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横山克さんの曲は、聴いていると景色が浮かんでくるんです
── 制作にあたって、どのようなアルバムにしたいと思いましたか？ 佐々木 シングル曲やゲームの主題歌を集めると、アルバムの半分くらいの曲数はすでにあったんです。なので、あとの半分は、自分の思い通りに作りたいなと。いろいろな方に楽曲提供をお願いしつつ、私も楽曲制作に積極的に関わりました。
── 作曲や編曲は、いろいろな方が担当されていますが、作詞はほぼ佐々木さんご自身です。 佐々木 そうですね。「プラスティック・メモリーズ」関連の2曲は、林直孝さんの作詞で、「GATE OF STEINER (acoustic ver.)」は、志倉千代丸さんが書かれた日本語詞をもとに、私が英語詞を書きました。他の9曲はゲームの曲も含めて、私が作詞をしています。作曲は、共作も含めて4曲を手がけました。
── アルバムの収録曲を細かく見ていきたいと思います。まず1曲目は、デビュー曲の「Ring of Fortune」。 佐々木 やはり、この曲から始めたいなと。透明感がある曲で、歌い方も声を張るというよりはウィスパー寄りになっています。この曲は、仕掛けがある曲で、途中でピッチが変わるんですよね。それが難しくて、レコーディングは大変だった覚えがあります。バンドで、ピッチを統一してカバーしてみたことがあるんですが、すごく歌いやすかったです（笑）。
── 2曲目の「Be clear」は、ゲーム「やはりゲームでも俺の青春ラブコメはまちがっている。続」のエンディングテーマです。作曲と編曲は横山克さんで、とても軽快な曲ですね。 佐々木 横山さんの曲は、聴いていると景色が浮かんできて、歌詞が書きやすいんです。1stシングルのカップリング曲「オトニナル」から書いてくださっているんですけど、私はずっとファンです。横山さんの曲を歌えるのは、とてもうれしいです。作詞は、「俺ガイル」のラノベやアニメも全部見てから書きました。人間関係やキャラクターそれぞれの心の悩みを理解しつつ、自分自身の思いを綴っていたんですけど、製作委員会からも一発OKをいただけて、よかったなと思いました。
── 続く「Recalling」は2ndシングルで、ゲーム「この世の果てで恋を唄う少女YU-NO」のオープニングテーマです。この曲の作詞も、佐々木さんですね。 佐々木 この曲の歌詞は難産でした。「YU-NO」の世界観を理解するために、攻略本を読んだりプレイ画面を見たんですけど、完全に男性向けで（笑）。がんばって文字を読んで世界観を理解したうえで、愛の葛藤をテーマに詞を書きました。時間の流れや広大な宇宙を感じさせる歌詞になったと思います。
── 作曲は志倉千代丸さんです。楽曲の印象はいかがでしたか？ 佐々木 いつも感じることなんですけど、志倉さんの曲は歌謡曲の要素が濃くて、だからこそ、リスナーの心に刺さるんだと思います。私には作れないタイプの曲を書ける方で、すごいなと思います。
── 4曲目の「GATE OF STEINER (acoustic ver.)」も、志倉さんと組んでの曲ですね。 佐々木 「STEINS;GATE」の有名なBGMをボーカル曲にするということで、志倉さんから電話がかかってきたのが最初でした。「佐々木は、キーはどれくらい出るんだ？」と聞かれて、「この曲を歌にしようと思うだけど、歌う？」って。もちろん、歌いますとお答えしたら、「じゃあ、俺が日本語詞を書くから、それを英語詞にしてよ」と。
── 作曲・編曲が「STEINS;GATE」の音楽を担当した阿保剛さんで、作詞は、佐々木さん、志倉さん、本山清治さんの共作です。 佐々木 志倉さんの書かれた日本語詞がそもそも難しくて、それを音符に合わせて英語詞にしていくのは大変でした。歌詞の一部は日本語のままにしておいて欲しいと、志倉さんに言われたので、そこは志倉さんの言葉のままになっています。
── acoustic ver.というのは？ 佐々木 以前レコーディングしたものは、もっとギターが鳴っているロックっぽい感じだったんですが、今回のアルバムのためにアコースティックで録り直したんです。この曲と11曲目の「Prayer」は同じ日に録ったんですけど、どちらも楽器とボーカルの同時一発録りで。スタジオライブのようなレコーディングになりました。
── 5曲目の「シャンプー」は、とてもユニークな曲でした。 佐々木 アルバムの中で一番最後に出来上がった曲です。曲が揃ってきて全体が見えてきた時に、ノリがよくて、深く考えずに聴ける軽いタイプの曲がほしいなと思って。作曲の坂本秀一さんは、発注したらすぐに作ってくださって、私も歌詞を間髪入れずに書きました。ファミレスに行って、歌詞ができるまで帰らないぞ、と思って（笑）。
── カタカナや、言葉の繰り返しが多くて、トラックもやさしいので、スッと気持ちよく聴ける曲になっていると思います。雨が降ってきたのに、傘を買わずに濡れたまま、でも軽快な気持ちで歩いている歌詞ですね。 佐々木 そうですね。濡れてもいいかなって。
