コロナを吹き飛ばす、パワー全開な2021年春アニメのアニソン10選!出口博之の「いいから黙ってアニソン聴け! in 2021春」

2021年05月22日 12:000

・異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術Ω

OP「EVERYBODY! EVERYBODY!/芹澤 優 with DJ KOO & MOTSU」

言葉を選ばずに率直な感想を述べると「何も考えずに聴けるアニメソング」という印象。この「何も考えずに」という部分がとても重要で、コロナによって先の見通しがまったく立たず精神的にも不安な状況が続く昨今において、ここまで突き抜けた「陽」のエネルギーを持った楽曲は、すさんだ心を救う力にあふれている、とは言い過ぎでしょうか。

そんな高尚に考えずとも、単純に楽しいパーティーの雰囲気に満ちているので、聴くとなぜか楽しい気分になる楽曲です。その原動力となるのはDJ KOOとmotsuの伝家の宝刀「過剰なまでのアゲアゲなバイブス」。もっと言えば、この楽曲のよさはお2人のアゲアゲバイブスによるところが大きいと言えます。

一見アニメ業界とは接点のなさそうなお2人ですが、motsuは音楽ユニット「m.o.v.e」で「頭文字D」の主題歌を担当したことをはじめ、数多くの声優・アニソンシンガーとのコラボに参加。DJ KOOは「KING OF PRISM -Shiny Seven Stars-」でTRFの楽曲が多数カバーされたりアニクラに出演したりと、お2人のアゲアゲバイブスがアニメと親和性が高いことは周知の通り。

暗い世相の中、派手でチャラくてキラキラして、とにかく希望しかないこの楽曲のバイブスは、結構真面目に誰かの心を救っていると思います。YEAH!!!

 

・スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました

OP「ぐだふわエブリデー/悠木碧」

この楽曲はとにもかくにも悠木碧がすべて。悠木碧の歌とかそういった次元じゃなく「演者・悠木碧」といったほうが正しいかもしれません。

2021年冬アニメ「蜘蛛ですが、なにか?」のED「がんばれ!蜘蛛子さんのテーマ」での歌唱というか過剰な演技を踏襲したような、純度の高い悠木碧節が最高。「純度の高い悠木碧節」とは一体なんなのか自分でもよくわかりませんが、歌とメロディの狭間のバランスが絶妙で、台詞パートが歌としても成立するし、その逆で歌パートが台詞のように聴こえる個所もあります。ふわっとした雰囲気で聴き流しそうになりますが、尋常じゃない表現力があってこそできる歌い方です。

そして、そういった高度な技術を嫌味なく自然に聴かせるのが、「悠木碧節」ではないか。と、書き進めながら思い至りました。

 

・もっと!まじめにふまじめ かいけつゾロリ(第2シリーズ)

ED「ZORORI ROCK!!!/ヤバイTシャツ屋さん」

ロックバンドがアニメの主題歌を手がけることはすっかり珍しいことではなくなり、今ではロックバンドのサウンドはアニメに欠かせない重要な要素のひとつとなっています。

作品に登場するキャラクターの心情と掘りさげる歌詞、世界観を踏襲したサウンドデザインなど、作品とバンドが相互に影響しあって作品の顔となる楽曲が生まれる。「バンドの個性とアニメ作品がシンクロする」ということなんですが、「ヤバイTシャツ屋さん」と「かいけつゾロリ」の関係もまさしくそれです。むしろ、めちゃくちゃにシンクロしてシンクロしすぎて完全に重なっている。

曲調が合っているというよりは、バンドが持つポップネスが「かいけつゾロリ」とシンクロした、ということ。

要するに、「ヤバイTシャツ屋さん」が小学生のマインドをガッツリ捕まえるサウンド、キャラクター性といったポピュラリティを持っていて、その部分が「かいけつゾロリ」にシンクロしているのです。

バンド自体は2000年代以降のオルタナ、ミクスチャーといったラウドで攻撃的なジャンルの音楽がルーツとなりますが、攻撃性だけでなくポップセンスも正しく継承することで、子どもの心にも間違いなく届く音楽が生まれるのは、素晴らしいことだと思います。「かいけつゾロリ」を見て「ヤバT」を聴いてバンドに興味を持つ子どもが現れたら……。そう考えると、ロックという音楽ジャンルの未来も、明るく楽しいかもしれません。

 

