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大切なのはハイブリッド感。洋楽をやりたいとは思わないんです
──ナノver.の3曲目は「DARE DEVIL」。こちらはゲーム「放課後ガールズトライブ」の主題歌です。 ナノ 主題歌として、ゲームの世界観と、ストーリーやキャラクターの魅力を印象づけられる曲にしようと思いました。絵柄的にはかわいいんですけど、内容的にはハード部分もあったので、そちらを重視して歌詞を書きました。「女子高生にも闇はあるんだぞ」という内容になっています(笑)。
──作品の印象とのギャップを打ち出しているという意味では、TVアニメ「魔法少女育成計画」のエンディングだった前作「DREAMCATCHER」と、作り方が似ているように思います。 ナノ 「DREAMCATCHER」は逆に、作品の暗い要素の中から、あえて明るい部分をピックアップした曲でした。あえて逆をいく、という意味では、確かにこの2曲は共通していて、自分はそういう作り方が好きなんだと思います。
──曲が作品に、新たな解釈を加えているような。 ナノ それがうまくいった時はうれしいですね。「DARE DEVIL」に関しては、ユーザーのみなさんからの反応がすごくよくて、曲からゲームに興味を持ってくださった方もいたのが、本当にうれしかったです。
──ナノさんの曲はどれも日本語と英語が入り混じってますが、その配分は曲によってさまざまですよね。配分は、どのように決めているのでしょうか? ナノ ディレクターから、「今回は日本語多めで」みたいに指定されることもありますが、基本的にはメロディから得た印象に従って、自由に決めています。「ここは英語だよ」「ここは日本語だよ」という感覚が、自分の中には絶対的にあるので。メロディを聴いた時にパッと降りてきた言葉が、どちらの言語かによって決まるということもありますね。
──WEST GROUNDさんの曲が、洋楽的だというのも、影響していそうです。 ナノ タイアップありのシングル曲の場合は、歌詞をリスナーの方に届けることや作品との関連づけが必要なので、重要な部分は日本語にしていますけど、WEST GROUNDの曲は全編英語詞でも十分いけますね。実際にオリジナル曲では、「Freedom is Yours」のように英語詞オンリーの曲があります。でも、英語詞オンリーにしても洋楽になりきらないところが、WEST GROUNDの曲の好きなところなんですよ。
──洋楽的でありながら、洋楽にはなりきらない。面白いです。 ナノ 英語詞で、本当に洋楽に聞こえるような曲を作っている日本人のアーティストさんもいらっしゃるんですけど、自分としては、洋楽らしい曲を求めているのではなく、英語で歌っていてもどこかに邦楽の匂いが残っている曲を歌いたいというのが、こだわりなんです。もともとナノとしての活動は、邦楽を英語詞に訳して歌うところから始まったんですよね。カバーする曲を選ぶポイントは、英語詞にして歌うことで生まれるハイブリッド感が面白い曲ということで、そのハイブリッド感を、今も大事にしています。
──ナノさん自身は、洋楽を目指してはいない、ということですね。 ナノ そうですね。アメリカで育ったので、邦楽の魅力というのを逆にすごく感じていて。自分の曲からも、そこは絶対になくしたくないです。おそらく海外の方がナノを聴いてくださるのは、日本の音楽の要素がありつつ、英語で歌っているからなんじゃないかと思うんですね。メロディが新鮮で、でも歌詞の内容は理解することができて。
──逆に僕ら日本人からすると、ナノさんの曲には洋楽的なかっこよさがあります。英語圏のリスナーにも、日本語圏のリスナーにも、どこか引っかかる部分というか、自分の中にはない部分を感じられるのが、ナノさんの曲の魅力なのでしょうね。 ナノ ですから、日本語を英語っぽく歌うような融合のさせ方は、自分にとっては違うなと。あくまで英語は英語の発音で、日本語は日本語の発音で歌うようにしています。