今のWUGだから表現できる“あの頃”の姿! 新作舞台「Wake Up, Girls! 青葉の軌跡」記者会見&公開ゲネプロレポート

2018年06月18日 19:200

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「Wake Up, Girls!」の新作舞台「Wake Up, Girls! 青葉の軌跡」が2018年6月6日~10日の期間、東京・草月ホールにて上演された。今回は公演に先駆けて行なわれた記者会見と、公開ゲネプロ(最終通し稽古)の模様をレポートする。


「Wake Up, Girls!」が舞台化されるのは、2017年1月に上演された「Wake Up, Girls! 青葉の記録」以来2度目。アニメで声優を担当したWake Up, Girls!(以下、WUG)メンバーが舞台でも同役を演じる、WUGならではのハイパーリンクが魅力の舞台だ。今回は2014年に放送されたTVアニメ「Wake Up, Girls!」の脚本をベースに、WUG企画立ち上げメンバーのひとりである脚本家・待田堂子さんがみずから物語を再構成している。

 

会見にはWake Up, Girls!より島田真夢役の吉岡茉祐さん、林田藍里役の永野愛理さん、片山実波役の田中美海さん、七瀬佳乃役の青山吉能さん、久海菜々美役の山下七海さん、菊間夏夜役の奥野香耶さん、岡本未夕役の高木美佑さん、ライバル「I-1club」より岩崎志保役の大坪由佳さん、近藤麻衣役の松村芽久未さん、吉川愛役の持田千妃来さん、相沢菜野花役の堀越せなさん、鈴木萌歌役の山下夏生さん、鈴木玲奈役の立花玲奈さん、小早川ティナ役の日下部美愛さん、高科里佳役の松田彩希さん。そして松田耕平役の一内侑さん、丹下順子役の田中良子さん、アンナ役の栗生みなさん、カリーナ役の舞川みやこさん、早坂相役の福山聖二さんが登壇した。

 


会見の冒頭、WUGメンバーはそれぞれ下記のように挨拶した。「2回目の舞台で、みんなの結束力が高まってお芝居の完成度も上げられたのではないかと思います。がんばります(高木美佑)」「私がずっと寄り添ってきた久海菜々美ちゃんのいいところをたくさん見せたいです(山下七海)」「今回舞台で演じるのは、数年前にTVアニメ『Wake Up, Girls!』でアフレコをした時からずっと好きだったお話なんです。演じる機会ができて嬉しかったし、稽古を詰めていく過程が楽しかったです(田中美海)」「舞台として前回の続編なので、キャラクターも成長しているし、私達自身も舞台での成長が見せられたらと思います(吉岡茉祐)」「アニメが好きな人にも、初めての人にも楽しんでもらえる内容だと思います。このメンバーでやってこれてよかったという舞台になっています(永野愛理)」「今回の舞台では冬に放送されたアニメの『新章』よりも前のシリーズ、最初のTVアニメの頃のお話を演じます。数年前に戻ったような気持ちで、本番が楽しみです(奥野香耶)」「約一年半前の舞台以来の続編です。私は作中の佳乃に合わせて髪を切ったり伸ばしたりすることが多いんですが、今回また昔の佳乃に合わせて髪を伸ばしているので、この頃の佳乃とマッチしているのではないかと思います(青山吉能)」。

 

舞台ではWUGのライバルであり、業界最大最強のアイドルユニットであるI-1clubも重要な役割を果たす。なかでも岩崎志保役の大坪由佳さんはアニメ最初期から継続して、アニメ・舞台の両方で岩崎志保役を演じている。大坪さんは舞台の志保について、「アニメでの志保はI-1clubのメンバーとしての葛藤だったり、自分の前のセンターだった島田真夢に対するコンプレックスが中心に描かれていました。今回の舞台ではコミックの『リトル・チャレンジャー Wake Up, Girls!-side I-1club-』で描かれたような、後輩メンバーの里佳のお姉さん的立ち位置だったり、同年代の仲間と話す優しい志保、TV版とは違った志保が見られるのではないかと思います」とコメント。I-1clubの仲間たちについては、「アニメでも舞台でも、いろいろなまいまい(近藤麻衣)、いろんなメンバーとI-1clubとして演じて、踊ることができて、仲間がいっぱい増えたようで嬉しいです。今回のメンバーはアニメのI-1clubをすごく研究してくれて、最初からスムーズに舞台に入れました。伝説のかっこいいアイドルに見えるようにがんばっています!」と熱く語ってくれた。

 

公開ゲネプロ&ミニライブをレポート!

