上條淳士×松浦雅也が写し取った1980年代東京の空気がよみがえる「To-y」‐Original Video Animation HD REMASTER Blu-ray Limited Premium Box【不破了三の「アニメノオト」Vol.10】

2021年08月07日 13:000

※本コンテンツはアキバ総研が制作した独自コンテンツです。また本コンテンツでは掲載するECサイト等から購入実績などに基づいて手数料をいただくことがあります。

小学館「週刊少年サンデー」で1985年から87年にかけて連載された上條淳士による漫画作品「To-y」。アイドル歌手全盛期、活況を呈する芸能界・テレビ業界、バンドブーム直前のストリートパンクスなど、1980年代後半の日本の音楽カルチャーを上條淳士が美しい線描・陰影でリアルに写し取った、音楽マンガ、バンドマンガの金字塔とも言える伝説的なコミックです。

そのアニメ化作品は、漫画の連載終了から間もない、1987年10月1日にOVA(オリジナル・ビデオ・アニメ)として発売されています。作画監督 は、原作者の上條氏自身が「この人しかいない!」と即決したという、「機動戦士Ζガンダム」(1985)等での美麗な作画で名を馳せていた恩田尚之が担当。そして音楽監督 には、当時、1000万円以上したという音楽ワークステーション機材「フェアライトCMI」を駆使する気鋭の音楽ユニットとして注目を集めていたPSY・S[saiz]の松浦雅也が就任。伊丹十三製作総指揮、黒沢清監督のホラー映画「スウィートホーム」(1989)に先駆け、松浦氏が音楽を担当した映像作品であり、その後彼が1996年発売のプレイステーション向けゲームソフト「パラッパラッパー」を皮切りに、「音ゲーのオリジネイター」として世界にその名をとどろかせたことを思えば、このアニメ版「To-y」は、日本のポップカルチャー/メディアカルチャーにとって重要な位置づけの作品であるはず。しかし、この作品は、その後DVD等のメディアで再発されることはなく、34年の歳月が流れてしまいます。

 

そんな幻のOVA「To-y」が、今年6月、ついにBlu-rayで復刻されました。オリジナルの35mmフィルムからデジタル・リマスターするという、願ってもない高画質での再発。加えて、当時LPレコード/CDで同時発売された、劇中使用曲を収録したアルバム「To-y Original Image Album」も特典CDとして付属するという充実ぶり。1,000セット限定で発売されましたが、発売日までにすべて完売してしまうという人気ぶりでした。「アニメノオト」第10回は、2021年6月30日にSony Music Directより発売された、この 「To-y Original Video Animation HD REMASTER Blu-ray Limited Premium Box」に注目します。商品としてはOVAのBlu-rayディスクがメインですが、実質的なサントラ盤である「To-y Original Image Album」が同梱されていること、加えて、このOVA「To-y」自体が、松浦雅也氏の音楽性や、参加しているソニー系レーベルのアーティストによる音楽の存在感と不可分な性質を持っていることなどから、「アニメノオト」でぜひ取り上げるべきと考えた次第です。

 

本題に入る前に、ソニー系レーベル(CBSソニー、EPICソニー等)とアニメソングとの歴史を振り返ってみたいと思います。朝日ソノラマや日本コロムビアの寡占状態にあった1960~70年代のアニメソング市場にあって、ソニー発売のアニメソングレコードは、「ムーミン」(1969/他社も発売している“競作盤”)、「モンシェリCoCo」(1972)、「はじめ人間ギャートルズ」(1974)、「ガンバの冒険」(1975)等、単発的にほんのわずかなものしかありませんでした。しかし、ビクターやキャニオン(現:ポニーキャニオン)と同様、1980年前後からアニメソングへの本格参入が始まり、「シートン動物記 りすのバナー」(1979)、「科学冒険隊タンサー5」(1979)、「闘士ゴーディアン」(1979)、「宇宙空母ブルーノア」(1979)、劇場版「エースをねらえ!」(1979)、「釣りキチ三平」(1980)、「まんがことわざ事典」(1980)、劇場版「じゃりン子チエ」(1981)と急増していきます。そして、その様相が大きく変わるのが、「シティーハンター」(1987)です。

