影山ヒロノブが全部語った、アニソン界のトップランナーになるまで! デビュー40周年ベスト盤2枚同時リリース記念インタビュー!

2018年02月21日 10:000

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アニメソングの世界へ

 

──そうした中、「電撃戦隊チェンジマン」(1985)の主題歌で特撮ソング・アニソンへの道が開けるのはどのような経緯だったんでしょうか?

 

影山 ライブハウス巡りの日々の中で、突然に、でしたね。コロムビアのディレクターさんから事務所に電話があって、「お宅の影山くんに来年のスーパー戦隊の歌を歌ってもらえないか?」って。オーディションもなにもなく、いきなりですよ。特撮の歌? 子ども番組の歌なの? なんて気持ちは微塵もありませんでした。音楽業界が自分に振り向いてくれたのは何年ぶりだろう……っていう気持ちで、本当に嬉しかったですね。

アニソンの世界に呼んでもらった曲「電撃戦隊チェンジマン」の作曲者が、LAZYを東京に呼んでくれたかまやつひろしさんと同じ、元ザ・スパイダースのメンバーの大野克夫さんだったというのも不思議な縁だと思いますよ。曲も実際、自分が思ってたスーパー戦隊の主題歌とはずいぶん違った、ガンガン勢いのある感じで、自分にも似合ってたと思いますよ。

 

そこからはほぼ途切れることなく、特撮・アニメソングの世界にお世話になることになるわけです。デビューのLAZYから、ソロ、特撮・アニソン、JAM Projectの曲まで含めると、僕が歌わせてもらった曲って現状1100曲くらいになるんだそうです。その中の半分以上はコロムビアさんのアニメソングですから。ライブハウス「Shibuya eggman」でマンスリーでやってたライブのお客さんは、それまで99%が女子でしたけど、「聖闘士星矢」の「聖闘士神話 ~ソルジャー・ドリーム~」(1988)がテレビから流れ始めた頃からどんどん男の子が増え始めて、あっという間にeggmanのキャパシティを超えるようになってしまいました。その頃はまだライヴでアニソンはほとんど歌ってなかったんだけど、堀江美都子さんから「影ちゃん、ライヴでもっとアニソン歌いなさいよ。いい曲が多いんだから絶対そのほうがいいよ!」って言ってくれて。そこからオリジナル2割、アニソン8割に急に比率を逆転させたら、さらに倍々ゲームみたいにお客さんが増えて。お客さんの歓声も「キャー!」から「ウォー!」に変わりました(笑)。

 

──80年代最大のヒットになった「ドラゴンボールZ」の「CHA-LA HEAD-CHA-LA」(1989)の存在は、やはり影山さんにとっても大きいものでしょうか?

 

影山 「CHA-LA HEAD-CHA-LA」の作詞が、LAZYのデビューシングル「Hey! I Love You!」と同じ、森雪之丞さんだったっていうのも、またしても不思議な縁としか言いようがないですよね。去年の3月にかまやつさんが亡くなって、そのお別れ会のときに偶然雪之丞さんにお会いして、ずいぶん長い時間話し込みました。「海外行くとどこでも聞かれるんですけど、“CHA-LA HEAD-CHA-LA”ってどういう意味なんですか?」って尋ねたら、「最初にメロディもらったときに、“チャーラー、ヘッチャラー”ってフレーズが頭に浮んじゃったんで、ほかは全部後付けしたんだよ。意味なんかないよ」とか言われてね(笑)。この後実際に、LAZYとしてのシングル「Slow and Steady」(2017年)でも雪之丞さんに詞を書いてもらうことになりましたよ。

 

この時に雪之丞さんが、「ミッシェルさぁ、お前のことずっと気になってたんだよ。LAZY解散してから、俺、お前に何もしてあげられてないから……」とか言うんですよ。「いえいえいえ、俺たぶん、世界で一番、雪之丞さんの恩恵受けてますから! 俺の人生、“CHA-LA HEAD-CHA-LA”で決まったんですから!」って笑って返したけど、この言葉には本当に泣きそうになりましたね。実際に、この曲は世界のどこに行っても通じる、水木一郎アニキにとっての「マジンガーZ」みたいな曲になりましたから。

 

──そのお話の通り、2000年代に入ると、海外での公演も増えていきますね。

 

