自分が「進撃」を生み出したと錯覚する領域に――「進撃の巨人」第3期ED収録ニューシングル「楽園への進撃」&「進撃」ライブBD発売記念Linked Horizonインタビュー!

2018年09月28日 10:000
自分が「進撃」を生み出したと錯覚する領域に――「進撃の巨人」第3期ED収録ニューシングル「楽園への進撃」&「進撃」ライブBD発売記念Linked Horizonインタビュー!

TVシリーズの1、2期のみならず、劇場版、スピンオフ作品の「進撃!巨人中学校」と、アニメ「進撃の巨人」の主題歌をすべて担当してきたLinked Horizon(以下、LH)。

2017年5月にはそれら主題歌に、「進撃の巨人」から感化されて制作した「進撃」曲6曲を加えたアルバム「進撃の軌跡」をリリース。さらにそのアルバムをライブとして表現した全国ツアー「Live Tour『進撃の軌跡』」を2017年の7月から11月まで行い、その集大成となる「凱旋公演」を今年1月に行った。

そのLHがこの秋から冬にかけて、再び“進撃”を開始する。

 

アニメ第3期「進撃の巨人」で担当したEDテーマなど全3曲の「進撃」曲を収録するマキシシングル「楽園への進撃」のリリース、「Live Tour『進撃の軌跡』総員集結 凱旋公演」をBlu-rayとして発売、そのBlu-rayを劇場版用に手を加え、発売前に全国の劇場で公開、という並々ならぬうねりは、LHファン、「進撃」ファンの心を大きく揺さぶるだろう。「進撃」という作品とLHを主宰するRevoさんとの出会いは、両ファンにとって僥倖であったが、Revoさん自身にとってもさまざまな実りをもたらした。「進撃」の中で残した数々の軌跡について彼は今何を思うのか。

 

 

積み重ねられた「進撃」が出現した瞬間

――「進撃の軌跡」ツアーでのMCにおいて、「進撃」のテーマ曲を自身が手がけなくても作品を愛しているという意図のことを発言されていました。するとアニメ第3期では今までOPに座していたLH曲が流れず、少し騒然となりました。結果としてはEDテーマの担当だと2話の放映でわかったのですが、ツアーの段階ではそれらはもう決まっていたのでしょうか?

 

Revo どうだったのかな。詳しい話はまだ決まっていなかったような気がします。

 

――では、あの発言はあくまでも自然な気持ちから出たもの?

 

Revo そうですね。大きなプロジェクトですから、みずから望まずとも外れることがあるかもしれませんし。その心構えはあるというか。素直な気持ちです(笑)。

 

――実際には、EDテーマということで「暁の鎮魂歌」ではどのように作品を表現されましたか?

 

Revo まずは、オーダーの時点から楽曲に求められているものがそもそも違うんですよね。シーズンが違ってもそうですが、今回は、疾走感を要求しているOPと棲み分けてくださいというものでした。となるとその時点でもうおのずと変わらざるを得ませんよね。

 

――テーマとしては、キャラクターのひとりであるヒストリアを据えた曲のように思えましたが。

 

Revo おっしゃる通り誰かひとりをあげるのであれば、ヒストリアだと思います。ただ本来、特定のキャラクターにフォーカスしすぎるのは違うという気持ちがありました。彼女固有のエピソードが描かれているように感じるとは思いますが、終始ヒストリア視点でもないんですよね。それがひとつの大事な要素として入っていますが、突き詰めると子供を代表する視点のようなもので。意識としては、世界のとらえ方としての無垢な視点を入れたいというものでした。世界はなぜこういう形になってしまったんだろう、という根源的かつピュアな問いですよね。もちろん、それは大人も疑問に思うでしょうし、特定のキャラクターだけが抱くものではない。なので、なぜ人は生まれたのか、何のために死んでいくのか、この「世界」とはいったい何なのか、という問いかけを始点にした楽曲でもあります。そこまでくどくはならないようにあっさりと切り上げてはいますが、みなさんが進撃の世界観について今一度考えるきっかけになってくれればいいなと思っています。

 

――第3期の台本であるとか、そういったテーマに決めた直接のきっかけはありましたか?