80年代後半のソニーが誇る有力アーティストたちがこぞって主題歌・挿入歌に参加しつつも、単純な「楽曲提供」のようなタイアップに留まることなく、アニメの作風と音楽アーティストの作風をきっちりとマッチングする、ソニー方式の「作風共存型タイアップ」のアニメソングを生み出したことが、「シティーハンター」の大きな挑戦であり、その成果でした。(その詳細については、【不破了三の「アニメノオト」Vol.04】1980年代後期ソニーオールスターズによるJ-POPサウンドの総力戦――CD「CITY HUNTER オリジナル・アニメーション・サウンドトラック」シリーズ をご参照ください。)

⇒記事リンク:https://akiba-souken.com/article/40419/

 

「シティーハンター2」(1988)の主題歌にPSY・S[saiz]の「Angel Night~天使のいる場所~」が採用されていることにも現れているように、同じソニーによる「シティーハンター」とOVA「To-y」の音楽戦略には、「ソニー気鋭のアーティストの複数登用」「作風とのマッチングを重視」など、共通する感覚に満ちています。

 

実際、以下のように、

○1987年6月3日発売 「CITY HUNTER オリジナル・アニメーション・サウンドトラック」

○1987年10月1日発売 「To-y Original Image Album」

○1988年6月22日発売 「CITY HUNTER 2 オリジナル・アニメーション・サウンドトラック Vol.1」

……と、「シティーハンター」と「シティーハンター2」のアルバムの間に「To-y Original Image Album」が発売されています。言ってみれば、「シティーハンター」の音楽なくしてOVA「To-y」の音楽はなく、OVA「To-y」の音楽なくして「シティーハンター2」の音楽もなかった、というところでしょうか。「シティーハンター」とOVA「To-y」とは、ソニーというレコード会社がアニメソングをどうとらえ、どう作っていくのか、それが明確に定まった大切なマイルストーンなのではないかと、筆者は思っています。

 


そのOVA「To-y」の音楽製作の驚くべき内幕が、今回の商品「To-y Original Video Animation HD REMASTER Blu-ray Limited Premium Box」の特典映像「特別対談 原作者:上條淳士×音楽監督:松浦雅也」にて明かされています。実は松浦氏への音楽の依頼は、映像もセリフも入った半完成状態のフィルムがある状態で、そこにどうやって音楽をはめ込むか考えてほしい、という形で持ち込まれたということです。すでにできあがっている映像に「すべての音楽の後付け」するというのは、通常のアニメーション製作ではほとんど取られない特殊な手法だと思います。上條氏も「相当ムチャなことをお願いしてしまった」と語り、松浦氏も「通常の劇伴製作に慣れている作曲家さんでは、対応が難しかったのではないか」と当時を振り返っています。また、原作者である上條氏からは、当時は原作漫画の連載が終了したばかりであり、ファンの人たちの気持ちを考えると、トーイや哀川陽司など、劇中に登場する人物の「歌」を、そのままアニメとして表現するのは乱暴だと思い、「歌わせない」前提でアニメーションを作ってほしい……という要望を出していたことも明かされています。

 

この幾重にも重なる難しい前提条件に対して、松浦氏が選択した手法は2つ。まずひとつは、すでにできている絵の動きに合わせるための劇伴製作というアプローチ。これは作品全体の中でも数曲分と少なく、かつ、まったくゼロから作編曲して作り上げるというよりは、PSY・S[saiz]の過去の曲のメロディモチーフや特定のトラック(たとえばドラムのリズムのみ等)を抜き出した音を使用するなど、ほかの曲との「地続き感」を保って作られていることがよくわかります。

特筆すべきは、クライマックスで流れる「Lemonの勇気(Special Remix Edit Version)」と名付けられた、この作品の劇中でしか聴くことのできない特別バージョンの存在です。日比谷野外音楽堂・小音楽堂でのトーイ達のパンクバンド「GASP」の演奏として曲がスタートし、大音楽堂で同時に開催されている哀川陽司のコンサートシーンなど、さまざまに場面が切り替わりつつも曲は切れずに流れ続けていきます(ただし上條氏の要望のとおり、トーイや陽司のボーカルは入らず、インストゥルメンタル曲として処理されています)。しかし、それがいつの間にかバンド演奏の音を離れて、主題歌「Lemonの勇気」にグラデーションを描くように変化していき、最終的にはPSY・S[saiz]のヴォーカリスト・CHAKA(安則まみ)の歌までもが加わった「Lemonの勇気」そのものへと至ります。

