サラ役・上田麗奈とはあうんの呼吸で演じられた! アニメ「イングレス」翠川誠役・中島ヨシキインタビュー

2018年10月17日 15:300

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フジテレビの世界に向けた新TVアニメ枠「+Ultra」の第1弾アニメ「イングレス」(Ingress The Animation)が10月17日よりスタートする。

本作はTVでの放送に加え、NETFLIXで全世界に配信されることが決定している。日本だけでなく世界中で同時展開する作品になるということで、いろいろな面で従来のTVアニメーションとは違う魅力が詰まった作品に仕上がっている。

原作は、同名のスマートフォン向けリアルワールドゲーム「Ingress」(イングレス)で、全世界で楽しまれている位置情報ゲームなのだが、アニメでは、その設定を生かしつつも、手に汗握るオリジナルストーリーが展開する。今回はその主人公のひとり、翠川誠(みどりかわまこと)を演じる声優の中島ヨシキさんに作品の魅力について語ってもらった。

 

ごく普通のお兄さんに見えるように

ーー中島さんが演じる翠川誠は、どんな人物ですか?

 

中島ヨシキ(以下、中島) 年齢でいうと30歳くらいなんですけど、そのわりには、そこまで大人ではないというか。幼少期のこともあって、人と接することをそもそも避けて生きてきた、ちょっと根暗な青年なんです。でも、その彼が人類の存亡をかける事件に巻き込まれていく中でどう成長していくのか、というところは注目すべき部分なのかなと思います。

 

ーー年齢感について、日本のアニメだと主人公ってもう少し若い設定が多いと思うのですが、こういう年代を演じることで意識したことはありますか?

 

中島 それはあまりなかったです。実際の年齢設定というよりは、立ちふるまいであったり見た目であったりとかをとっかかりにキャラ作り、演技プランを持っていくので。それも現場で大きくハズれていることはなかったので、そこまで気にすることはなかったです。アラサーの青年なんですけど、視聴者の方にはそうは見えないと思うので。

それと警視庁に特殊捜査官として雇われていますけど、それも望んでやっている仕事ではなかったりするし、彼は前職が裏稼業みたいなところがあるので、いわゆる正統派のヒーローが活躍する物語ではないという部分は面白いところかなと思います。誠と対象的なジャックも、無骨な軍人気質のおっさんですからね。このメインビジュアルの真ん中にサラがいるから、かろうじて日本のアニメーション感が出ていますけど、サラがいなくなったら何がなんだかわからないですよね(笑)。

 

 

ーー確かに(笑)。なぜ特殊かというところで、誠にはサイコメトリーという能力があります。それは演技するうえでも意識したところですか?

 

中島 触った瞬間にいろんなものの記憶がフラッシュバックするというのは、結構しんどいものだと思うんですけど、僕が演技する際はそのくらいのとっかかりしかなく、そこは映像が表現してくれている部分でもありました。頭の中でフラッシュバックする部分は映像が説明をしてくれているので、それをアフレコのときに見ながら、これが誠に見えている映像なんだなと思って、想像する。ただ、誠も作中で、そんなに使いたくないような、イヤな思いをしているような感じだったので、渋々というところはダメージ感のとっかかりにしていました。記憶を見終わったあとも肩で息をしていたりするので、しんどいんだろうなぁって思いながら。

 

ーー少し外画っぽい演技なのかなとも思ったのですが。

 

中島 最初にオーディション用のサンプルを収録する時、「これはたぶん吹き替えみたいな感じだと思うんです」という話はマネージャーさんとしました。登場人物自体の年齢層も高めですし、僕がやれるキャラは誠しかいなかったと思うので、自分と誠の年齢感は若干違いますけど、取り繕わず、仰々しくならないように、ちょっと生っぽく台詞を発したいなっていう気持ちは、オーディションのときから抱いていました。

 

ーーアニメと吹き替えで、明確に違ったりするのですか?

