【アニメコラム】キーワードで斬る!見るべきアニメ100 第17回「有頂天家族2」ほか

アキバ総研 | 2017年05月20日 18:00
【アニメコラム】キーワードで斬る!見るべきアニメ100 第17回「有頂天家族2」ほか

アニメファンの飲み会というのは得てして、大喜利というか連想ゲーム的なものになりがちだ。「○○には××なシーンが出てくるよな」と誰かが一言いえば、ほかの誰かが「××なシーンといえば△△を忘れちゃいけない」と返してくる。アニメとアニメはそんなふうに見えない糸で繋がれている。キーワードを手がかりに、「見るべきアニメ」をたどっていこう。


森見登美彦の同名小説をアニメ化した「有頂天家族」が放送されたのは2013年。その続編「有頂天家族 二代目の帰朝」が現在「有頂天家族2」として放送中だ。

「有頂天家族」は京都を舞台に繰り広げられる狸と人間と天狗の物語。主人公は、狸の下鴨矢三郎。今はなき父・総一郎から“阿呆の血だけ”を受け継いだ矢三郎は、その“阿呆の血のしからしむところ”に従って、さまざまな騒動に顔を突っ込むことになる。

前作で描かれたのは、狸たちの頭領・偽右衛門の座を巡る大騒動。そんな騒動を通じて、下鴨家の4兄弟と母の「2」は、天狗の赤玉先生の弟子、二代目が100年ぶりにイギリスより帰朝したことから始まる。いっぽう、赤玉先生にはもう1人弟子がいた。それは二代目が不在になって後、さらってきた美女・弁天である。弁天はいまや、老いたる赤玉先生よりも天狗らしくなり、狸界や人間界に大きな影響力を持つに至っている。この二代目と弁天の間に漂う不穏な空気が、物語を牽引していくことになる。

そして、もう1人の新キャラクター、天満屋。人間でありながら、狸をも化かす幻術の使い手である天満屋は、果たしてどんな役割をはたすことになるのか。

狸、人間、天狗を巻き込んだ大騒動が、美しく狸の家族愛へと収斂する前作と異なり、「2」は、波乱の予感をはらみながらも、表面上は静かに進行している。はたしてこの緊張感はいつ途切れるのか。その時、人間、狸、天狗たちの状況はどう変化するのか今後の展開が楽しみだ。

「有頂天家族」の狸たちは、しばしば人間の姿に化けて、何食わぬ顔で人間の間に混ざっていたりする。そんなシーンを見ていると、京都の町の裏側では、本当に狸や天狗が本当にうごめいていそうな気持ちになってくる。

というわけで、今回は「動物アニメ」を取り上げる。とはいえ「動物が出てくるアニメ」は多数ある。そこで「ペット・マスコットとして登場する作品」(たとえば「あらいぐまラスカル」)、「擬人化されて人間とほぼ変わらない生活をしている作品」(たとえば「メイプルタウン物語」)は除外した。

まず紹介するのは狸繋がりで「平成狸合戦ぽんぽこ」だ。
本作は、多摩丘陵に住むタヌキたちが、開発に抵抗するため、古来から伝わる化学(ばけがく)を駆使する姿を描いた作品。擬人化されたタヌキを登場人物にしながらも、多摩丘陵の変化を追いかけた一種の“ドキュメンタリー”として制作されているところが本作のポイントのひとつだった。

さらに「人を化かす、伝承の中のタヌキ」と「里山などに住む動物としてのタヌキ」を一体のものとして描いているところも、本作の特徴のひとつ。そのため本編でタヌキは3タイプの姿で描かれる、ひとつは「写実的なタヌキの姿」、もうひとつは一番メインとなる「信楽焼などに近い擬人化されたタヌキの姿」。そして、タヌキが「トホホ」となった時の「漫画チックな杉浦ダヌキ」がある。

タヌキというテーマを追求した唯一の作品といえる。

戦う動物――というと忘れてはいけないのが「ガンバの冒険」。児童文学の原作をTVアニメ化した作品で、アニメ史を代表する傑作のひとつだ。「ぽんぽこ」の多摩丘陵開発と同様、原作は八丈島でネズミの駆除のためにイタチを導入した、という現実の出来事にインスピレーションを受けて書かれたという。

町ネズミのガンバは、港の倉庫で助けを求めてやってきた忠太と出会う。忠太の故郷、夢見が島に住むネズミたちは、ノロイと呼ばれる巨大な白イタチのせいで絶滅の危機にひんしているという。ガンバたちは、忠太の故郷を救うために、夢見が島を目指して旅立つことになる。

漫画チックなキャラクターではあるが、ストーリーはクライマックスに向けてどんどんハードになっていく。それは、ノロイは圧倒的に恐ろしいからだ。神々しいまでの白い毛並み、赤紫の瞳。そして大きな口。イタチでしかないのにカリスマ性すら感じさせるノロイは、アニメ史上一、二を争う敵役キャラクターといえる。

未見の人にはぜひ見てもらいたい、マスターピースのひとつだ。

最後は「ぼのぼの」。同名マンガを原作に、これまで全4作のアニメが制作されている。まず最初が劇場版、次がTV第1作、3DCGによる「クモモの木のこと」、そしてTV第2作。いずれも、ラッコのぼのぼの、シマリス、アライグマという3人の友だちを中心にした、動物たちの世界が描かれている。

どの作品もそれぞれに魅力があるが、ここでは劇場版を取り上げよう。

物語は至ってシンプル。ある日、ぼのぼのたちの住む森に、見たこともないでっかい生き物がやってくるという噂が流れ、森じゅうが大騒ぎになる。ぼのぼのたちは、その「でっかい生き物」に会いにいこうとするが……という内容。

キャラクターのおもしろさと、原作の持つ哲学的な要素が見事に映像化されている。未見の人も多い作品だが、隠れた傑作なのでこちらもぜひ見てほしい。


(文/藤津亮太)


(C) 森見登美彦・幻冬舎/「有頂天家族2」製作委員会

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(C) 森見登美彦・幻冬舎/「有頂天家族2」製作委員会

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