【インタビュー】最新シングル「アンダンテに恋をして！」は、angelaには珍しく恋愛曲のみを収録!?

カップリングの「愛を謳う」には、クラシック3曲の要素が入っています

── ではカップリング曲の「愛を謳う」についておうかがいします。タイトル通りの愛の歌でした。

atsuko　今回は表題曲もカップリング曲も、恋愛の曲になっているんです。angelaには珍しいことに（笑）。

── 「愛を謳う」は、どのようにして作っていったのでしょうか？

atsuko　「アンダンテに恋をして！」はアニメのオープニングテーマということでかなり早い時期に制作したんですけど、「愛を謳う」はけっこうギリギリまで粘って作っていった感があります。ですから、「アンダンテに恋をして！」を踏まえて作ることができて、シングルとしての統一感を出すために、こちらにもクラシックを使っていこうということになりました。私がまずしたのは、耳にしたことはあるけれども、誰のなんて曲かパッとタイトルが出てこないくらいの、ゆるく世間に知られている曲を探すことです。そして行き当たったのが、ムソルグスキーの「展覧会の絵」でした。

── たしかにメロディは有名ですけど、すぐに「展覧会の絵」だとわかるのは、それなりにクラシックが好きな人なのかなと。

atsuko　私は小学生のとき、この曲をトロンボーンで吹いたという、いい思い出があるんです。ちょっと跳ねたメロディに変えてサビの部分に使っていけたら面白いなと思って、そこからメロディを組み立てていきました。作曲が終わってKATSUさんに渡し、作詞作業に移っていったら、ある日、アレンジ作業中のKATSUさんからLINEでメッセージが来て。「この曲、『結婚行進曲』も入れられるから、結婚を意識した歌詞にして」と突然言われたんです（笑）。


── そうなんです。今、「展覧会の絵」のお話が出ましたが、完成した曲を聴くと、「結婚行進曲」の印象のほうが圧倒的に強いんですよね。

atsuko　そうなんですよ。ムソルグスキーだけでいくはずだった私の予定からはずれていったんですけど、まあ、いいかと思って歌詞を書いて。上がってきたKATSUさんのアレンジを聴いたら、メンデルスゾーンとワーグナーの2つの「結婚行進曲」が、かなりガチで入っていました。そんなボスキャラを持ってこられたら、私のムソルグスキーは気づいてもらえないじゃんって（笑）。

KATSU　展覧会どころじゃなくなった（笑）。最初に思いついたのはメンデルスゾーンのほうで、跳ねたリズムがこの曲に合うなと思ったんです。使ってみたら、シンプルかつ攻撃力の高いメロディで、地球のあらゆる場所で結婚式に使われている理由がわかった気がしました。さらにアレンジ作業を進めていったら、「あれ、ここにワーグナーのほうの『結婚行進曲』も入れられるな」と気づいて。

atsuko　強いものに強いものを足していったと（笑）。でも、そのおかげでわかりやすく愛の歌にすることができて、振り切った歌詞を書くことができました。歌詞の面でも、結婚に向かって突っ走ったという感じですね（笑）。こんなふうに、2人でやり取りしていくうちに、最初の構想とは違ったものになっていくのが、共作の面白さです。

KATSU　angelaがカップリング曲にもこだわり続けているのは、サブスク全盛の時代になってもCDという形態が大好きだからなんです。表題曲とカップリング曲を続けて聴くことで、リンク具合だったり、逆にミスマッチ感を楽しんでいただきたくて。そして、表題曲目当てでCDを買ってくれた人に、「カップリング曲もいいじゃん！」と思っていただきたいんですよね。

atsuko　どちらにもコーラス隊が入っていて、さらに親和性が高くなるとともにゴージャス感が増しました。ここまでハッピーなシングルは、angelaからは、なかなか出てこないと思います（笑）。

KATSU　ぜひCDで聴いてください（笑）。

angelaプロフィール

ボーカルのatsukoと、ギター＆アレンジのKATSUによるユニット。
2003年5月にシングル「明日へのbrilliant road」をリリースし、angelaとしてデビュー。現在まで30枚のシングル、10枚のオリジナルアルバムをリリース。また、過去3度にわたってベストアルバムをリリースした。最新アルバムは、2021年5月リリースの「Battle & Message」。

CDデータ

■TVアニメ「乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった...X」オープニングテーマ「アンダンテに恋をして！」



〈収録曲〉

01. アンダンテに恋をして！
02. 愛を謳う
03. アンダンテに恋をして！〈off vocal version〉
04. 愛を謳う〈off vocal version〉
※アニメ盤には、上記４曲に加え「アンダンテに恋をして！〈TV size version〉」も収録

〈期間限定盤BD収録内容〉
「アンダンテに恋をして！」Music Clip


（取材・文／鈴木隆詩）