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「芽ぐみの雨」の歌詞は、映画のエンドロールをイメージしました
── 原作はすでに完結し、アニメも「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。完」というタイトルがついている通り、終わりを見据えた作品になるのは間違いないですよね。オープニングテーマを作るにあたり、アニメ制作サイドからはどのような要望がありましたか? やなぎなぎ 明るいだけのお話ではないので、前2曲の流れを汲みつつ、切ない部分を含ませてほしいという要望をいただきました。それで、北川さんは最初、かなり切なげなメロディを書いてきてくださったんです。私も大好きなメロディだったんですけど、前2曲の流れとはちょっと違っていたので、より華々しく、疾走感のあるメロディを新たに作っていただきました。
── 北川さんといったん、そういうやり取りがあったんですね。 やなぎなぎ はい。結果的に、2度目に上げていただいたメロディでいきましょうということになり、私が作詞に入ると同時に、北川さんにはフルサイズの作曲をお願いしました。
── 作詞するにあたって、どのようなことを考えましたか? やなぎなぎ 「ユキトキ」「春擬き」の流れを汲みたいなと思い、最初に前2曲の歌詞を見て、3作目につなげていきたい言葉をいくつかピックアップしていきました。それをそのまま使うのではなく、変換を加えて書いていったのが「芽ぐみの雨」です。
── 「ユキトキ」には「雲からこぼれる冷たい雨」という一節があって、「春擬き」には「小さな芽」という言葉が出てきます。 やなぎなぎ 季節がまた巡ってくることを表現するために、タイトルにも前2作で使っていた言葉を入れてみました。「ユキトキ」で冬から春になったのかなあ? というところを書いて、「春擬き」では、春なんだけど「もどき」で、どっちなんだ? というところを書いたんですけど、今回も春にはなりきっていないイメージです。でも、もし傷ついて泣くことがあるんだったら、その季節は冬ではなく春のほうがいいなという思いから、「芽」とか「雨」という言葉を使いました。
── 3曲とも、季節の移り変わりの時期を表現しているんですね。 やなぎなぎ はい、曖昧な季節に立っている感じをイメージしました。
── 歌詞の中で、前2作を踏まえた部分というのは、たとえばどこでしょうか? やなぎなぎ 「ユキトキ」には「お伽噺」、「春擬き」には「フェアリーテイル」という言葉が出てくるんですけど、今回は「夢物語」という言葉を使いました。どれも、みんなが幸せになれるような、そんなお話みたいな道は現実にはないけれど、それでもそういうお話を探し続けた、ハッピーエンドを探し続けたというイメージで使った言葉です。「俺ガイル」の登場人物たちは、みんなそんな思いでいるんだろうなと。
── それに加えて、「芽ぐみの雨」には、「終幕」とか「エンドロール」とか、映画を連想させる言葉が多く入っていました。 やなぎなぎ 完結編であるということが自分の中で大きくて、映画のエンドロールを想像しました。私はエンドロールを見ながら余韻に浸ることが好きで、そういうときはよく、この映画の登場人物たちにはこんな続きがあるかもしれないなと、妄想しているんです。でも実際には、そこから再び物語が始まるということはなく、エンドロールに感じる切なさに通じるものとして、今回の歌詞は書いていきました。
── 歌い出しの「流れ切った文字の後 ひとり 続きを待った」というのは、まさにそのイメージですね。 やなぎなぎ はい。でも、物語が完結してもそれは本当の終わりではなく、人生はちゃんと続いていくという思いもあって、切なさもありつつポジティヴな歌詞になったと思います。