また配信中止作品が出てしまった中国における4月新作アニメ【中国オタクのアニメ事情】

2018年06月10日 12:000
(C) 佐藤健太郎(秋田書店)/「魔法少女サイト」製作委員会

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4月も出てしまった配信中止作品、「魔法少女サイト」が配信中止に


1月の新作アニメでは、「iQIYI」で配信された「ダーリン・イン・ザ・フランキス」などの人気作品が突然の配信中止になり、中国のオタク界隈では大混乱が発生しましたが、4月の新作アニメにおいても「YOUKU」で配信されていた「魔法少女サイト」が突然の配信中止となってしまった模様です。

また「ダーリン・イン・ザ・フランキス」はその後一部修正カット版での配信再開となりましたが、「魔法少女サイト」はこの記事を書いている6月上旬時点では配信再開の動きは出ていないとのことです。
現在中国では「bilibili」「iQIYI」「YOUKU」が日本の新作アニメ配信における大手配信サービスとなっていますが、ここ1年ほどの間に、それぞれの原因は異なるものの、これらの大手サイトすべてで日本の新作アニメの配信中止という状況が発生してしまったことになります。

例によって今回も、「不可抗力的なことにより配信中止」になったとされ、具体的な理由についてはハッキリしませんが、現地では「作中のいじめの描写があまりにも過激だったからではないか」などの見方があるとのことです。
また今回の規制に関しては反発や今後への不安を覚える人がいると同時に、「規制は当然」と受け止める人もかなり目に付くなど、1月の「ダーリン・イン・ザ・フランキス」のときとは少々異なる反応となっているようです。

このあたりに関して中国のオタクな方の話によると
「中国では、自分の嫌いなタイプの作品であれば規制されても構わない、そういった作品がのさばるのは気に食わない。といった考えの人も少なくなく、そういう考え方が表に出てしまったのでは」
ということが考えられるそうです。これに加えて、
「現在の中国の動画視聴環境、誰でも好きなときに見れる環境で配信される日本の新作アニメの『過激化』を不安視する人が増えてきているのも影響しているのでは」
といった見方もできるそうです。

作品の内容に対する好き嫌いはさておき、確かに最近の中国ではテレビの機能やサービスの変化もあり、視聴者の間ではテレビ放送とネット配信の境目がどんどん縮小するなど、ネット経由の動画の視聴環境がひと昔前とは様変わりしています。
日本と比べてネットで配信される動画とリビングのテレビに流れる動画の区別も曖昧になってきているそうで、現在の中国では子どもが普通にテレビでネットの番組を見るようになってきており、日本のアニメについても、ネットの配信により「テレビで誰でもいつでも見れる」といった認識になってきているのだとか。

そして、このような中国の動画視聴環境や、それにともなう認識の変化から、ネットで配信される動画の「有害な内容」に関しては、日本よりもずいぶんと厳しくなっているそうです。これまでのように、取締りが入らないから、怒られないからと、過激な作品、問題になりそうな作品をこっそり配信するというのは難しくなってきているという話も聞こえてきます。

近頃は中国に展開される日本のコンテンツに対するゴタゴタが毎シーズン発生しているようにも思えますが、それは日本のコンテンツを取り巻く中国の環境が変化していることや、新作アニメなどの定期的に出てくる日本のコンテンツが中国のネットにおいてある種の定番の話題となってきたことも影響しているのではないかと思われます。

日本のアニメも海外で配信されるようになった時点で、日本の深夜枠的な棲み分けは不可能になりますし、現地の配信環境によって、内容およびその影響が判断されるようになってしまいます。これに加えて、現地の社会的な感覚や規制の傾向といったものが加わりますから、現在の日本のアニメを取り巻く自主規制や倫理的な判断がそのまま通じるわけではありません。


また中国における最近の日本のコンテンツに関する炎上や配信中止の案件を見ていくと、以前とは異なるラインや内容のものも少なくないうえに、現地の関係者にとっても予想外だったと思われるケースも見受けられますから、現地の判断や配慮に期待してばかりでは厳しい状況は変わらないだろうと思われます。


これまでの中国での政治的、社会的なリスクに加えて、現在の中国のネット環境なども踏まえ、改めて中国における日本のコンテンツ展開の手法やリスクを考えるべき時期になってきたのかもしれませんね。



(文/百元籠羊)



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