【インタビュー】ナノがベストアルバム「I」をリリース。タイトル通り、究極のパーソナルが詰まった作品に！

1周回って同じ場所に立ってみたのが、新曲「INSIDE MY CORE」です

── それを越えての最新曲が「INSIDE MY CORE」ということになります。

ナノ　1周回って、勢いのあるナノらしい楽曲になりました。だから、スタート地点と似ていても同じ心境ではないんですよね。8年間の音楽活動を通して得てきたものを踏まえて、また同じ場所に立ってみたら、いったい何が見えるのか。従来のナノらしいサウンド感で、今のナノらしさを表現した曲なので、ずっとナノを聴いてきてくれたファンのみんなにとっても、懐かしいけれど新しいという曲になったんじゃないかなと思います。

── 作曲はどなたですか？

ナノ　シン・マナヒロさんという、最近よく一緒に仕事をしているクリエイターで、個人的に大好きなサウンドを作り上げてくれる方です。「INSIDE MY CORE」は不思議な曲なんですよね、WEST GROUNDの曲ではないんですけど、WEST GROUNDらしさも感じられて。おそらくシン・マナヒロさんが、今までのナノを意識して作ってくださったんだと思います。

── 作詞はナノさんです。どういうテーマで書いたのでしょうか？

ナノ　飾り気のない言葉で、自分のコアを表現しました。タマネギの皮を全部剥ぎ取って、芯しか残ってないぞという歌詞です。これも時間をかけないとたどり着くことができなかったことで、急がずに8年間やってきてよかったなと、この曲を書いて感じました。自分の意思で、自分の足でここにたどり着けた気がします。

── いい場所にたどり着けたということでしょうか？

ナノ　もともとゴールとなる場所を設定して、それに向かって活動していたわけじゃないので、その分、自分のペースで進んでこられたんだと思います。これからもゴールは定めないほうがいいのかなと。そのほうが焦ることなく進んでいけるのかなと。「INSIDE MY CORE」を作っていて、そんなふうに感じました。

── 「INSIDE MY CORE」Music Video（Shot ver.）がネットにアップされています。アニメーションを使ったMVで、これも原点回帰ですね。

ナノ　アニメーションオンリーのMVは、本当に久しぶりです。今まで作ってきたMVで、もっとも海外からのレスポンスが多かったのは「Nevereverland」なんですよね。ここから始まって、全世界の人とつながることができたので、また1周回って、アニメーションオンリーのMVを作ったというのは、すごく意義のあることだと思っています。それから今のナノをアニメーションで表現することによって、これからどうなっていくんだろう？ とリスナーの想像力を刺激する映像になったんじゃないかなと思います。


── DISC2の6曲目「ロキ」と7曲目「ECHO」はボカロ曲のカバーです。「ロキ」はみきとP、「ECHO」はCrusher-Pの曲ですね。

ナノ　ボカロから離れていた時期があったので、今だったら何をカバーしたくなるのかなと、イチから調べました。そうして出会ったのがみきとPの「ロキ」で、遊び心とか皮肉が効いた感じが楽しかったし、自分ではやったことがないジャンルの曲だったので、チャレンジしてみようと思いました。「ECHO」は外国のボカロPさんによる英語詞の曲で、ストレートにかっこいい曲なので、歌ってみたいなと。それにこの曲はカバーしてほしいというリクエストを、海外からも日本のファンの方からもたくさんいただいていたんです。

── 「ロキ」は比較的新しい曲ですよね。

ナノ　そうなんです。「ロキ」をきっかけに進化した最近のボカロを、もっともっと体験してみたくなりました。

── ラストの「magenta」は1stアルバム「nanoir」に収録されていたカバー曲で、今回新たなバージョンに生まれ変わりました。

ナノ　ナノの原点は、やっぱりここですね。「magenta」を歌ったことで世の中に出ることができたし、すべてを剥いだ後に残るナノの核は、これだと思います。これからもずっと背負っていきたい曲であり、新しいファンの方にも聴いていただきたい曲ということで、セルフカバーすることにしました。もともとは入れる予定がなかったんですけど、私からディレクターにお願いして、収録することになりました。