影山 最初は2003年にブラジルから1通のメールが来てね。どうやらギャラはないらしいんだけど、串田アキラさんと一緒に「どうする? 行ってみたいよな? 行こうか?」みたいなノリで相談して、行くことを決めました。サンパウロの空港に着いたら、早朝なのに人だかりができてて歓声が上がってる。一緒の便でどっかのサッカーチームでも帰国したのかな? と思ったら、僕たちを迎えるアニメファンのみんなだったというね。驚くやら感激するやらで。ブラジルは「巨獣特捜ジャスピオン」(日本放映1985年)と「電撃戦隊チェンジマン」がほぼ同時期に放送されたらしくて、熱狂的なファンがいるんですよ。お客さんはそんなに入ってないって言われたんだけど、行ってみたら5,000人のホールが満員だし。いざライブになると、曲のイントロが流れただけで、ワールドカップでブラジルが優勝した時みたいな、コンサートホールが揺れるくらいの大歓声。この頃はまだ、アニソン・シンガーが海外って歌うってこともほとんどなかったし、向こうの運営も素人同然だったけど、めちゃくちゃ楽しかったですね。珍道中もいいとこでしたけど(笑)。ただ、僕たちの知らない海外にも、こんなにアニソンを熱狂的に支持してくれる人がいるということを思い知りました。

 

2社同時リリースの40周年記念CD

 

──そんな影山さんのコロムビアでの足跡を記録した、「影山ヒロノブBEST カゲちゃんパック ~君と僕の大行進~」が2月14日に発売になりましたが。

 

影山 ジャケットがかわいいでしょ? コロムビアさんというと「コロちゃんパック」っていう絵本とセットになった児童向け商品があって、これがコロムビア・アニソンのひとつの「顔」でもあるんだよね。だから、そのオマージュとして「カゲちゃんパック」。さらに、以前は「コロムビア アニメ大行進」っていうアニソン・シンガーが大集合するコンサートがあったんですよ。それにちなんで「~君と僕の大行進~」という副題が付きました。ジャケットは、1960年代からあるコロムビアさんのキャラクター「コロちゃん」のコスプレを、僕自身がやってるという(笑)。そういうコンセプトで決まりました。

選曲は基本的にスタッフに作ってもらった叩き台をもとにいろいろ相談して決めました。僕自身ではたぶん、決めきれないと思うんだよね。以前のベスト盤やBOXセットを持ってる古くからのファンにも、新しいファンにも楽しんでもらえるよう、2枚組という形の中では本当にベストな選曲だと思いますよ。当時は非売品だった「あいつが正しいヤキソバン」(日清焼きそばUFO CMソング「UFO仮面ヤキソバン」より)なんかも入ってるし(笑)。あと「炎のバイオレンス」のOVA「装鬼兵M.D.ガイスト」は、日本ではあまり話題にならなかったけど、アメリカでは大人気で、今でも渡米するとM.D.ガイストについて質問されたりするんですよ。あらためて日本のアニソンファンにも聴いてもらいたい1曲ですね。

 

──いっぽう、ランティスからも「誰がカバーやねんアニソンショー」が同日に発売になりました。

 

影山 今回はコロムビアとランティスとで、表裏一体、同時進行で、それぞれに特色のあるベスト盤をまとめてもらいました。LINE LIVEで、2017年の1年間かけて「影山ヒロノブ デビュー40周年記念LINE LIVE」を配信してたんですよ。そこで毎月1曲ずつ、アニソンカバー曲をアコースティックアレンジで聴いてもらってたんだけど、それを全部まとめてアルバムにしたのが、この1枚ですね。配信時には生演奏なんですが、ちゃんとレコーディングもしていたので。1曲目の「薔薇は美しく散る」(アニメ「ベルサイユのばら」より)から、12曲目の「葛飾ラプソディー」(アニメ「こちら葛飾区亀有公園前派出所」より)までは、発表した月の順番で12か月分並んでます。

僕自身が歌いたかった曲もあれば、20~40代中心のランティスのスタッフの選曲、さらにはファンの皆さんからのリクエストも交えて、毎月相談しながら決めていきました。1曲目の「薔薇は美しく散る」に関しては、一昨年、フランスに行ってベルサイユ宮殿を歩いてるときに、なぜか不思議とこの曲が頭の中で流れ続けてたんですよ(笑)。それがきっかけで、アニソンのカバー曲シリーズを、しかもアコースティックでやりたいと思った、すべての始まりがこの曲なんです。

 

