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田淵智也さんの書かれる歌詞は、「口が気持ちいい」んです
── 「それでも願ってしまうんだ」は、作詞がUNISON SQUARE GARDENの田淵智也さんで、作曲・編曲がクラムボンのミトさんです。この曲の多幸感は、アレンジによる部分が大きいですよね 豊崎 ミトさんに以前作っていただいた「music」(2012年1月リリースの5thシングル。作詞:つじあやの/作曲:ミト/編曲:よだれ虫オールスターズのみなさん)も「音楽の力」がテーマになっていたんです。歌詞にも「幸せ歌」というフレーズが入っていて、音楽を奏でられる幸せ、みんなで声を合わせて歌える幸せが表現されていました。その2020年バージョンを作っていただきたいんです、というお願いをしてできたのが「それでも願ってしまうんだ」で、アレンジの部分でも「music」と同じくらいの音楽への大きな愛を表現していただけました。
── 田淵さんの歌詞についてはいかがですか? 豊崎 「口が気持ちいい」という言い方をよくするんですけど、田淵さんの歌詞は言葉のリズムや遊び方が楽しくて、歌っていて幸せになるんです(笑)。「それでも願ってしまうんだ」にも田淵さんらしい言葉の魔法がいっぱい詰まっていて、今の状況に照らし合わせても共感していただけると思うし、10年後に聴いてもきっとその時代に合う歌詞になっていると思います。2020年に作ったことの意味を感じる曲でありつつ、コロナ禍というものに直接つながらない印象に仕上がったのは、田淵さんの歌詞のおかげだなと思います。
── 普遍性があって、時代に関係なく心に響く曲になっていると思いました。メロディには動きがあって、歌うのは決して簡単ではないと思うのですが、レコーディングはいかがでしたか? 豊崎 私はレコーディングのとき、この曲をどうやって歌おうか、細かく考えるタイプなんですけど、「それでも願ってしまうんだ」は生命力や多幸感が根幹となっている曲なので、技術的なことにとらわれるのではなく、声を出せることの幸せを感じながら、思いっきり歌おうと思いました。声の出し方も潔いというか(笑)、大きくはきはきとした歌声になったんじゃないかなと思います。
── 歌い終わった後の演奏が、けっこう長く続くんですよね。そこも好きでした。 豊崎 その部分は曲を最初にいただいたときから入っていて、余韻がかっこいいんですよね。本に例えたら読後感があると言うか、聴いてくださった方がそれぞれ、曲の続きを想像していただけるようになっていると思いました。とても好きなパートです。
── 2曲目の「MORNING:GLORY」(作詞:古屋真/作曲:さかいゆう/編曲:臼井ミトン)は、タイトル通り、朝の歌です。 豊崎 さかいゆうさんが大好きで、さかいさんに作曲していただけるなら、朝の曲がいいなと思ったんです。私は普段から早起きで朝の時間を大事にしているので、そんな時間に聴ける、ゆっくりと自分のペースで1日を始められるような曲を書いていただきました。目覚めて窓を開けた瞬間に「今日は気持ちいいな」と思った朝には、この曲を聴いていただきたいです。
── さかいゆうさんに曲を書いていただいたことは、今までもあったんですか? 豊崎 今回が初めてです。でも、私は普段からさかいさんの楽曲を聴いたりライブに行ったりしていたので、豊崎愛生第2章のアルバムで新しい方と組むとしたら、どなたがいいかな? と考えたときに、さかいさんのお名前が思い浮かびました。
── 「caravan!」は、作家さんがほとんど重複していないんですよね。だから、たくさんの方が楽曲制作に参加しています。 豊崎 仁科亜弓さんがシングル曲の「ハニーアンドループス」と、アルバム新曲の「マイカレー」に関わっているだけで、あとのみなさんは1曲ずつの参加です。アコースティックな曲からダンスナンバーまで曲調に振り幅があるんですけど、通して聴くと、すごくまとまりのいい10曲になったなと思っています。
── アルバム新曲の作家さんは、さかいさんのように、豊崎さんのお好きな方にお声がけしていったんですか? 豊崎 曲によってアプローチの仕方はいろいろです。たとえば、4曲目の「Cheers!」を作詞していただいた土岐麻子さんも大好きなアーティストで、私がソロとして活動を始めた当初から、いつかは楽曲提供していただきたいという話をスタッフさんにしていて、今回その夢が叶いました。それぞれの方が私の声で遊んでくださったというか、私の声質に配慮しつつ、多彩な音楽にチャレンジしてくださったのがうれしかったです。
── 豊崎さんの楽曲提供者は、ご自身も歌を歌われるアーティストさんが多いという印象です。 豊崎 そうですね。しかも、アーティストとしてのカラーが強い方ばかりで、「私の楽曲あるある」なんですけど、仮歌がご本人のボーカルによってすでに完成していることが多いんですよ。私のために作ってくださった曲なんですけど、ご本人が歌ったほうがいいんじゃないかと(笑)。私の戦いはそこからで、これをどうやって「豊崎愛生の歌」にするか、なんです。
── そういう戦いを、今までずっとされてきたわけですね。 豊崎 自分らしさを入れるのに必死になっていた時期もあったんですけど、今回はどちらかというと、楽曲に寄り添って歌えたらいいなという思いのほうが強くて、今まで以上に曲ごとに歌い方や声質を変えていくことができました。ミキサーさんがマイク選びにこだわってくださって、曲によってマイクも全部変えているので、声も楽器のひとつとして楽しんでいただきたいです。シングル曲もアルバム用に再ミックスされているので、シングルのときとは違って、「caravan!」の収録曲として聴いていただけると思います。
── たしかに「ハニーアンドループス」(TVアニメ『プリプリちぃちゃん!!』ED、作詞:仁科亜弓/作曲・編曲:古川貴浩)のような、アニメの世界観に合わせたかわいいシングル曲も、アルバムの流れにはまっていました。 豊崎 「ハニーアンドループス」はモータウン調のダンスナンバーという渋い一面も持った曲ですし、あのアッパーなテンション感がアルバムの並びの中でいい仕事をしてくれました。さかいゆうさんの「MORNING:GLORY」の次に来ることで、どこか懐かしいポップな音色を持つ2曲がつながって、新しい印象になっていると思います。
── そこから、大人っぽい「Cheers!」(作詞:土岐麻子/作曲・編曲:トオミヨウ)につながるのも、すごくよかったです。 豊崎 ありがとうございます。ここもロマンチックな流れになってますよね。