『劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-』伊藤智彦監督 インタビュー スクリプトルームの室長として映画に挑む

2017年02月18日 13:000

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『ソードアート・オンライン』シリーズは2009年4月に電撃文庫から刊行され、全世界発行部数が1900万部を超える人気小説だ。2012年にTVアニメがスタート。2017年2月18日にはシリーズ初の劇場アニメ『劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-』が公開される。アキバ総研ではロードショーを直前に控えた伊藤智彦監督に、約1年ぶり3回目のインタビューを行った。本作の制作秘話はもちろん、みずからが室長を務めるアニプレックスのスクリプトルームや映画についての思いなど、多彩なエピソードが飛び出した。


「ポケモン GO」に感謝!?


── まずは劇場版の制作が決まった経緯について教えてください。

伊藤智彦監督(以下、伊藤) TVシリーズの2期が終わった2014年の末頃に、今後も作品を続けていこうというお話はいただいていました。そのときは何も決まっていない状態でしたが、2015年になって原作者の川原礫先生から叩き台をいくつかいただいて、「AR(拡張現実)で行きましょう」と方針を固めました。

── VR(仮想現実)ではなくARを題材にしたのはなぜでしょうか?

伊藤 物語の舞台であるゲームに大きな変化を加えたかったことが一番の理由です。VRであればプレイヤーは超人のように飛んだり跳ねたりできますが、ARでは自分の体を動かすため現実に即した動きしかできません。物理的には剣が存在しないので鍔迫り合いが描けないといった制限があったりと、プレイヤーが1対1で戦う描写をどう見せるのかは気を遣いましたね。そこを埋めるためにチームプレイをメインにするなど、工夫を凝らすことで問題点をクリアしていきました。
ただARに関しては当初、不安のほうが大きかったんですよ。これまで作中のゲームはすべてが作られたVR(仮想現実)でしたが、今回の、風景に情報を付加するAR(拡張現実)になってしまうと、どうしても技術的には後退しているようなイメージを与えてしまう。その点を懸念していました。それに企画当初はARが普及していなかったため、スタッフの皆さんにARはどういうものなのかを説明するのに苦労しました。


── 不安からのスタートが確信に変わったきっかけはありますか?

伊藤 『ポケモン GO』の大ヒットです。「《オーディナル・スケール》ってどんなゲームなの?」と聞かれても「『ポケモン GO』で戦うようなゲームです。」と言えば一発でわかってもらえるようになりました。ARが身近な存在になったことは非常にありがたかったです。『ポケモン GO』を開発したナイアンティックさんには本当に感謝しています。欲を言えば、劇場版の公開とブームが重なってくれればもっとよかったのですが……(笑)。


── 《ソードアート・オンライン》は中世ヨーロッパ、《アルヴヘイム・オンライン》はファンタジーなど、ゲームごとに異なる世界観を描いてきました。《オーディナル・スケール》の軸はなんでしょうか?

伊藤 TVシリーズとは違う毛色を出したかったので、ファンタジー要素にSFをプラスした世界観にしました。メイン以外のモブプレイヤーには、ネットゲームによく出てくるようなケモノやロボットといった種族も取り入れています。今までは人間キャラがメインでしたが、今回はもっとカオスにしたほうが面白いだろうなと思ったんです。A-1 Picturesのアニメーターに描いてもらった獣人のモブが人気で、結果的にほとんどのバトルに顔を出すことになりました。《オーディナル・スケール》の世界も奥が深くて、パンフレットには俺が知らなかったことまで書いてあってビックリしましたね。こちらもぜひ読んでいただきたいです。

── ARというギミック ゆえに実在の場所も数多く登場しています。ロケハン選びは大変だったのではないでしょうか?

伊藤 そうですね。まず前提としてバトルができるようなオープンスペースがあること、それに誰でもが知っている商業施設で、ひと目でわかるようなランドマークがあればなおよし。そこから「長い階段があれば絵作りに役立つだろう」と演出のことを考えたシチュエーションを重視して選んだり、「この建物は他作品にも登場するから同じアングルにはしないように」と注意したり……。いろいろと苦労を重ねましたが、すべてのロケを都内で済ませることができたのは幸いでしたね。ちなみに最初に登場する秋葉原UDXは、川原先生がプロット段階から指定されていたんです。『電撃文庫 秋の祭典』でもおなじみの場所ですから、ここを外すわけにはいかないだろうと考えたのでしょうか(笑)。

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  • (C) 2016 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス刊/SAO MOVIE Project

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(C) 2016 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス刊/SAO MOVIE Project

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(C) 川原礫/アスキー・メディアワークス/SAO Project

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