※本コンテンツはアキバ総研が制作した独自コンテンツです。また本コンテンツでは掲載するECサイト等から購入実績などに基づいて手数料をいただくことがあります。
甘やかされたい願望は自分にはないので、作詞は苦労しました(笑)
── そうしてでき上がった「Bitter Sweet Harmony」は、ジャジーな曲でした。 kz 原作を読んだら、スウィングかなと思って。前にラスマス・フェイバーがビルボード東京でジャズのライブをやったとき(2012年6月9日)に、中島さんがゲストで歌われていたじゃないですか。あのときの歌がすごくよくて、ジャズっぽい曲を歌ってほしいなとずっと思ってたんです。ただ、単純にジャズをやってしまうと作品には合わないので、スウィングの要素だけを抽出して、かわいい曲にしていこうと思いました。楽曲的には大人っぽさみたいなものは極力抑えたんですけど、ボーカルで大人っぽさがミックスされているので、面白いバランスになったと思います。
中島 kzさんの曲は聴いた瞬間に「kzさんの曲だ」とわかるくらい特徴的なんです。そしてさまざまなジャンルの曲を書かれているなかで、どこを持ってきてくださるのかなと楽しみでした。まさかスウィングになるとは、正直、予想してなかったです。デモを聴いた瞬間、「わあ、めちゃイイ! 今回はかわいい系なんだ」って思いました。
kz 佐々木さんからの発注が、「軽快な感じで」みたいな抽象的な感じだったんです。「すのはら荘」の曲を普通に書いたら、やわらかめの4つ打ちになるんだろうなと思ったので、その裏をかきたかったんですね。日常系のストーリーなので有機的なサウンドにしたいなというのもあって、ジャンルの指定がないんだったら、スウィングをやっても大丈夫かなと。
中島 私も、気持ちよく裏をかかれました。「すのはら荘の管理人さん」は変わらない日常がループしているような気持ちよさがあって、「Bitter Sweet Harmony」の歩いているテンポ感がよく合うと思いますし、亜樹(主人公・椎名亜樹)がてんてこ舞いになっていたり、管理人さんと戯れているかわいい映像が目に浮かんで、とても映像的なサウンドだなと思いました。さらに、あのかわいい歌詞が乗っていて。私も、あの歌詞みたいに甘やかされたいです(笑)。
kz 歌詞は、ねこうめ先生もめっちゃ喜んでくれてました(笑)。
中島 ずっと聞いてみたかったんですけど、kzさんが女性から言われたい言葉が、あの歌詞には詰まっているということなんでしょうか?(笑)。
kz いや、ねこうめ先生とは意見が違っちゃうんですけど、僕は甘えたい願望はないんですよ。「すのはら荘」で言うと、生徒会長(雪本柚子)みたいな元気な女の子が好きなんです。自分の願望とは違うので、実は作詞は苦労しました。
中島 kzさんの願望とは違うところで書かれたんですね。
kz 中島さんは、男の子を甘やかしたいと思います?
中島 わりと甘やかしたいタイプだと思います。でも、大人のお姉さんとして年下の男の子を甘やかす歌って、今回が初めてだったんですよ。今まではどちらかというと、甘えたいとか、逆に自分ひとりでがんばって成長したいとか、大人になる途中の目線の歌が多くて、「私、こんなお姉さん目線の歌を歌っていい年齢感になってきたんだな」って思いました。ジャケット写真も、ちょっとお姉さんっぽい感じになっていると思うんですけど、あれは年下男性を誘惑する設定で撮っていただいたんです(笑)。
kz そういう設定だったんだ(笑)。
中島 恥ずかしいかなと思いながら、楽しんで撮影しました。私にもこういう一面ってあるのかもなって。今回のタイアップがあったからこそ、できた世界観でした。
kz でも、こういうタイプの女性はリアルにも絶対にどこかにいるはずだから、アニメを離れても、ちょっと変わった視点のラブソングとして聴けると思うんですよね。
中島 そうですね。私は、こんなことを誰かに言われたいなって、歌っていて思うこともありました。
kz むしろ年上に甘やかされたいと。考えてみれば、主人公とヒロインの年齢がこんなに離れている設定のアニメって、なかなかないですよね。状況設定が特殊なので、表現として出てくるものも特殊になるんだなと、「Bitter Sweet Harmony」を作りながら感じました。僕としても、今までにない曲になりましたね。
── 「Bitter Sweet Harmony」というタイトルは、どのようにして決めたんですか? kz ビターになりたい主人公の亜樹くんと、スウィートのかたまりのような管理人さんとのハーモニーの物語なのかなと。「ビタースウィートなハーモニー奏でよう」という1行目の歌詞は、作詞作業の中盤くらいに書いたんですけど、そのときにタイトルも決まりましたね。