その間、約10分間。劇中の現実音としてのバンド演奏音が、心理描写劇伴のように変化し、さらには作品テーマをシンボライズする主題歌へとシームレスにつながっていくという見事な演出です。「映像とセリフはすでにできあがっていた」という例の前提条件を思うと、松浦氏のこの作業は信じられない離れ技と言えるでしょう。原作者・上條氏も、この音楽演出を絶賛し、その後に続くさまざまな音楽アニメを見渡しても、「キャラクターに歌わせないでバンド演奏シーンを表現し、世界観全体のテーマ曲として包んでしまうような手法は、松浦さんが最初だったのではないか……」と、特別対談で振り返っています。

 

そして松浦氏が選択した2つ目の手法は、既存楽曲から選曲するアプローチ。オープニング/エンディングに自身のユニットPSY・S[saiz]の6thシングル曲でもある「Lemonの勇気」「Cubic Lovers」を据えることはもちろん、下記のような当時のソニーのアーティスト群から、作品イメージやシーンに合う音楽をチョイスしていく作業ということになります。松浦氏によると、OVA「To-y」への参加依頼と、「Lemonの勇気」の楽曲製作はほぼ同時期であり、2つのイメージの相性がよかった、そこがまず切り口となり突破口になったとのこと。

これは製作タイミングの巡り合わせだけの話ではなく、1987年という時期が抱えていた時代の空気のようなものが、必然的に符号したような感覚なのではないでしょうか。また、ソニーのアーティスト群からの選曲に関しては、特にアニメスタッフからのリクエストはなく、すべて松浦氏のセレクションによるものだということです。それでは劇中で流れる楽曲をひとつずつ見ていきたいと思います。(以下の曲順はOVA「To-y」劇中での使用順であり、アルバム「To-y Original Image Album」の収録順とは異なります)

 

「01.Lemonの勇気/PSY・S[saiz]」は、作品の主題歌としてまずオープニングで流れます。新宿ロフトでのGASPライヴと哀川陽司との出会いという、この物語の発端がセリフなしで描かれ、そのバックに「Lemonの勇気」が流れています。前述の通り、この曲はPSY・S[saiz]の6thシングル曲であり、3rdアルバム「Mint-Electric」(1987)にも収録されています。

 

「02.モナパーク/GONTITI」は、ライヴの後、新宿中央公園でダベるGASPメンバーたちの背景に流れているインスト曲。GONTITI(ゴンチチ)は、ゴンザレス三上とチチ松村による音楽ユニットであり、アコースティック・ギターデュオ。本曲は彼らの4thアルバム「SUNDAY MARKET」(1986)にも収録されています。

 

「03.Uptown Traffic/鈴木賢司」は、テレビ局での歌番組収録において、哀川陽司の持ち歌(の演奏部分)のようなイメージで使われています。鈴木賢司は1983年にEPICソニーからデビューし、現在はロンドン在住の日本人ギタリスト。1998年にはシンプリー・レッドのメンバーとなり、バンド解散の2010年までギタリストとして参加しています。本曲は彼の4thアルバム「BEAT OF ROCK 」(1987)にも収録されています。

 

「04.BRUCE/溝口肇」は、同じくテレビ局での歌番組収録において、アイドル歌手である森が丘園子の持ち歌(の演奏部分)のようなイメージで使われているインスト曲。溝口肇は、チェロ奏者であり、作曲家。テレビ朝日の長寿番組「世界の車窓から」のテーマ曲「世界の車窓から」で広く知られています。本曲は「To-y Original Image Album」には未収録ですが、彼の2ndアルバム「水の中のオアシス」(1986)に収録されており、現在は各種配信やサブスクでも聴くことができます。OVA「To-y」サントラ完全版を目指したい方には、ぜひ聴いていただきたい1曲です。

 

「05.ドリーム・スープ/AMOR」は、小石川日出郎(森が丘園子)がトーイとニヤが寝ている自分の部屋に帰ってくるシーンで流れている曲。AMORは、ZELDAのヴォーカリスト高橋佐代子、ムーンライダーズのキーボーディスト・岡田徹、CHIROLINEの島崎夏美、元Barbee Boysの安部隆雄によるユニット。本曲はそもそも、松浦氏がDJを務めていたNHK-FM「サウンドストリート(火曜日担当)」の企画で、1986年9月のマンスリーソングとして作られたものであり、その「サウンドストリート」関連曲が収録された1987年2月発売のPSY・S[saiz]のコラボレーションアルバム「PSY・S Presents "Collection"」にも入っています。

 