水木一郎さん、堀江美都子さん、ささきいさおさん、大杉久美子さんの曲が1曲ずつ入ってるのがわかりますか? いい子でしょ? 後輩として完璧でしょ? 僕って(笑) 。でも、ささきさんの「好敵手」(映画「さらば宇宙戦艦ヤマト」より)なんかは、JAM Projectの奥井雅美ちゃんが「これ兄さんが歌っても絶対カッコいいから、やって!」って推してくれたんだよね。それから水木アニキの「ルパン三世 愛のテーマ」(アニメ「ルパン三世(第2シリーズ)」より)や、堀江さんの「グローイング・アップ」(アニメ「私のあしながおじさん」より)は、いつも「アニソンBIG3 スーパーライブ」の舞台袖で聴いてて、しみじみいい曲だと思ってたんで。熱いだけじゃない、ダンディなアニキの歌いこなしが大好きですし。堀江さんも、アニソンを離れた「シンガー」としての実力と、その癒しの力がとんでもなく高い方なんで、そこをすくい取ってみたいと思って、この2曲は自分でやりたいと言い出しました。「裏切りの夕焼け」(アニメ「デュラララ!!」より)、「THE REAL FOLK BLUES」(アニメ「カウボーイビバップ」より)、「Get Wild」(アニメ「シティーハンター」より)、「God knows...」(アニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」より)なんかは、ランティスの若手スタッフの意見を採用しました。

【Normal Edition】と【40th Anniversary Edition】があって、後者のほうはCD3枚+BD+DVD2枚にフォトブックが付くという、これでもかってくらいテンコ盛りになってます(笑)。 Disc-3の 「Lantis Collection」は、ソロ名義で歌った曲のベストコレクションで、やっぱり40周年にふさわしい内容になってます。

 


──では最後に、この2社同時発売の2つのベスト盤を待っていたファンの皆さんに、ぜひメッセージを。

 

影山 今、自分を支えてくれているアニメソング・ファンの皆さんの中には、80年代にコロムビアでいっぱいレコーディングしていた頃のことを知らない若い方もどんどん増えてきてます。なので、「カゲちゃんパック」のほうは、「あぁ、影山はこういうふうにアニソンを積み重ねてきたのか…」というのを聴きとってほしいですね。それがストレートに伝わるCDだと思うので。

「誰がカバーやねんアニソンショー」のほうは、影山っていうと、こうなにか筋肉質 (笑) な歌ばかり連想されがちなんですけど、実はここ10年以上、月に2本ずつ必ず弾き語りのライブをやってたりもしてるんですよ。そういうアコースティックな一面を知る機会にしてもらえたら嬉しいですね。アニソンっていうのは、世代や時代を超えていい曲がたくさんあって、次の世代にもしっかり伝えるべき日本の大切な財産だと思うわけです。そういう意味でも「カバー」っていう活動の大切さもわかってもらえればありがたいですね。

 

──本日はお忙しいところ、ありがとうございました。

 

(取材・文/不破了三)



【CD情報】
■影山ヒロノブBEST カゲちゃんパック 〜君と僕の大行進〜
・発売中
・価格:3,000円(税別)

<収録内容>

・Disc1
01. CHA-LA HEAD-CHA-LA(テレビアニメ『ドラゴンボールZ』より)
02. 君はトランスフォーマー(テレビアニメ『トランスフォーマー ザ・ヘッドマスターズ』より)
03. 鳥人戦隊ジェットマン(テレビ映画『鳥人戦隊ジェットマン』より)
04. 炎のバイオレンス(OVA『装鬼兵M.D.ガイスト』より)
05. NEVER STOP チェンジマン(テレビ映画『電撃戦隊チェンジマン』より)
06. 戦士たちの休息(テレビアニメ『ダークウォーター』より)
07. 夢旅人(テレビアニメ『聖闘士星矢』より)
08. 非情のソルジャー(OVA『装鬼兵M.D.ガイスト』より)
09. 光戦隊マスクマン(テレビ映画『光戦隊マスクマン』より)
10. 僕達は天使だった(テレビアニメ『ドラゴンボールZ』より)
11. 聖闘士神話~ソルジャー・ドリーム~(テレビアニメ『聖闘士星矢』より)
12. 電撃戦隊チェンジマン(テレビ映画『電撃戦隊チェンジマン』より)
13. スターダスト ボーイズ(テレビアニメ『宇宙船サジタリウス』より)
14. WE GOTTA POWER(テレビアニメ『ドラゴンボールZ』より)
15. ダーク・ウォーター~愛すべき戦士たち~(テレビアニメ『ダークウォーター』より)
16. 愛のソルジャー(テレビ映画『光戦隊マスクマン』より)
17. ザ・ヘッドマスターズ(テレビアニメ『トランスフォーマー ザ・ヘッドマスターズ』より)
18. 夢光年(テレビアニメ『宇宙船サジタリウス』より)
19. こころはタマゴ(テレビ映画『鳥人戦隊ジェットマン』より) 20. あいつが正しいヤキソバン(日清焼きそばUFO CMソング『UFO仮面ヤキソバン』より)

