「理系が恋に落ちたので証明してみた。 」のOP曲、「PARADOX」はバンドサウンドがカッコいい。
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来ました、私の大好物、スカ調アニソン。このジャンルのアニソンは無条件で選出している気がしますが、今回ももちろん選出。各パートの音が古すぎず新しすぎずちょうどよいストレートなサウンドなので、どの時代でも「カッコいい音」として機能する音になっています。特にベースは楽曲のジャンル感をまとめる男らしい音で、中音域を極端にカットしたドンシャリのサウンドはドライブ感が強く、楽曲に疾走感と少しの攻撃性をもたらしています。音楽のジャンルというのは基本的にはアンサンブルやアレンジによって作られますが、楽器のサウンド自体もジャンル感に大きく関わります。「このジャンルの音はこれだろ!」というお約束、いわば暗黙の了解みたいなもの。これがあるから、複合的で奇抜なアレンジの楽曲でもサウンドに一貫性があれば破綻しないのです。スカというジャンルを説明するときの例として「PARADOX」はジャンル感を伝えやすいバンドサウンドになっています。
ここからバンドサウンド続きます。「BanG Dream! 3rd Season 」のOP曲、「イニシャル」
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かなり重心の低い音像なのに、全体の印象はカラッとした疾走感と切ないメロディのバランスが気持ちいい。最近のラウドロック直系の、ザクザクした歪みで曲全体のカラーをまとめるギターの存在感が頼もしく感じます。実はドラムもかなり攻撃的な音作りになっているのも見逃せません。曲中のブレイクはギターとドラムの押し出しが強く、音が前に向かって突き抜けるように飛んでくるので、これが疾走感につながっています。複雑な曲が多い昨今、こういったストレートな勢いのある曲の強さを改めて痛感します。カッコいいです。
「ランウェイで笑って 」のOP曲、「LION」
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今期イチオシの1曲です。いい、いいぞ! みんな聞いてくれ!!と語気強めになるくらい、いい曲。かなり特徴的な歌声なのにストレートに届く芯の強さがあるので聴き疲れしないし、むしろ聴いている人の背中を後押しするよう応援歌的な側面すらある。こういった曲はバンドが得意とする方向性ですが、そこはプロデューサーの江口亮氏によるところが大きいと思います。プロデュース業のほかにも作詞家、作曲家、編曲家として日本の音楽シーンの重要なポジションで活躍されている方で、氏のバンド「Stereo Fabrication of Youth」が大好きな私としましては、こういった出会い方をすると自分の選曲眼は間違ってなかったと嬉しくなります。調べてたらまあまあでかい声が出た。本当に何度も聴きたくなる曲です。
最後は「Levius -レビウス- 」のOP曲、「wit and love」
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個人的に今期の優勝はこの曲。ここまで計算された曲だとカッコいいというのが悔しいんですが、まんまとハマってしまう自分がいる。こんなの絶対カッコいいじゃん! みんなやりたくてもやれない領域の音楽、というのが正しいかもしれません。歌っているのは「謎女」。ほぼ公式の情報が存在しないのも、先行して過剰に情報を伝播させる最近の戦略へのカウンターだろう。誰が、何を思って動かしているプロジェクトなのか。それがわからないことも含め、楽曲の方に全部巻き込んでいるのが恐ろしい。恐ろしく、いい曲。
以上、今期アニメより選出した10曲でした。
お気に入りの楽曲、作品はありましたか??
今回は曲を選ぶテーマを明確に決めなかったので、私の好みが反映されたラインアップになったと思います。
まだ見ていない作品、まだ聴いていないアニソンを手に取る一助となれば幸いです。
それでは、次回の2020年春クールにお会いしましょう。(文/出口博之)