ミュージカル俳優、声優と大活躍の加藤和樹が、アーティストとして送るメッセージ。ニューシングル「Answer」リリース記念インタビュー

2019年03月27日 12:000

インタビュー

アーティストインタビュー

声優インタビュー

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テクニックよりも大事にしたいこと

── そしてTYPE Bには、さだまさしさんの名曲「奇跡～大きな愛のように～」のカバーが収録されています。選曲の理由は？

加藤　昨年のファンクラブライブで、リクエストされた曲をカバーするコーナーがあり、そのときに初めてこの曲を歌ったんですね。もちろん以前から知っていた曲ですが、改めて歌詞を読んだときに、こんなに聴いている人に寄り添う歌って、今の世の中にどれだけあるんだろうと。今の若い人たちに聞いてもらいたいなっていう気持ちが芽生えたんですね。こういう曲って、時代がどれだけ変わっても人の心に響く。普遍的な名曲ですよね。

── いろんな方がカバーされている名曲ですが、加藤さんならではのエッセンスというのはありますか。

加藤　「弦楽器をメインに作りたい」とオーダーをさせていただきました。その中でディレクターと、どうやって自分のスパイスを残すかを考えたときに、ストレートさだなと。余計なことをせずに、ストレートに歌う。さださんの歌を参考にしようとしたのですが、さださんは逆に結構自由に歌われているんですよね。わざと譜割をはずされたりしている。僕はあえて、ストレートに歌わせてもらいました。

── ずっと歌というものに携わっている加藤さんですが、活動を続ける中で歌に対する考え方って変わってきましたか。

加藤　お芝居として歌うことをやってきましたが、最初は、歌は歌うものだと思っていたんです。でもそうじゃないんだな。歌って届けるものなんだなと思うようになりました。

── 伝わらないと意味がない。

加藤　そうなんですよね。もちろん、盛り上がる楽曲、聞かせる楽曲などいろんなタイプの楽曲がある。それでもやっぱり、ちゃんと歌詞があって世界観があるわけで。それがどういう曲なのかということを届けなきゃいけないということを、ここ最近はすごく感じています。一時は、「歌がうまくなりたい。うまく歌わなきゃ」とばかり思っていた。こういう風に歌わなきゃって言うのにすごくとらわれていた時期があったんです。もちろん今でもうまくなりたいとは思いますが、でもうまく歌ったからってなんなんだろうとも思うんです。それよりも僕は、「すごくいい歌だったね」とか、「すごく心に染みました」と言われるほうがうれしい。でもその届く表現をしなきゃいけないためにはテクニックも必要だから、まだまだ磨かないといけないんですけどね。

── そう思うきっかけがあったんでしょうか。

加藤　やっぱりミュージカルですね。自分のアーティスト活動だけでは、そこまでは思わなかったと思います。僕もいろんな作品を見るんですけど、心に届くものと届かないものがある。自分もミュージカルで歌うとき、つい芝居にとらわれがちになるんです。役で歌うわけだから、自分の癖も抜いていかなきゃいけないし。でもそこを超越したときに、なんともいえない高揚感がすごくあるんですね。本当に心から歌えたという実感。それがわかってから、自分のライブでもより言葉、歌詞を届けなきゃと意識するようになりましたし、お客さんの顔を見て届けることもより強く意識するようになりました。