※本コンテンツはアキバ総研が制作した独自コンテンツです。また本コンテンツでは掲載するECサイト等から購入実績などに基づいて手数料をいただくことがあります。
ネットゲームというテーマは国境を超える
――テンセントのWebコミック・原作もいろいろありますが、その中で本作を選んだ理由は、国境を超えた人気のある「ネットゲーム」をテーマにしているからですか?
唐 おっしゃるとおりです。原作のコンテンツを選ぶに際して、やはりゲームであれば日本と中国の人達が両方とも理解できる。おそらく全世界の皆さんにとってもわかりやすい原作ということで選ばれました。
――日本でもネットゲームものアニメの人気は高いですし、その状況もかんがみてということですね。
唐 あとテンセントさんはもともと世界最大のゲーム会社ですから(アプリの収益は世界一で、Unreal Engineで知られる米Epic Gamesの親会社)、その力がありますね。
――原作は全世界累計40億回以上も閲覧された超人気作品だそうですね。
唐 テンセントさんはまず漫画をWebに連載して、その中で人気が出たものをアニメ化する流れですね。すでに10タイトル以上をアニメ化してます(中国国内配信のみも含まれる)。基本的には人気が出た作品を優先してますね。
――原作も日本の漫画やアニメの絵柄に近くて、日本の視聴者にもなじみやすいですよね。
唐 たぶん、中国で漫画を描かれる皆さんも、小さい頃から日本の漫画を読みながら成長していますね。だから自分で描かれる絵柄も、日本風に近い人が多いと思います。ただ、日本と中国の一番大きな違いは、中国ではカラー漫画のほうが多いことです。スタイルはだいたい似ていると思いますが、色がついてるんですね。
──日本と中国で同時展開するうえで、気になるのは言葉の問題ですね。脚本などは、どういう手順で制作されているのでしょう?
唐 今回のように日本を中心で制作する場合は、(アニメの制作で使う)脚本はまず日本で作って、そのあと中国語に翻訳して監修してもらう。それで問題なければ、最初の脚本通り制作を進めます。(声優がアフレコで使う)台本も同じように、まず日本語で準備してから、ネット経由で中国に送って、向こうでセリフの調整や字幕の調整をするわけです。でも、逆のケースもありますね。中国で先に脚本を作って、その場合は中国語から日本語に翻訳して。さらにギャグ作品の場合は、笑いの部分について、脚本家の才能を持つ人にお願いしてます。たとえば、去年弊社が制作した「TO BE HERO」という作品ではワタナベシンイチさん(スタッフクレジットは「ハイパーアフロクリエイター」)に監修していただいて、中国のギャグやネタを日本向けにしていただきました。
――今作の「銀の墓守り」では中国の原作を日本のスタッフがアニメ化して、それを再び中国に持っていくわけですね。やり取りは大変でしたか?
唐 確かにアニメ制作をするうえで、互いに理解しにくいものはあります。まず原作を翻訳して日本の皆さんに見てもらう。それでも、わかってもらいにくい部分が多かったです。翻訳にしても、翻訳する人の能力には限界がありますので。その場合は、制作スタッフの中にも中国人がいますので、「これはこういう感じのもの」と直接説明してもらって、そのうえで脚本を書いていただくという。
――アニメを拝見しましたが、日中の文化の壁を感じず、違和感もほとんどありませんね。しっかり工夫されているなと思いました。
唐 でも「銀の墓守り」はそこまで(文化の差は)大きくはないと思います。もっと工夫が必要で、大変な作品もありますね。
――ときどきギョッとすることもありますね。作品の中で「課金するほど強くなります!」という趣旨の宣伝があって、確かに真実だけど日本より正直だな、と思いました(笑)。
唐 原作も、そこが他の作品と一番違うところかもしれませんね。
――主人公がお祖父さんから使い切れない遺産を継いだものの、それは「ゲーム内通貨」で、お金に替えられないという。原作のテイストそのものは、大きく変更した部分はないんでしょうか?
唐 それは記憶にある限り、特にないと思いますね。