「06.SANSO/くじら」は、一夜が明け、トーイ・ニヤ・日出郎で朝食を食べるシーンで流れている曲。くじら(Qujila)は、1985年にEPICソニーよりメジャーデビューしたバンド。メンバーや編成の変化はありますが、現在でも、NHK Eテレ「0655」「2355」に参加するなど、活動が続いています。本曲は彼らの3rdアルバム 「花」(1987)にも収録されています。

 

「07.サイレント・ソング/PSY・S[saiz]」は、隅田川花火大会や新宿は花園神社での夏祭りの風景に流れる印象深い曲。Barbee Boysのいまみちともたか、元ジューシィ・フルーツの沖山優司、くじらの楠均がコラボに参加しています。この曲も残念ながら「To-y Original Image Album」には未収録。「05.ドリーム・スープ」同様、NHK-FM「サウンドストリート」の1986年10月のマンスリーソングで、PSY・S[saiz]の5thシングル(片面のみ収録)として発売され、前述のPSY・S[saiz]のコラボレーションアルバム「PSY・S Presents "Collection"」にも収録されています。

このアルバム、収録曲はもちろん、参加メンバーにはゴンチチ、鈴木賢司、溝口肇などOVA「To-y」と関わるアーティストも多く、いわば「To-yの裏サントラ盤」のような存在なのですが、現在入手が難しい状態です。しかし、「サイレント・ソング」自体は、各種配信やサブスクでも聴くことができます。

また余談ですが、この曲はBarbee Boysのいまみちともたかの作曲のため、歌詞を変え、Barbee Boysのレパートリーとしても歌われていて、彼らの4thアルバム「LISTEN! BARBEE BOYS 4」(1987)に「Noisy」という曲で収録されています。

 

「08.時計じかけのせつな/ZELDA」は、トーイと陽司が出会う雨の街のシーンで流れている曲。ZELDAは1982年メジャーデビュー。1985年にCBSソニーに移籍しています。本曲は、佐久間正英をプロデューサーに迎えた彼女たちの4thアルバム「C-ROCK WORK」(1987)にも収録されています。

 

「09.ショート寸前/Barbee Boys」は、トーイと陽司が静かに対峙するビリヤード場のBGMとしてほんのわずかに聞こえてくる曲。Barbee Boys は1984年にシングル「暗闇でDANCE」でメジャーデビュー。OVA「To-y」発売のちょうど1年前、1986年10月1日発売の6thシングル「なんだったんだ? 7DAYS」で大ブレイク。本曲は彼らの3rdアルバム「3rd BREAK」(1986)にも収録されています。

 

「10.嵐のあと/The Street Sliders」は、日比谷野音ライヴ中止の報にGASPメンバーがスタジオで落ち込むシーンに流れる曲。The Street Slidersは、1983年、EPICソニーよりメジャーデビュー。OVA「To-y」参加アーティストの中では、パンクではないものの、音楽性もルックスも最もGASPのイメージに近い存在でした。2000年に惜しまれつつ解散。本曲は彼らの5thアルバム「天使たち」(1986)にも収録されています。

 

「11.風の中で/楠瀬誠志郎」は、ライヴのできなくなった日比谷公園をトーイとニヤがあてもなく歩くシーンに流れる曲。NHK-FM「サウンドストリート」の1987年1月のマンスリーソングで、前述のPSY・S[saiz]のコラボレーションアルバム「PSY・S Presents "Collection"」に収録されています。ここまで見てくると、NHK-FM「サウンドストリート」での松浦氏の活動と、そこから生まれた人脈、そしてアルバム「PSY・S Presents "Collection"」の存在が、OVA「To-y」の音楽プランに大きく影響を与えていたことが分かってきます。

 

「12.Lemonの勇気(Special Remix Edit Version)/PSY・S」は、前述のとおり、クライマックスで流れる特別バージョン。日比谷野外音楽堂・小音楽堂でのトーイ達のパンクバンド「GASP」の演奏として曲がスタートし、以後10分近くにわたり、さまざまに場面が切り替わりつつも流れ続け、バンド演奏音から、心理描写劇伴、そしてオープニング同様、エンディングを飾る主題歌へとシームレスに変化していきます。残念ながら本曲はこれまで単独で商品化されたことはありません。そのほかにも、松浦氏がひとつ目のアプローチ、「すでにある絵の動きに合わせるための劇伴」として製作したと思われる曲をいくつか劇中で聴くことができます。物語中盤、中野のスタジオでGASPが練習している曲は、PSY・S[saiz]のデビュー・シングル「Teenage」(1985)のイントロのリフをバンド演奏風にアレンジしたものですし、「Lemonの勇気」のアコースティックアレンジが流れるシーンもあります。また、哀川陽司コンサートの派手なオープニング曲なども出典不明であり、これらを唯一聴くことができるのは、OVA「To-y」の本編映像ということになります。

