本当はどこが凄いのか? オリジナルロボットシリーズ「30 MINUTES MISSIONS」に込められた工夫のあれこれ【ホビー業界インサイド第55回】

2020年01月30日 17:000

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内部フレームにとらわれない「Cタイプジョイント」


── デザインについてうかがいたいのですが、デザイナーの海老川兼武さんには、どのような発注をしたのでしょうか?

齊田 まず2種類の量産機というコンセプトを伝え、関節の試作品を持っていきました。「この関節を使って成り立つデザインを」とお願いしたのですが、海老川さんは「ガンダムビルドシリーズ」をはじめ、ロボットのカスタマイズには非常に理解のある方ですので、「こうしたほうがよりよくなる」と、逆に多くのご提案をいただきました。

── アルトとポルタノヴァ、どちらの機体もパーツを取り付けるための穴が各部にありますね。この穴が、デザインの障害になったりはしなかったのですか?

齊田 いえ、各部のハードポイント(穴)は、最初からデザインに織り込んでいただいたのです。肩のハードポイントは、アルトの場合は天面に空いていますが、ポルタノヴァは側面に空いています。ヒザのハードポイントはアルトでは側面、ポルタノヴァでは正面に空いています。両者をミキシングしたくなるような構造が商品の売りであることは、最初に海老川さんにお話して、ご理解いただけました。

── もうひとつ、どこで色を分けるかもデザイン的・商品的に大きなポイントだったと思うのですが?

齊田 はい、1枚のランナーに入れられる色は最大4色で、どこでパーツ分割するかは重要でした。あまり色が多すぎると、かえって組み替えてカラーリング遊びがしづらくなります。ですから、関節の色も含めて3色と制限して、デザインを進めていただきました。メインカラーは、アルトは白でポルタノヴァは緑と提案させていただき、その後、いつどんな色やパーツが出るのか、ロードマップを提示させていただきました。
今のお客様は、色の再現にこだわりがありますよね。しかし、設定画のうえでどんなにカラフルでカッコよく塗られていても、商品化の段階では色を再現するシールが必要になったりしてしまいます。お客様がシールを貼らねばならないストレスを軽減するため、あえて少ない色数で映えるようなデザインを目指したのです。

── 近接格闘用、指揮官機用などのオプションアーマーも発売されていますね。これも、最初からデザインに組み込まれていたのですか?

齊田 はい、顔・肩・胸にオプションパーツを取り付けることで、大きく印象の変わるデザインにしてほしいと、海老川さんにお願いしました。また、今回は“Cタイプジョイント”を使っています。Cタイプジョイントは内部にフレームが組んであるプラモデルとは違って、その関節部分だけパチッとはめられれば成立するシンプルな構造です。内部フレームに外装を重ねていくわけではないので、デザイン的にも自由度がアップします。
その甲斐あってか、お客様から「ブロックトイのようだ」と呼んでいただけたのはうれしかったです。関節をどこも共通にしたので、もはや人間型ではない恐竜型にカスタマイズする方までいて、遊びの幅の広さをお客様の作例を見て気づかされました。また、海老川さんは可動域にこだわってらして、新たなスイング機構などを提案していただきました。おかげさまで1,280円という低価格なのにこんなに動いて、こんなに遊べるプラモデルになりました。そのデザインラインとプレイバリューの高さは、海老川さんのデザインでなければ実現できませんでしたね。

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