 

Revo 最終的にたどりついた楽曲の落としどころとしては、鎮魂歌という形だったのですが。元々自分の中にあった視点なのだと思います。ただ、LHが歌うタイミングがなかった、求められているという空気感ではなかった、ということですね。ようやくふさわしい時が来たと感じたのだと思います。「進撃」に関して言えば、それこそ創刊号から読み続けていく中で蓄積されるものがあって、それは地表から顔を出さなくても化石のように眠ったまま時を重ねているわけです。時と言っても数年くらいではありますが、そこに人類の叡智となりうるものが埋まっているかもしれないと。なので感覚としては、「そろそろあの辺の地層を掘り出して光を当てるべきじゃないか」というのが近いですかね。僕の仕事は考古学者だったんですね(笑)。

 

――(笑)。「-鎮魂歌」を聴いたとき、Revoさんの中にも「子供」というファクターも常に、かつ重要な位置で眠っているのかと感じました。Sound Horizon(以下、SH)の9th Story Concert『「Nein」~西洋骨董屋根裏堂へようこそ~』で、グッズ「薔薇のチャリティーブローチ」の売上から50%を寄付されたとき(「特定非営利活動法人 児童虐待防止全国ネットワーク」に、続いて「日本障害フォーラム 東日本大震災障害者総合支援本部」「公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン」へ)のことを思い出しました。

 

Revo 「Nein」でいえば、あれは命の物語という側面があるので子供が登場しました。ただ、その子供の前に親が当然いて、その親がどう生きるかを考えたとき、子供はひとつの要素であり選択肢となるわけです。子供を産まないという道を選ぶ人たちの話も出てきますから。なので、命や歴史がどう受け継がれていくかを考える必要がありましたし、それぞれ置かれた状況の中で懸命に生きるものたちに対する「やさしい目線」も生まれてくるんですよね。僕の中で特別「子供」に対してだけ何かあるわけではないと思います。社会的弱者やさまざまなマイノリティに対しても平等に寄り添うような眼差しがあったのは間違いないでしょうね。

 

――「楽園の進撃」は、「-鎮魂歌」が最後に入り、ほか2曲の「進撃」曲が収録されています。全体の構成についても教えていただけますか?

 

Revo シングルにEDテーマの「暁の鎮魂歌」が入ることは確定としても、それだけをCDとしてリリースするというのはLHではありえません。また、パッケージングを考えたとき、タイアップ曲だからという理由だけで1曲目に置くのはしっくり来ず、むしろ3曲目にするのが一番わかりやすいと感じました。そこで時間軸の変化を取り入れた1枚にしようと考えたんです。ただ、時間軸は朝昼夜のようにループするものなので、結局は何曲目に入れても最終的には大丈夫なのかもしれませんが。みなさんがその境地まで至ってくれる保証があるのなら(笑)。いろいろ考えて今の形になりましたが、何度も聴いてくれることを織り込んで作っていることは確かです。

 

 

「ただいま」という気持ちになれることを大切に

 ――「-鎮魂歌」以外の2曲のうち、どちらが早く完成したのでしょうか?

 

Revo いろいろと構想しつつも、先に今の楽曲の形に仕上がったのは「黄昏の楽園」だったと思います。こちらも特定のキャラクターを押し出さないという考えで構築しました。曲数が少ないと、そのキャラの要素が強くなりすぎてバランスが悪いですし、そもそも今はその時期ではないので。「進撃の軌跡」はアルバムでしたし、タイミングとしてよかったんですが、同じような方法論でマキシは作りたくありませんでした。全体を俯瞰し、今回はキャラよりも枠組みとしての世界観自体に寄り添えるものがいいと思っていました。聴いてもらう方にいろいろなキャラの要素を取り出していただければそれでよかったので。そうした中で「楽園」という要素を掘り下げていきたいという考えでした。楽園は今までも一瞬使った言葉ではありましたが。

 

――「紅蓮の座標」に登場しました。

 