 

「13.CUBIC LOVERS/PSY・S[saiz]」は、OVA「To-y」のエンディングクレジットに流される終幕の曲。イントロのメロディが共通していることからもわかるように、「Lemonの勇気」と表裏一体を成す曲で、実際にPSY・S[saiz]の6thシングル「Lemonの勇気」のB面曲でもあります。フィルムでは、エンディングクレジットが流れる中、学校の制服を来たニヤがトーイと手をつないで歩いていく後ろ姿が描かれています。ここにはOVAでは深く触れることができなかった、原作漫画「TO-Y」におけるトーイとニヤ、2人だけにしかわからない絆の形と、その別離、そして物語の終幕への想いが凝縮されているように感じたのは筆者だけではないはずです。そこに重なる「まばたきのキスは永遠」という歌詞。あまりにも完璧なエンディングです。日本のアニメ史に残るほどの難事業であったはずのOVA「To-y」の音楽演出作業は、松浦氏の力によって「ピンチをチャンスに変える」どころではない大逆転勝利を達成し、最後の最後まで見事な仕上がりで幕を閉じたわけです。筆者が冒頭で、日本のポップカルチャー/メディアカルチャーにとって重要な作品である……と言った理由はそこにあります。

 

LPレコード/CDで当時発売された「To-y Original Image Album」のライナーノートにおいて、松浦氏は以下のように語っています。

 

「僕の作業の目的はいかにこの作品が1987年という時代の音楽の風景を鋭く切り取るかということに向いていた。極論すれば、この時代に生きている音楽はどんなものでもTo-yという素材のどこかに重なる部分があるからだ。そんな時代性や日常を何となく感じ取ってもらえれば僕はうれしい。」

 

34年を経た今、あらためてOVA「To-y」を鑑賞された方であれば、アニメーションで描かれた1987年の東京の街の風景と見事に解け合いながら、この松浦氏の目論見がしっかりと成功・達成されていることを実感されたのではないでしょうか。まさしく1980年代後半の空気を写し取り、フィルムの中にすべてを封じ込めてくれた…… OVA「To-y」とはそういう作品なのだと思っています。

 

<文:不破了三>

 

【商品情報】

■Blu-ray 『「To-y」‐Original Video Animation HD REMASTER Blu-ray Limited Premium Box』

・発売日:2021年6月30日

・価格: 16,500円(税込)

・レーベル:Sony Music Direct (Japan) Inc.

 

■商品仕様:アナログ・レコードサイズBOXに封入:

Blu-ray x 1枚 + Blu-spec CD2 x 1枚、LPサイズ冊子(原作者上條淳士氏最新コメント/CD収録曲全曲歌詞+解説)、Tシャツ(XLサイズ)、フィルムしおり1点(全10種・ランダム封入)/1,000セット限定(通しNo入り)

 

・Blu-ray映像収録曲

01.Lemonの勇気/PSY・S[saiz]

02.モナパーク/GONTITI

03.Uptown Traffic/鈴木賢司

04.BRUCE/溝口肇

05.ドリーム・スープ/AMOR

06.SANSO/くじら

07.サイレント・ソング/PSY・S[saiz]

08.時計じかけのせつな/ZELDA

09.ショート寸前/Barbee Boys

10.嵐のあと/The Street Sliders

11.風の中で/楠瀬誠志郎

12.Lemonの勇気(Special Remix Edit Version)/PSY・S

13.CUBIC LOVERS/PSY・S[saiz]

 

・CD「To-y Original Image Album」収録曲

01.Lemonの勇気/PSY・S[saiz]

02.モナパーク/GONTITI

03.ドリーム・スープ/AMOR

04.SANSO/くじら

05.風の中で/楠瀬誠志郎

06. ショート寸前/Barbee Boys

07. 嵐のあと/The Street Sliders

08. Uptown Traffic/鈴木賢司

09. 時計じかけのせつな/ZELDA

10. CUBIC LOVERS/PSY・S[saiz]

 

※本商品は1000セット限定であり、すでに完売しています。

画像一覧

ログイン/会員登録をしてこのニュースにコメントしよう!

関連リンク

※記事中に記載の税込価格については記事掲載時のものとなります。税率の変更にともない、変更される場合がありますのでご注意ください。

関連記事