・究極進化したフルダイブRPGが現実よりもクソゲ―だったら

ED「キスイダ!/如月玲於奈(CV.竹達彩奈)アリシア(CV.ファイルーズあい)ミザリサ(CV.井澤詩織)結城楓(CV.古賀葵)」

最近のアニメソングはいろんな意味でまじめな楽曲が多い印象がありましたが、「そうそうこの感じ!」と思わせる、突き抜けたテンションが素晴らしい楽曲。2010年前後の電波系ソングの系譜を感じさせ、それがある種の楽曲に対する安心感につながり「年食っちまったな」と思わせるには必要十分な破壊力。まあ、そう感じるのは私たちおじさん世代(40歳前後)だけかもしれませんが。

好きの裏返しの表現の教科書のようなヤンデレ具合と、そのヤンデレをことごとく無視し、歯牙にもかけない周りの温度差が面白い。こういうバカ(超褒めてます)な楽曲は1クールに1曲あると嬉しいと思うは私だけじゃないはず。いいよね、この曲。

 

・魔入りました!入間くん(第2シリーズ)

OP「No! No! Satisfaction!/DA PUMP」

 

第1シリーズのオープニング曲「Magical Babyrinth」に引き続き、DA PUMPがオープニングを担当。中毒性の高い、ちょいダサなカッコよさはそのままに、ビートが格段に鋭くなっている印象。最近のダンスミュージックのビートというよりはルーツに近いファンクのグルーヴがあります。

ベーシスト視点で言わせてもらうと、この曲からは強烈にラリー・グラハム(スラップ奏法を生み出した偉人。詳しくは各自調べるように)の「POW」に近いグルーヴを感じます。

もちろんほかの要素もあるんですが、最先端すぎないトラッドなニュアンスが、特有の「ちょいダサ」につながっているのかもしれません。

今回は作詞・作曲・編曲にm.c.A・Tとあって、DA PUMPとしては盤石の体制を固めているのがうかがえます。メガヒットを連発していたデビュー当時を知っている、私と同世代のおじさんおばさんにとっては胸が踊らないわけがないタッグです。

 

・ゴジラ S.P<シンギュラポイント>

OP「in case.../BiSH」

「ゴジラ」がTVアニメ化ということで、特撮好きはもとより各方面から注目度が高かったため、放送前からかなりハードルが高かったにも関わらず、放送開始後にそのハードルを飛び越えるどころか豪快にぶっ飛ばしたのは、この楽曲によるところが大きいと思います。

デジロック、もしくはビッグビート、インダストリアルといった2000年代前後のオルタナ直系のサウンドは、今こそ鳴らすべきサウンドなのかもしれません。めちゃくちゃにカッコいい。BiSHの持ち味はアイドルのイメージからかけ離れた不良性にあり、そのエッジな精神性がこの楽曲にも端的に現れています。

個人的にはゴジラよりもジェットジャガーのテーマ曲じゃないかって思うくらい、ジェットジャガーにハマっている楽曲だと思いますがいかがでしょうか。それにしても、ジェットジャガーがここまで主役級の扱いになるなんて、まったく予想できなかったな!

最後は何の説明もないまま、巨大化してゴジラと共闘してくれたら最高だな!

 

・ベイブレードバースト ダイナマイトバトル

OP「ぶつかれ!ダイナマイトバトル/NORISTRY」

順位をつけるコラムではありませんが、強いて今期のナンバー1を選ぶならダントツで「ベイブレードバースト ダイナマイトバトル」の「ぶつかれ!ダイナマイトバトル」です。甘く見ていたわけではありませんが、完全にノーマークだったので、驚くほどカッコよくて驚きました(驚きすぎだ)。

音を極限まで足していくのが最近のサウンドの傾向ですが、それとは真逆の引き算を突き詰めたようなソリッドなバンドサウンドが最高にカッコいい。テクニカルな見せ場もありつつ、歌が主役になるように計算されたアレンジは見事。

男子向けアニメからは、今後もすごい曲が生まれる予感しかないので要注目です!

 

以上、今期の10曲を選出しました。

気になる曲、気になる作品があれば、これを機に聴いたり観たりしていただけますと非常に嬉しいです。

「あの曲が入っていない」「この作品の話をしていない」「全然ダメ!やり直し!」等のご意見あると思います。

その辺りについては年末に1年の総まとめと称した毎年恒例の反省記事がありまして、そちらで選出から漏れた作品の話をする予定ですので、ご期待いただければ幸いです。

さすがに今から心待ちにするのは気が早すぎますが……。

それでは、次は夏にお会いしましょう!

(文/出口博之)

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(C) 2020 TOHO CO., LTD.

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(C) 森田季節・SBクリエイティブ/高原の魔女の家

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TM and (C) 2021, Wizards of the Coast, Shogakukan, Mitsui/Kids, ShoPro,TV TOKYO

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