【インタビュー】「名も無き歌で、名も無き絶望に寄り添う」。ReoNaが待望の1stアルバム「unknown」をリリース

新曲「絶望年表」は、今までにないくらい自分自身に踏み込んだ曲になりました

── 7曲目の「いかり」はいかがですか？ 作詞：傘村トータ、作曲・編曲：毛蟹という作家陣による曲です。

ReoNa　ゆったりめのきれいなメロディで、初めてスローテンポの三拍子に挑戦した曲でした。ピアノ、ギター、アコーディオンの温かい音色が特徴です。先ほども言った通り、傘村さんと初めましてとなった曲で、どんな歌詞が上がってくるんだろうと思っていたら、ものすごい刃渡りの言葉が並んでいました。

── 刃渡りが鋭い言葉というのは、よくわかります。

ReoNa　歌詞というよりも、心の内をしたためたお手紙をいただいたような気持ちになりました。初めて書いていただいたのに、ReoNaの歌ってこうだよねという内容になっていて、それが楽器のやさしい音色と不思議に合っていました。

── 音色がやさしい分、淡々と心の痛みを吐露している感じが、強く出ている曲です。

ReoNa　楽器のレコーディングにも立ち会わせていただいたんですけど、同時に演奏されていて、その呼吸の合い方や演奏のうねり感が心地よく、ここに私がお歌を乗せていくんだというドキドキというか、いい意味での緊張感を覚えて。そのうえで、この鋭い言葉たちを歌っていきました。

── 曲のタイトルもストレートです。

ReoNa　このタイトルから、曲のサウンド感は絶対に想像できないと思います（笑）。

── 続く8曲目「心音」も、傘村さんの作詞曲です（作曲：rui、編曲：毛蟹）。

ReoNa　アルバムの最後にできた楽曲です。エルザのころからお世話になっているruiさんの作曲ですが、とても明るく耳なじみのいいメロディで、毛蟹さんのアレンジによってポップな楽曲に仕上がりました。それを生かす歌詞は、どんなものにしたらいいんだろうと、すごくたくさんトータさんとお話をして、第1稿を書いてもらったんです。でも、それにはトータさん自身の思いはそんなに入り込んでいない感じがして。「そうじゃなくて、私の思いとトータさんの思いを重ねて歌えたらいいなと思うんです」とお伝えしました。

── コミュニケーションを密にして、生まれた歌詞だったんですね。

ReoNa　はい。2人でいろいろと悩んだ末に、私自身の思いとトータさんの思いの両方が乗った歌詞が生まれました。「いかり」の後に「心音」が来ることで、やさしい歌詞とメロディが聴いてくださる方の心にしみたらいいなと思いました。このアルバムは、ぜひ1曲目から最後まで通して聴いていただきたいです。

── ここから9曲目の「絶望年表」につながるというのも、いいんですよね。「絶望年表」はアルバム「unknown」のクライマックスと言える、7分半の楽曲です。タイトルに年表という言葉が入っていますが、歌詞はReoNaさんの半生が描かれていると思いました。

ReoNa　私のルーツに迫る楽曲で、今までにないくらい自分自身のことが歌詞に反映されています。今まで、「怪物の詩」「おやすみの詩」「トウシンダイ」「Lotus」と、それぞれのシングルで私自身の思いを描いたお歌を歌ってきたからこそ、「絶望年表」はここまで踏み込むことができたんだなと思っていて、デビューから2年経ったからこそ、生まれた曲だと思います。

── 作詞・作曲・編曲は、すべて毛蟹さんとハヤシケイさんの共作です。ReoNaさんをよく知るお2人の作ということで、説得力があります。サウンド的にはカントリー＆フォークで、シンガーソングライター風の曲になっていますね。

ReoNa　カントリーという言葉を知らないころから、日常の些細なことを少しほの暗い歌詞で歌うようなカントリーミュージックを好んで聴いてきたので、私自身が色濃く表れたこの曲は、カントリーのサウンド感で作っていただきました。イントロのトイピアノは私が弾いていて、毛蟹さんとハヤシケイさんにはアコースティックギターを弾いていただいて、今までReoNaの世界を築き上げてくれた仲間と一緒に作った曲になりました。

── 7分半という長さは、すごいですよね。

ReoNa　歌詞の初稿はハヤシケイさんが書いてくれたんですけど、「書きたいことを全部書いたら、この尺になっちゃった」と（笑）。でも、何ひとつ削りたくないな、余すことなく全部をお歌にしてお届けしたいなと思いました。

── お話をうかがってきて、本当に聞き逃せない楽曲が揃ったアルバムだなと、改めて思いました。

ReoNa　収録曲のタイトルだけを先に見たエンジニアさんに、「明るい曲や幸せな曲はあるのかな？」って言われたんですけど（笑）、みなさんと痛みを共有できたらいいなと。

── それが救いになるというのが、あると思います。それにボーカルやサウンドのかっこよさは言うまでもないアルバムで、やっぱりかっこいい音楽はポジティブなものだなと感じました。2種類の限定盤に同梱されるBlu-rayも、MVやライブ映像がたっぷり収録されていて、それぞれに見応えがありそうです。

ReoNa　はい。映像も充実しているので、ずっとReoNaを聴いてくださっている方も、アルバムで新しく聴いてくださる方にも、ぜひ見ていただきたいです。

ReoNaプロフィール

TV アニメ「ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン」の劇中歌アーティスト「神崎エルザ」の歌唱を担当、「神崎エルザ starring ReoNa」として 2018年7月4日にミニアルバム「ELZA」をリリース。同年8月29日に、TVアニメ「ハッピーシュガーライフ」のエンディングテーマ 「SWEET HURT」をリリースし、ソロデビューを果たした。
今年は、2月10日に配信シングルとして、「ソードアート・オンライン」10周年テーマソング 「Till the End」をリリース。7月22日には、TVアニメ「ソードアート・オンライン アリシゼーション War of Underworld」2ndクールのオープニングテーマ「ANIMA」をリリースした。

CDデータ

■1stアルバム「Unknown」




〈収録曲〉

01.unknown
02.forget-me-not
03.Untitled world
04.怪物の詩
05.Let it Die
06.BIRTHDAY
07.いかり
08.心音
09.絶望年表
10.ANIMA
11.Till the End
12.SWEET HURT -plus unknown-

〈Blu-ray収録内容〉

Music Video(完全数量生産限定盤・初回生産限定盤に収録)
01.unknown -Music Video-
02.SWEET HURT -Music Video-
03.forget-me-not -Music Video-
04.怪物の詩 -Music Video-
05.トウシンダイ -Music Video-
06.ANIMA - Music Video -

「ReoNa ONE-MAN Live “Birth 2019”」ライブ映像(完全数量生産限定盤のみ収録)

01.怪物の詩
02.forget-me-not
03.カナリア
04.ピルグリム
05.虹の彼方に
06.トウシンダイ
07.ALONE
08.Till the End
※2019.10.20 Zepp Tokyoでのライブより

インフォメーション

●ReoNa Online Live "UNDER-WORLD"

日程：2020年12月8日(火)　18時開場・19時開演
開場:LINE CUBE SHIBUYA（渋谷公会堂）

※当日はライブの生配信も予定
※今後の状況により、有観客でのライブ開催をやむなく断念する可能性あり
※詳細はオフィシャルサイト http://www.reona-reona.com/ まで


（取材・文／鈴木隆詩）