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エクアはいい子なんですけど、得体の知れなさがあります
── 順番が逆になりましたが、メインの女の子3人、エクア、フェレス、マルテースについてのお話をお聞かせください。 賀東 エクアは、いい子にしましょうというのが最初でした。いい子に見えて、実は……というところが一切ない、本当のいい子です。真っ直ぐな性格で、自分のことよりもみんなのことを先に考える、そんな子ですね。
── でも、どこか謎めいたところがあるんですよね。 賀東 エクアの得体の知れない感じは、橋本さんも強く意識していました。裏表がない、いい人なんですけど、どこか不安にさせるところがある、なんとなくサイコパスな感じもする、面白いキャラクターです。今後はエクアの生い立ちについても少しだけ言及している場面があります。
── フェレスはいかがですか? 賀東 フェレスは設定に苦戦することなく、自然に決まった感じですね。3人の中でもっとも常識的で、その分、ほかの2人に巻き込まれていく子です。能力的には最高の攻撃力ですが、実は逃がし屋の5人の中で、唯一、銃弾に当たって命を落とす危険があるキャラクターでもあります。あとエクアのことが大好きですね(笑)。
── エクアが大好きというのは、マルテースも同じですね。 賀東 百合っぽい三角関係です。僕はそういうのを書いたことがなかったので、今回は勉強になりました(笑)。
── スライム人間というマルテースの属性は、どのように決まっていったのでしょうか? 賀東 スライム人間という設定は、谷口さんの初期の種族案の中にあったもので、それを使いました。ただ、作画的には大変なんですよね。
── でも、第1話のアバンから、スライム人間としての特徴がしっかりと描かれていました。 賀東 頭を撃たれて、パンと弾けるシーンですね。実はあの後、「体重が5%くらい減りました。銃撃戦ダイエットです」というセリフがあったんですけど、尺の関係で削られてしまいました(笑)。
── フェレスの過去が第2話「思い出から逃げられない」でわかって、第4話「民主主義から逃げられない」がマルテース回でした。 賀東 マルテースの脳内会議が出てきた話数ですね。あの脳内会議は、最初は谷口さんの発案だったかな? 脳内でたくさんのマルテースがわちゃわちゃ話し合っているという。人の脳内をそういう描き方をした漫画があって、あれ、面白かったよねと、バカ話しながら決めたような感じでした。
── 元ネタがあったと(笑)。 賀東 これはあまり言わないほうがいいのかな(笑)。タカ派のマルテースとハト派のマルテースに分かれて議論し合うという、わかりやすい構図にしました。少数党としてノーパン党がいましたが、最初の案ではほかにもいろいろな党派があったんです。
── ノーパン党は、次の第5話「女神から逃げられない」につながっていきました。 賀東 あれはお願いして、出していただきました(笑)。第5話は、谷口さんから「とにかくくだらない話をやってほしい」と言われた話数で、それまでもけっこうくだらないことをやっていたんですけど、思いっきりくだらない話を脚本の茗荷屋甚六さんに書いていただきました。
── ある意味、すごい話数でした(笑)。マルテースに話を戻すと、彼女はエクアが大好きで、その分、フェレスには当たりが強いんですよね。 賀東 マルテースとフェレスの関係性は、橋本監督の意向でしたね。僕が最初に書いたバージョンだともうちょっと仲がいいというか、マルテがマジメなフェレスをからかっている感じだったんですけど、「マルテはもっとドライに、突き放した感じで」と。
── 三角関係をより際立たせたと。女の子を描くうえでの、そういう巧みさは橋本監督ならではという感じですね。 賀東 女の子がメインの作品が多いから、女性描写がうまいという印象があるかもしれませんが、橋本監督は男女関係なく、人間描写が巧みだと思います。キャラクターの心情や成り立ちについて熟考して、1人ひとりに寄り添って描く方です。