Revo あらためて楽園、つまり世界にとっての理想に対する答えを問いかけてみました。原作の最新話でもまだ完全な答えが出ていないものですが、第3期はそういうものが響き始めてくるシーズンでもあるので。いびつな形の世界に対して戦う必要があっても、誰と、何と、どういう形で戦えば理想にたどり着くのかわからない、という方向に物語は進んでいます。なので、問いかけるターニングポイントとして今がいいシーズンのような気はしました。僕たちが生きる現実とリアルにリンクしてくる展開にもなってきます。何が正しいのかという問いがフィクションの領分を超えてくるというか……。(原作者の)諫山さんは多分、諫山さんなりのメッセージを込めて原作を終着させるとは思いますが、争い合う世界を解決させる何かを生み出せるのならば、それはもうノーベル平和賞レベルの話ではなく、本来ひとりの人間の領分を超えているんですよ。非常にデリケートで難しい題材に挑まれていると思います。もちろん僕が代わりに答えを出せることでもない。ただ、謎や伏線がどのようにからみ合ってどのように明かされるのか、エレンを中心としたキャラクターが動くことによって世界がどう変革されるのか、諫山さんが紅蓮の意志で走らせるペンが描く先を最後まで見届けていきたいという思いです。読み手側も心臓を捧げています。

 

――「-楽園」のボーカルを児童合唱団に据えたのは?

 

Revo 今まで「進撃」の世界観に子供が歌う曲を入れていなかったので、その要素を今回、新基軸としてしっかり入れてみたくて。そのとき、一緒に「-鎮魂歌」を歌うだけではなく、子供オンリーの曲もやってみようと考えつきました。そもそも合唱曲自体も僕のキャリアの中でもあまりなかった形なので面白さを感じたんですね。

 

――これまでも合唱団を何度か起用していますが、今回は挑戦的な気持ちがありましたか?

 

Revo 頭の中に最初あったのはもう少し簡単な曲というか、子供らしさを全面に押し出せれば、という考えでした。ただ、形にしていく中で欲張ってしまい、結果、かなり難しい表現に挑戦してもらうことになりましたが。今回お願いしたすずかけ児童合唱団は、これは僕の中では褒め言葉なんですが、上手過ぎて子供らしさが失われているということがなかった。発声的にこなれすぎていたり、年齢層が高かったりするとかっちりとした合唱になってしまいます。当然それ自体は悪いことではなく、むしろ素晴らしいことです。ただ、僕が目指しているのは表現としての世界観の追求であり、合唱自体の純然たる技術の追求ではありません。後者を求めるなら大人でもいいわけです。でも、「この楽曲は大人が歌っても意味がない」というくらいの気持ちで児童合唱を必要としました。そういうことを踏まえると、子供のあどけなさみたいなものをいい意味で残す年齢層的に下の子たちも多く在籍している合唱団で、なおかつしっかり歌える技術もある、というある意味矛盾する要素をクリアしてくれる合唱団が必要だったんですね。すずかけさんは、僕の書いた譜面による最年少の被害者だと思います(笑)。

 

――2曲目の「革命の夜に」はOPテーマを感じさせる曲で、Revoさんが作る「進撃」曲そのものでした。

 

Revo まさにその延長線上、その最先端の曲を今作りました。そこは単純にマキシとして、3曲入れる構成ならば1曲は激しい曲があった方がメリハリになりますし、LHが生み出してきたOPテーマを支持してくれてきた方々が買ったときに「あぁ、この感じも欲しかった」と思ってもらえるのではないかと。

 

――また、既存の「進撃」曲でも行っている、「紅蓮の弓矢」や「心臓を捧げよ!」のメロディが織り込まれています。そのあたりの意図というのは?

 

Revo 入れようとは思っています。偶然入ったものではないです。

 

――もちろん(笑)。

 

Revo はい(笑)。たまたま入ることもあるかもしれませんが。意図としては、今回の楽曲がこれまでの楽曲と地続きになっているというのを明示するというところですね。肌感覚でわかりやすく「これも『進撃』の曲なんだ」と伝わるように。聴く人を甘やかしすぎているかもしれませんが、長く応援している人だけが聴くとは限らないですし、前に聴いた時と期間も空くでしょう。なので、「ただいま」という気持ちになれるというのはすごく大事にしたいと思っているんです。で、毎回そう思っているとアルバムを出した時にえらいことになると(笑)。

 

――全曲つながることに(笑)。

 

Revo 「ちょっと多すぎるんじゃない?」みたいな。

 

――ただ、「革命の夜に」にはその流れを感じました。過去主題歌だけではなく、「二ヶ月後の君へ」なども含めた「進撃」曲の集大成感のような。

 

Revo それは、僕のものの作り方が常にそうだからかもしれないですね。そのときそのときのベストを考えるとおのずといつも集大成を目指してしまうところはあります。その意味では、リリースが少し空いていることはありがたいです。3か月に1枚出すとなると、そのたびに集大成というのはさすがに無理があるのではないかと(笑)。

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