【インタビュー】三森すずこ、ニューアルバム「tone.」をリリース！ 5年の集大成とも言えるカラフルな1枚に

「アレコレ」は変化球過ぎて、逆に歌いたい！と思いました

── 華やかで、迫力ある映像でした。次の新曲は8曲目の「比翼の鳥」です。GLAYのHISASHIさんの作詞・作曲・編曲ですね。

三森　もうダメ元で曲をお願いしてみようと（笑）。そうしたら、快くOKをいただけて、こちらの予想の遥か上をいく曲を作ってくださいました。レコーディングでお会いしたときにうかがったんですけど、故郷である函館の暗くどんよりとした曇り空をイメージして、あの頃の自分のことを思い出しながら書いた曲だそうです。曇り空みたいに、自分の願いがかなわない、そういう苦しい曲です。

── でも、アップテンポでリズムが軽快なんですよね。

三森　そうなんです。でも、普段だったら裏声で歌うサビの高いところも、あえて地声で歌って、苦しさを表現してみました。


── 次は11曲目の「夢飛行」です。

三森　7月から始まる「ウルトラマンR/B（ルーブ）」のエンディングテーマで、最後にレコーディングしたできたてホヤホヤの曲です。兄弟の物語ということで「家族愛」がテーマになっていて、歌詞はウルトラマンの兄弟の妹の目線で書かれているんですけど、とてもしみじみする内容なんです。

── 「ウルトラマン」の曲とは思えないほど、日常の風景を歌った曲ですよね。

三森　私の親友が今年の秋に結婚するんですけど、その子の結婚式で、絶対にこの曲歌おうって思いながら、レコーディングしました。そうしたら、じわじわと胸が熱くなってきちゃって、なんて素敵な曲なんだろうと思って。家族愛にも友情にも恋愛にもとれる歌詞で、しみじみと幸せを感じる曲です。


── 13曲目の「SAKURA dreamers」はいかがですか？

三森　デビュー曲「会いたいよ...会いたいよ！」を作ってくださった畑亜貴さん（作詞）と太田雅友さん（作曲）に、5年目のアンサーソングとして書いていただきました。歌詞には今の私の思いが描かれていて、デビュー曲のリリースが4月だったので、それに合わせて桜の風景が出てきます。5年目はまだ私も道の途中で、ファンのみんなも一緒に、これからも歩んでいこうねというメッセージもこめられています。

── つまり5周年記念ソングということですね。

三森　はい。「これからもよろしくね」という曲です。


── そして最後に収録されているのが、みきとP作詞・作曲・編曲による「アレコレ」です。

三森　これはアルバムの中で一番の変化球です。

── ラップに挑戦した曲、と言っていいんでしょうか？

三森　どうなんでしょう。私の中ではラップというよりも語り……ですね（笑）。14曲目までが、ONの三森すずこ、ステージ上の三森すずこだとしたら、この曲はOFFになって、家に帰って眠る寸前の三森すずこです。みきとPは、別の現場で一度だけご一緒させていただいたことがあって、そのときに作品資料をくださったんです。それを聴いてから、みきとPに曲をお願いしたいなとずっと思ってて、今回やっと願いがかないました。候補曲を2曲いただいたんですけど、もう1曲はいつもの三森すずこっぽかったんです。それよりも、変化球の「アレコレ」を、むしろ歌いたいなって思いました。

── 本当に、今までにない三森さんの曲になったと思います。

三森　しかも歌詞の主人公がそれなりに働いてきた大人の女子で、共感できる内容だったんです。

── いろいろ悩みを抱えながら生きている、リアルな女性像が描かれています。

三森　「まだまだ先は長いし この辺でおやすみ」とか、私も眠ると気持ちがリセットされて、イヤなことを忘れられるタイプなので、まさにこんな感じだなって思って。「わかる、わかる」とうなずきながら歌いました。かわいい歌詞なんですけど、内容的には男子も共感できるんじゃないかなと思います。イヤなことがあった日は、「アレコレ」を聴いて眠っていただけたらいいなと。おやすみソングとして、みんなに届けたい1曲です。レコーディングでは、ブースを暗くして、眠い感じで歌いました。

── この曲は、演じているように歌っていますよね？

三森　声優をやっててよかったなと思いました。いろいろなパターンで歌ってみて、セレクトしていったんです。眠る前の私を想像しながら、いつもよりかわいさを誇張して歌っています。

── 「うんうん」とか「まぁね」とか、思わず漏れてしまった独り言みたいで。

三森　日常感あっていいですよね（笑）。

── ラップは難しくなかったですか？

三森　難しいんじゃないかなと思って、曲を何度も聴き返して練習したら、本番の頃にはかなり慣れていたのか大丈夫でした。「ここはこうやったらどうかな？」って、自分なりに工夫できたと思います。遊べるところは積極的に遊んでいます。

── 「アレコレ」にもMVがあります。

三森　部屋でパジャマで歌っているMVです。部屋の飾り付けがかわいくて、女子の憧れの部屋という感じでしたし、眠れなくてベッドの上でうたうだしている姿がいいなあと思いました。