか、この歌詞はヴァイオレットとして歌わなければと思ってレコーディングに臨んだ曲でした。
── たしかにヴァイオレットが一人称で歌っている曲だと感じました。 石川 ほかの曲はヴァイオレットらしいまっすぐさを意識しつつ、その話数の出来事を第三者的な誰かが見つめているかのように歌ったんですけど、「手紙」だけはヴァイオレット本人が歌っているというか、ヴァイオレットの手紙をそのまま歌にするという感覚で収録しました。
── 11曲目の「sister」(作詞:結城アイラ、作曲:俊龍、編曲:下川佳代)と、12曲目の「希望を捨てない人」(作詞・作曲:結城アイラ、編曲:伊藤翼)は、「ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 - 永遠と自動手記人形 -」をイメージした曲です。 石川 「sister」はイザベラとテイラーの姉妹に焦点を当てた曲です。1番がイザベラからテイラーに宛てたメッセージで、2番はテイラーの返答とイザベラへの想いが書かれていると、私は感じました。だから、自然とそれぞれの気持ちで歌ってしまい、今聴いてみると2番はちょっと幼い声になっていますね(笑)。お互いがお互いを想い合っていて、その想いが2人を照らしている。そんな曲になりました。
── 「希望を捨てない人」はいかがですか? 石川 「外伝」のすべてを俯瞰した曲で、結城さんは、姉妹のその先の物語を想像して書いたとおっしゃっていました。最初はささやくように歌って、徐々に大きく歌ってほしいと、結城さんからのディレクションがあって、広がりを意識しました。すごく希望に満ち溢れた素敵な曲なので、私としては卒業式で歌ってほしいんです(笑)。そんなふうに、誰かにずっと歌い継がれるような曲になったらいいのになと思いました。
── たしかに学校を卒業して、広い世界に踏み出していく曲にも聞こえますね。アルバムの流れの中でも、グランドフィナーレ感がありました。そして、それに続く最後の曲が石川由依さんが作詞され、「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」のサウンドトラックを手がけたEvan Callさん作曲・編曲の「Dear Violet」です。 石川 Evanさんが劇伴をアレンジして作ってくださった曲なので、「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」をずっと応援してくださっている方には、曲を聴いただけで心に刺さると思います。歌詞に関しては、斎藤プロデューサーから、「ヴァイオレットってこういう人だったよね」と語り継いでいくようなものにしたいというお言葉があって、ヴァイオレットその人について歌う、というものにしようと思いました。
── 作詞はいかがでしたか? 石川 死にそうでした(笑)。世の中の作詞家さんは本当にすごいなと。手探りの作詞だったので、とりあえず台本を全部読み返し、印象的な言葉や情景を抜き出して、ヴァイオレットとは? と思うことをノートに書いて、なんとか形にしました(笑)。作業したのはコロナの自粛期間と重なったので、ゆっくり考える時間があってよかったです。
── ほかの曲がすべて完成した後に書いた歌詞だったんですか? 石川 そうですね。12曲目までを集中してレコーディングして、その後にお時間をいただいて、「Dear Violet」を作詞しました。どんなに時間が経ってもヴァイオレットの書いた手紙を通して、彼女のことは語り継がれていく。そんな曲になりました。
── 全13曲、聴きごたえがありました。 石川 ヴァイオレットの成長を主軸にしつつ、いろいろな人の人生をオムニバスのように語っていく作品だったからこそ、作ることができたボーカルアルバムだと思います。
── YouTubeに「Letters and Doll」の全曲試聴ミュージックビデオ(MV)が公開されています。7分弱の長さで全曲の試聴ができるという大作でした。 石川 完全にプロモーション用の映像で、CDの特典にはならないのに、すごく贅沢に撮っていただきました。撮影中はどんな映像になるのか想像できなかったんですけど、完成したものを見たら、収録曲がうまくつなげられていて、ストーリー性のある映像になっていて、びっくりしました。リップシンクは少なめで、超短編の映画を見ているようなMVになったと思います。MVも含めて、すごくやりがいのある音楽制作に関わらせていただけたなと思います。
石川由依プロフィール
いしかわゆい/1989年5月30日生まれ。兵庫県出身。
2007 年にTV アニメ「ヒロイック・エイジ」のディアネイラ役で、声優デビュー。主な出演作に、「進撃の巨人」(ミカサ・アッカーマン)、「アイカツ!」(新条ひなき)、「アズールレーン」(エンタープライズ)、映画「聲の形」(佐原みよこ)など。
また、歌と朗読によるソロプロジェクト「UTA-KATA」を展開。2021年1月13日に1stアルバム「UTA-KATA 旋律集Vol.1 ~夜明けの吟遊詩人~」の CD&DVDを、Harmonic Forceからリリースする。
CDデータ
■TVアニメ「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」ボーカルアルバム「Letters and Doll ~Looking back on the memories of Violet Evergarden~」/石川由依(ヴァイオレット・エヴァーガーデン)
3,000円(税別)
レーベル:バンダイナムコアーツ/2020年10月21日発売
〈収録曲〉
01.Colored Memories
02.言葉の向こう
03.Sprout
04.Answer
05.月下の庭園で
06.beautiful sky
07.Memories
08.Never-ending love
09.Light of Life
10.手紙
11.sister
12.希望を捨てない人
13.Dear Violet
インフォメーション
●「石川由依 UTA-KATA Vol.1~夜明けの吟遊詩人~」無観客・配信公演
配信日時:2020年10月25日(日) サイトオープン 18:30 配信スタート 19:00予定
アーカイブ配信:2020年10月31日(土)23:59まで
価格:5,000円(税別)
販売期間:現在発売中。10月31日(土)22:00まで
チケット販売ページ:https://eplus.jp/sf/detail/3324020001-P0030001
※2020年初頭に行われた初のソロ音楽朗読劇「UTA-KATA Vol.1 ~夜明けの吟遊詩人~」を無観客・有料配信にて再演
(取材・文/鈴木隆詩)
(C) 暁佳奈・京都アニメーション/ヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会