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「髪飾りの天使」は、主人公マインと姉のトゥーリ、両方の視点が入った曲です
── もうひとつの表題曲「髪飾りの天使」は、どのように制作していったのでしょう? 中島 作詞・作曲を吉澤嘉代子さんにオファーするところから始まりました。こちらは原作がある作品で、主人公の姉のトゥーリを演じることが決まって、さらにエンディングテーマを歌わせていただくことになったんです。エンディングテーマは原作が持つ空気感や匂いを大事にしたいなと思って、女性の作家さんで文学的なイメージのある方がいいなと。そのときに頭に浮かんだのが吉澤さんでした。
── 吉澤さんはシンガーソングライターとして活躍している方です。どのような出会いだったんですか? 中島 きっかけは松本隆先生のデビュー47周年記念イベント「風街ガーデンであひませう2017」でした。3日間のイベントの中で吉澤さんとは同じ日に出演させていただいて、楽屋が一緒だったんです。そこで吉澤さんのたたずまいとかお話したり歌っている姿を拝見したら、文学少女という言葉がぴったりの方で。年齢は私のひとつ下なんですけど、人生を何回か繰り返してきたかのような深みを感じました。子供の頃本気で魔女になりたかったというエピソードも知って、本をテーマにした異世界ファンタジーの曲を書いていただくなら、吉澤さんなんじゃないかと思ってお願いしました。
── まさにうってつけの方だったと。 中島 それで曲ができ上がってきたとき、吉澤さんが「編曲は清竜人さんがいいと思います」とおっしゃったんです。
── アレンジャーは吉澤さんからのご指名だったんですね。 中島 そうなんです。清さんの曲に吉澤さんが参加されたことで、お2人には交流があって。清さんはアレンジだけオファーされたのは初めてだとおっしゃっていました。
── おっしゃる通りで、清竜人さんがアレンジだけを手がけたんだ、と意外に思いました。 中島 吉澤さんが直接、清さんに電話をかけて、お願いされたということです。
── メロディや歌詞の印象はいかがですか? 中島 本当に不思議な曲で、音数も言葉数も多くないし、そもそもすごく短い曲なんです。終わり方も唐突なんですけど、これで過不足ない感じがして。歌詞もメロディも、初めて聴いたときからしっくりきました。
── フルサイズを聴いたとき、あれ、終わった、と思いました。 中島 「あの終わり方には何か意味が隠されてるの?」とライブのバンドメンバーにも尋ねられて(笑)。やっぱり個性的ですよね。シンガーソングライターさんらしいなと思いますし、しゃべるように言葉がこぼれていく感じが心地よくて、自分で歌いながら作ってくださったんだろうなと想像しました。
── 歌詞も独特ですよね。 中島 主人公のマインの気持ちを内包した歌詞にというのはもちろんなんですけど、私は作品の中で姉のトゥーリを演じているので、「私」という一人称の歌詞を歌うとトゥーリをイメージされてしまうのかなとも思って、マインとトゥーリ両方の視点を含んだ歌詞にしていただきたいんです、というお願いをして。吉澤さんが、その無理難題に見事に応えてくださいました。「髪飾りの天使」はトゥーリを差していると思うんですけど、それはマインから見たトゥーリでもあり、いっぽうで歌詞に出てくる「私の天使」はトゥーリから見たマインでもあり、姉妹両方の視点を行き来しているような歌詞にしてくださいました。
── TVで初めて聴いたときは、マインの視点の曲なのかなと思いました。 中島 1番はマインが多めかもしれません。逆に2番は私の感覚ではトゥーリ多めで、最後の締めはまたマインというイメージです。どちらの視点も作品にすごくマッチしていると思います。
── 「本好きの下剋上」という作品については、どう感じていますか? 中島 異世界転生ファンタジーではありつつ、そこを飛び越えて人々の日常生活が緻密に作り込まれていると思いました。家族のシーンも多くて、マインの本に対する夢や情熱に加えて、新しい家族の一員としてどんなふうに生活していくのか、という面白さがある作品です。
── 温かなホームドラマという感じがあって、ほのぼのしますよね。 中島 「本好きの下剋上」に関しては、私は姉妹がいないので姉というものに憧れがあって、何気ない家族の日常の大切さを噛みしめています。
── エンディングの映像も絵本みたいでいいですよね。 中島 童話の挿絵みたいですよね。私の解釈ですけど、あの絵の中にはマインの家族全員のモチーフが隠されていると思います。