 

2017年1月に上演された「Wake Up, Girls! 青葉の記録」ではWUGを結成するまでのドラマ中心に描かれたが、今回の舞台では2014年1月に放送されたTVアニメの中盤以降、気まぐれな天才プロデューサー・早坂相の厳しすぎる指導にWUGが追い詰められ、時にメンバー同士で真っ向からぶつかりあいながらも成長していく姿が中心に描かれる。当然重たい展開が中心になるが、舞台では軽妙な笑いの演出も織り交ぜて、早坂プロデューサーがちょっと隙のある人物として描かれているのが印象的だ。TVアニメで鈴村健一さんが演じた孤高の天才とは描き方のタッチを変えているのが興味深い。

 


ストーリーラインの基本はTVアニメと同じでも、ステージでメンバー同士が対峙して、悩みながら意見をぶつけあうシーンの切実さは全く違った表現と言ってもいい。藍里の脱退を巡るやりとりの中で、メンバー同士の焦り、怒り、悲しみの表現は胸に迫る。今思えば、現実の彼女たちが考え、悩み、話し合った経験と想いも表現する力に変えていたのではないかと思う。特に、藍里の自室で話す七瀬佳乃を演じる青山さんの涙混じりの芝居は本当に素晴らしく、TVアニメのアフレコからの役者としての成長をまざまざと見せつけられた。

 

 

ステージの隅で周囲を見ながら思慮深くふるまう吉岡さんの落ち着いたたたずまいは島田真夢そのもの。そして必見だったのがダンスシーンでの永野さん。「メンバーで一番ダンス経験があって振り付けもできる永野さんが、メンバーで一番ダンスが苦手な藍里を演じる」というのはWUGの面白い矛盾のひとつだったが、テンポが合わずダンスが未熟な藍里の動きを、舞台で永野さんが実際に演じたのには驚かされた。

 


WUG以外のメンバーについてだが、一内さん演じる松田と田中良子さん演じる丹下社長の組み合わせはもはや名人芸。遠慮のないビンタあり、客席の報道陣いじりありで、ゲネプロでも会場を盛り上げた。今回の舞台にはWUGの頼れる先輩である「Twinkle」(アンナ&カリーナ)も登場したが、2人がステージで歌う姿を(ステージ衣装を別に用意して(!))見せる演出は、舞台ならではだ。

 


今回のステージでも、I-1clubチームには歌やダンスを含めた見せ場がたくさんあった。むしろ、I-1の見せ場をしっかり用意するためにこういう演出をするのか、と驚かされた感じだ。大坪さんが会見で語っていた通り、I-1サイドから見た「頼れるやさしい仲間」としての志保の一面がたくさん描かれていたように思う。松田彩希さん演じる高科里佳を含めた「8人のI-1club選抜メンバー」のステージを見ることができたのは、待田堂子さんみずから脚本を書き下ろした舞台ならではだろう。パフォーマンス面では、今回の舞台でI-1のキャプテン・近藤麻衣役を演じた松村芽久未さんのダンスが圧倒的だった。同じ振り付けの中で、下半身のひねりの入れ方や、肩の角度のつけ方のような細かいニュアンスでここまで違いを出せるのかと驚かされた。元リアルアイドルだから…というより松村さん個人のスキルだとは思うのだが、NMB48卒業生のパフォーマンスがI-1の存在にさらなる説得力をもたらしているのはWUGらしいハイパーリンクだと感じた。

 


今回の舞台とミニライブでもうひとつ注目したいのが、7人が懐かしい「16歳のアガペー」の衣裳を着ていたこと。白いスカートにグリーンの2本線が印象的なこの衣裳(7 Girls WarのMVなどでも着ている https://www.youtube.com/watch?v=I9a38uIVy98)。最近はほとんど見ることがなかった最初期の衣裳を、今回の舞台ではがっつり着用(リメイクしているかも)。「あの頃」の衣裳を着てのパフォーマンスは当時を思い出させて、7人の成長をより実感させてくれるものだった。

 

 

ライブ面での歴史と成長を感じたのがミニライブで披露した「7 Girls War」。初期のWUGはヘッドセットをつけてライブをしており、「7 Girls War」曲中にメンバーが特技を見せるコーナー(通称・超人大会)では側転やバレエ風のジャンプ、永野さんのブレイクダンスなどの大技が飛び交っていた。その後、ハンドマイクでライブをやるようになってからは動きのアレンジを変えていたのだが、今回のステージではそれらの演出を全解禁! 本編とは別人のようにキレッキレのブレイクダンスを見せた永野さんが、奥野さんからマイクをばしっと受け取ってそのまま曲に復帰したシーンには、5年間の蓄積を感じた。

 


今の進化した7人が演じる、あの頃のアイドルたちの姿。それはパフォーマンスとしても物語としても素晴らしいものだった。2019年3月をもって声優ユニットとして解散することが発表され、2018年7月スタートのライブツアー3部作「Wake Up, Girls! LIVE TOUR 2018→2019」がラストランとなるWake Up, Girls!。だが、コンテンツとしての「Wake Up, Girls!」は継続することが明言されている。このステージを見た誰もがこの続きの物語、アイドルの祭典のステージに立つWake Up, Girls!とI-1clubの姿を、舞台でも見たいと願ったのではないだろうか。

 


(取材・文/中里キリ)

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