── 新しいアレンジの印象はいかがでしたか？

ナノ　アレンジに関してはディレクターに一任したんですけど、すごく意外なサウンド感になりました。自分にとっては挑戦したことがない曲調で、未来的な「magenta」が生まれました。まだまだ未熟な部分も含めて、今のナノとして歌えたのが、すごくよかったなと思います。常識を突き破ったアレンジなので、オリジナルのほうがよかったという反応も絶対に出てくるはずで、それはそれとして受け止めようと思っていて。とにかく、ナノのチャレンジャー精神というか、魂を届けたいと思って歌いました。

── ナノさん自身のヒストリーがあり、ボカロカバーという原点回帰があり、最新曲がありと、単なるベストに収まっていないアルバムになりましたね。

ナノ　最新のオリジナルアルバムみたいな感覚で制作することができました。新たに録音した曲は少ないんですけど、すべての曲を、今のナノのフィルターを通して新鮮な感覚で出せたと思います。ファンのみなさんの元にお届けできるのが、とても楽しみです。

── 5月からは、「I」のツアーが始まります。

ナノ　全国5都市のツアーになります。ベストアルバムのツアーではありますが、型にはめずに、こんな曲もやるのかと、いい意味で期待を裏切るような内容にしたいですね。

ナノプロフィール

アメリカ・ニューヨーク州出身。日本語と英語を使い分けるバイリンガルシンガー。
2010年よりYouTubeなどの動画サイトに、洋楽等のカバー楽曲の投稿を始め、現在までに国内外問わず多くのユーザーの支持を集める。
2012年3月、アルバム「nanoir」をリリースし、メジャーデビュー。同年5月には、1stシングル「Now or Never」（TVアニメ「ファイ・ブレイン 神のパズル」）をリリース。初のアニメタイアップ曲となる。今までに、11枚のシングルと4枚のフルアルバム、1枚のリミックスアルバムを発表。今回、初のベストアルバムのリリースとなった。

CDデータ

■BEST ALBUM 「I」


〈収録曲〉
【DISC 1】

01. Now or Never （TVアニメ『ファイ・ブレイン 神のパズル』第2シリーズオープニングテーマ）
02. No pain, No game (TVアニメ『BTOOOM!』オープニングテーマ)
03. SAVIOR OF SONG (TVアニメ『蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ-』オープニングテーマ)
04. Born to be (TVアニメ『魔法戦争』エンディングテーマ)
05. INFINITY≠ZERO (映画『幕末高校生』主題歌)
06. SABLE (TVアニメ『M3～ソノ黒キ鋼～』エンディングテーマ)
07. Bull's Eye (TVアニメ『緋弾のアリアAA』オープニングテーマ)
08. DREAMCATCHER (TVアニメ『魔法少女育成計画』エンディングテーマ)
09. MY LIBERATION(アニメ『チェインクロニクル ～ヘクセイタスの閃～』テレビ版オープニングテーマ)
10. PARAISO (アニメ『チェインクロニクル ～ヘクセイタスの閃～』イベント上映版エンディングテーマ)
11. ウツシヨノユメ (TVアニメ『かくりよの宿飯』オープニングテーマ)
12. Star light, Star bright (TVアニメ『CONCEPTION』オープニングテーマ)
13. KEMURIKUSA (TVアニメ『ケムリクサ』オープニングテーマ)

【DISC 2】

01. neophobia
02. Nevereverland (ライトノベルオリジナルBlu-rayアニメーション『アークIX』主題歌)
03. Rock on. (アニメ映画『劇場版 蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ- DC』主題歌)04. The Crossing
05. INSIDE MY CORE（新曲）
06. ロキ（カバー曲）
07. ECHO（カバー曲）
08. magenta（BEST ALBUM ver.）

インフォメーション

●ナノ BEST ALBUM TOUR 「I」

5月23日（土） 東京・SHIBUYA CLUB QUATTRO　OPEN 17:00 START 18:00
6月6日（土） 札幌・SPiCE OPEN 17:30 START 18:00
6月14日（日） 福岡・DRUM Be-1　OPEN 17:00 START 18:00
6月27日（土） 名古屋・NAGOYA CLUB QUATTRO OPEN 16:00 START 17:00
6月28日（日） 大阪・Music Club JANUS OPEN 17:00 START 17:30

※詳細は、オフィシャルサイトまで


（取材・文／鈴木隆詩）