・Disc2
01. 鬼神童子ZENKI(テレビアニメ『鬼神童子ZENKI』より)
02. HEATS(OVA『真ゲッターロボ 世界最後の日』より)
03. バ・ビ・ブ・ベ ビーストウォーズ(テレビアニメ『ビーストウォーズメタルス 超生命体トランスフォーマー』より)
04. 忘れかけたFairy Tale(OVA『仮面ライダーSD』より)
05. My name is カーボーイ(テレビアニメ『爆走兄弟レッツ&ゴーMAX』より)
06. パワーアップ・タートルズ(OVA『ミュータント・タートルズ 超人伝説編』より)
07. キャシャーン~風の墓標~(OVA『キャシャーン』より)
08. 戦うために生まれた戦士(オリジナルビデオ『ウルトラマンVS仮面ライダー』より)
09. いま 風の中で(テレビ映画『忍風戦隊ハリケンジャー』より)
10. GET THE WORLD(テレビアニメ『爆走兄弟レッツ&ゴーWGP』より)
11. 超鬼神ZENKI、来迎聖臨! (テレビアニメ『鬼神童子ZENKI』より)
12. 千年のソルジャー(テレビアニメ『ビーストウォーズメタルス 超生命体トランスフォーマー』より)
13. なせばなるほどロボタック(テレビ映画『テツワン探偵ロボタック』より)
14. Fighters(テレビアニメ『電脳冒険記ウェブダイバー』より)
15. 魂のエヴォリューション(テレビアニメ『ビーストウォーズメタルス 超生命体トランスフォーマー』より)
16. STAND ALONE~涸れ果てた心に~(OVA『キャシャーン』より)
17. Dokkan Beat(テレビアニメ『ドッカン! ロボ天どん』より)
18. HALLELUYAH(テレビアニメ『ビーストウォーズメタルス 超生命体トランスフォーマー』より)

■「誰がカバーやねんアニソンショー」
・発売中
・価格:40th Anniversary Edition 15,000円(税別)、Normal Edition 3,000円(税別)

<収録内容>
Disc1
※40th Anniversary Edition、Normal Edition共通


1.薔薇は美しく散る
2.裏切りの夕焼け
3.THE REAL FOLK BLUES
4.好敵手
5.カントリーロード
6.炎のたからもの
7.草原のマルコ
8.Get Wild
9.ルパン三世 愛のテーマ
10.God knows…
11.グローイング・アップ
12.葛飾ラプソディー
13.風にひとりで

Disc2
※40th Anniversary Editionのみ


1.薔薇は美しく散る(Instrumental)
2.裏切りの夕焼け(Instrumental)
3.THE REAL FOLK BLUES(Instrumental)
4.好敵手(Instrumental)
5.カントリーロード(Instrumental)
6.炎のたからもの(Instrumental)
7.草原のマルコ(Instrumental)
8.Get Wild(Instrumental)
9.ルパン三世 愛のテーマ(Instrumental)
10.God know…(Instrumental)
11.グローイング・アップ(Instrumental)
12.葛飾ラプソディー(Instrumental)

Disc3 「Lantis Collection」
※40th Anniversary Editionのみ


01.エンブレム~名も無き英雄達へ~(TVアニメ『よみがえる空 -RESCUE WINGS-』エンディング主題歌)
02.翼(PCゲーム『マブラヴ オルタネイティヴ』挿入歌)
03.Follow you ~君とともに~(TVドラマ『キューティーハニー THE LIVE』エンディングテーマ)
04.超ヒーロー伝説(TVアニメ『バクマン。』挿入歌)
05.呀 〜Tusk of Darkness〜(遊技機CR『暗黒騎士呀鎧伝』テーマソング)
06.ヨーソロー 〜星の海を越えて〜(TVアニメ『宇宙戦艦ヤマト2199』エンディング主題歌)
07.Worrier ~闇を駆ける呀~(特撮オリジナルビデオ『呀<KIBA>~暗黒騎士鎧伝~』エンディング主題歌)
08.魔戒群狼伝牙王(遊技機CR『魔戒決戦牙王』テーマソング)
09.KO・BU・SHI ~鉄拳~(遊技機『CR鉄拳』テーマソング)
10.ヒッパレ!モンスターストライク(スマートフォンアプリ『モンスターストライク』主題歌)
11.GO! IV! IT!(アニメ『ガールズ & パンツァー』タンソンミニアルバム収録)

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