 

中島 いや、そんなことはないです。僕はどちらもやらせていただいていますけど、明確に何かが違うと意識したことはないんです。ただ「イングレス」に関しては、生身の人間に近い動きをCGで再現していて、逆に人間の動きになりすぎているところは嘘を交えて作画をされているそうなので、その間の2.5次元くらいのところにマッチするように、誠がリアルにそこら辺を歩いていそうな、ごく普通のお兄さんに見えるような息遣いは、最初からやりたいなと思っていました。

 



事務所の後輩・上田麗奈がヒロイン役でよかった

ーーヒロインのサラは、誠にとってどういう人物ですか?

 

中島 誠からすると、空から女の子が、みたいな感じなんですけど(笑)、誠にとっては運命の出会いですし、すごく可憐で清廉な女性だと思います。活発で快活な部分もあって、でも科学者としては優秀でという、いろんな要素を持った魅力的なキャラクターですよね。

 

ーーサラを演じる上田麗奈さんとのかけ合いはいかがでした?

 

中島 上田さんは事務所の後輩なんですよ。付き合いもだいぶ長く。僕が、声優になって初めてできたと言っても過言ではない後輩なんですね。養成所の頃からの付き合いで、現場が一緒になることが多かったりしたんです。彼女の初メインの作品にも出させていただいたりも。まぁ同い年なんですけど。そういうところも含めて、今回がっつり2人でメインキャラクターを演じるのは初めてだったので、共演者として楽しみでした。実際に話してみたら、手の内をお互いなんとなくわかっているという意味で、あうんの呼吸みたいなものもありましたね。

 

ーーお互い刺激し合ってできる部分もあって?

 

中島 誠は性格上後手に回りやすいし、とっさに判断できない優柔不断な部分があるんですけど、そこをサラが導いてくれたり、後押しをしてくれたりするシーンが序盤は特に多いんです。そういう意味では上田さん演じるサラに、誠より年下の女性ではあるんですけど、女性の強さみたいなものを感じる部分があって、僕もそこで彼女の演技に影響を受けていたんですけど、彼女は彼女で、テストとかが終わるごとに「今のどうでしたか?」って聞いてくるので「知らない」と言っておきました(笑)。

 

 

ーーでも、感慨深い共演になりましたね。

 

中島 もう最終話まで録り終わっているんですけど、その収録も割と早く終えてしまい、その後にも仕事が入っている状態だったんですけど、その仕事が終わったあとに、お疲れ様会みたいなものはやったりしました。あっという間に録り終わってしまったので振り返る時間にもなりましたね。感慨深いというか、長く続けていればそういう機会もあると思っていましたけど、結構こういう生っぽい作品でお芝居をさせていただいて、そのヒロインが彼女だったことは、いいことでした。

 

ーーいっぽうで、もうひとりの主人公のジャックはどうですか?

 

中島 ジャックはカッコいいんですよ! 喜山茂雄さんとは前々から親交があったので共演できて嬉しかったんですけど、明確にモデルになった人が監督たちの中にあったみたいで、そこにいけばいくほど圧倒的強者になっていくんですよね(笑)。ジャックがいれば安心だけど、敵だと恐ろしいみたいな。そういう部分で冷徹な機械みたいな、任務のために生きる傭兵として、アニメのアクションの部分を一手に担っているところはあって、このおじさんがメインキャラクターに来てカッコいいって、最近のアニメではなかなかなかったんじゃないかなと思うので、カッコいいおじさんいいな!って思いました(笑)。

 



クリエイターの職人の力を感じてもらいたい

ーー作品の物語の印象でいうと、いかがでした?

 

中島 ひと言で言うと「王道」というのは感じました。謎のヒロインがいて、特殊能力を持つ主人公がいて、彼女を守るためにオタク気質の少年がハッスルするみたいなのって、物語としても語り尽くされているような1話だったと思うんですけど、王道ということは愛されていることなので、ワクワクする部分のひとつだったなと思います。最終的な結末みたいなものは見ていただくとして、1話以降は王道だけではない部分も見えるのかなと思います。

 

ーー全編CGで作られているというところで、最初のアクションからかなりすごかったですけど、映像の驚きもありましたよね?

 

中島 そうですね。アニメのアフレコって絵コンテの状態でやることが多いんですけど、「イングレス」に関してはキャラクターたちがもう動いている状態でアテレコさせていただいていたので。それでもスタッフさんには「映像全然できてなくてやりづらいと思うんですけど……」っておっしゃっていただいたんですけど、なんならもう動きすぎなくらい動いているんですけど!みたいな感じで(笑)。

 

ーー逆に合わせるのが大変だったり、というのは聞きますからね(笑)。

 

中島 でも、アテレコというところで、台本にない部分もいっぱい動いているなと思って、息とか声とかを入れたりしましたね。あと完成したものを見ると、劇場並みのクオリティなんですよね。これが11話間違いなく続くことは保証されているので、それはこの作品の長所のひとつだなと思いましたね。

 

 

ーーCGアニメもここまで来たのだなっていうのを感じる映像でした。

 

中島 手描きアニメっていうのは不変のよさがずっとあると思うし、CGもそれ以上の時間をかけて作っている部分もあると思うので、どちらにもよさがあるんでしょうけどね。この作品でも、あまりリアルになりすぎるとアニメっぽくならないということで、あえてモーションの数を減らしたりっていう工夫もされていたり。ただただリアルに描くだけではないというか。アニメーションにこだわってる櫻木(優平)監督をはじめとしたクリエイターの皆さんの職人の力というのも感じていただきたいと思います。

 

ーー櫻木監督の印象はいかがでした? 見た目が中性的というか。

 

中島 そう! 見た目、劉天華(りゅうてんか)に似ているという(笑)。ディレクションはプロデューサーでもある石井朋彦さんが音響監督も兼ねてやってくださっていたんですけど、要所要所で、核心をついたアドバイスを監督がしてくださったので、現場にいる安心感もありましたし、一緒にお酒飲んだりもしたんですけど、めちゃくちゃ頭がいい人なんだろうなっていう印象でした。

 

 

ーーどんなアドバイスだったのですか?

 

中島 ここはどうしてこういう台詞になったのかとか、感情の流れを順序立てて教えてくれるんです。ここは2話前くらいでこうなったのが繋がってきていますとか。監督の中では全部繋がっているんだろうなって思うアドバイスをいただきました。あとアフレコ現場ではないところでは、ずっと褒めてくれるんです(笑)。

 

ーーそれはやる気になりますね(笑)。では最後に、作品の見どころを教えてください。

 

中島 オリジナルストーリーでオリジナルアニメーションではあるんですけど、原作となるゲームが大人気で、それに対するリスペクトもアニメの中では細かく散りばめられていて、ゲームをプレイされてるエージェントの方たちなら思わずニヤけてしまうような遊び心も随所に盛り込まれていると思うので、アニメはアニメとして楽しんでいただきたいんですけど、ゲームと合わせて楽しんでいただけるというのは「イングレス」の大きな魅力かなと思います。NETFLIXだと一気に見られるらしくて、僕はそれがどう受け止められるのかわからないんですけど、一度見たら一気に見たくなっちゃうんじゃないかなって思う展開なので、TVアニメのほうでも配信のほうでも、ぜひ見ていただければと思います。

 

(取材・文・撮影/塚越淳一)

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放送日: 2018年10月17日~2018年12月26日   制作会社: クラフター
キャスト: 中島ヨシキ、上田麗奈、喜山茂雄、新垣樽助、鳥海浩輔、利根健太朗、佐々木啓夫、緒方恵美
(C) 『イングレス』製作委員会

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