「宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち」 第五章 煉獄(れんごく)篇上映! 中村繪里子インタビュー──もう「うわーーーー!!」って感じです(笑)

2018年05月24日 12:000

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劇場上映アニメ作品「宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち」の第五章「煉獄篇」が、いよいよ2018年5月25日より全国35の映画館にて封切られる。第四章「天命篇」にて、テレサとの邂逅をはたしたヤマトのクルーだが、そこに忍び寄る仇敵・デスラーの影……。さらには、いよいよ地球侵攻に乗り出したガトランティスとの直接対決が待ち構えている……。全七章で構成される本作の大事な章となる、この「第五章」だが、本作で桐生美影役を務めるほか、「愛の宣伝会議」でMCも務めるヤマト宣伝隊長の中村繪里子さんに、その見どころなどを語っていただいた。


桐生美影という役を全うするために、あえて旧作を封印して臨んだ「2199」

──中村さんと言えば、前作「宇宙戦艦ヤマト2199」にて、桐生美影役として登場したわけですが、その際、ヤマトに関してはかなり熱心に勉強されたとうかがっていますが……。

 

中村繪里子(以下、中村) いえいえ、知識としてはまだまだ全然です。元々ヤマトという作品は知っていましたが、「宇宙戦艦ヤマト2199」に声優として参加した時点ではそれほど詳しくなかったんです。でも「2199」が作品として世に出る前に、映画(「宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟」)出演のお話をいただきまして、その関係で「2199」のトークイベントに出ることになったんです。もちろん「ぜひ!」ということでお受けしたんですが、よく考えてみれば、桐生美影は途中(第六章)からの乗組員なので、前半の話をよく知らないなと。さすがにそれはどうかなーと思ったんですが、「ヤマトについてよく知らない中村に対してヤマトについて教えていく」という形のトークにすれば、ファンの間口も広がるだろうということになりました。

 

ということで、もちろん「知らないことは知らない」んですが、ただ私自身、「2199」を観てみたい気持ちが強くて、「観てみたいです!」というお願いをしたところ、第一章から、当時できあがっていた最新話まで全て観させていただけたんです。もちろんそこに自分は出演していないので、私はいちファンの目線で観ていたわけですが、観終わってみたら「これはむちゃくちゃ面白い!」となっていました。

 

──ヤマトという作品は、基本的に男の子が好きなアニメじゃないですか? 中村さんがヤマトにハマっちゃった理由はどのあたりなんでしょうか?

 

中村 旧作の「宇宙戦艦ヤマト」(1974年)を観ていたら、「2199」を観て、ここが違っているとかいろいろ言えると思うんですけど、今に至るまで、なるべく旧作は見ないほうがきっといいに違いない!と思っていて。と言うのも、旧作を観てしまうと、「2199」から「2202」に至るまでの流れが、パラレルワールドのように感じてしまって、もしかしたら演じるうえで難しくなるかもしれないと思ったからなんですけど。

 

なので、旧作と新作がどう違って、何がいいのかというような、比較のお話はまったくできないんですが、「2199」では、それまで思っていた「戦い」であったり「正義」だったりというものが、決して二元論的ではない。人の数だけ悲しみはあるし、幸せも喜びもあるし、生き方もある。敵とか味方というように、完全に割り切れないところに、人間っぽさみたいなものをすごく感じました。本当は好きなのに、殺し合わなくてはいけなかったり、死んでしまったりといった、不条理なものに流されてしまう人間のもろさをしっかり描いているというところが、ヤマトを最初に観たときにグワッときたんですね。それで大好きになりました。

 

 

──なるほど。別にヤマトの戦闘シーンが好きとかそういうのではなく、ドラマ性に惹かれたわけですね。

 

中村 戦闘シーンのすごさについては、観れば観るほど、じわじわわかってくる感じですね。章を重ねるにつれて、作中での技術進化とも相まって、すごい戦い方ができるようになったりとか。「2199」では、ドメル艦隊と戦っているあたりで、「これは大変なことになってきている!」と思いました。

 

あと、全篇を通して、「人と人が戦っている」というのが絶対にブレないのも、ヤマトのすごいところだと思います。決して白兵戦ではないのに、みんなの力を集合させたひとつの艦がぶつかっていくので、生身ではなくとも、そこにはすごい人間感が出ているんです。それはもしかすると「宇宙戦艦ヤマト」という作品でなければ、描けないものかもしれませんね。

 

──確かにヤマトって、一般的なロボットアニメとは違って、主人公ひとりじゃなくて、チームみんなで戦っていく総力戦というか、チームプレイみたいな部分が強いですよね。

 

中村 命令系統とかもそうですよね。一般的な軍隊だと、上から下にというのが絶対ですけど、ヤマトの場合、ちゃんと人対人という部分でのコミュニケーションが取れているんですよね。そういう部分は、制作陣がキャラクター1人ひとりをちゃんと描こうとした結果なんじゃないかなと思います。

 

──そんなヤマトの現場に関わってみて、最初の印象はどうでしたか? 「ヤマトのクルーの一員になった!」みたいな感じはありましたか?

 

中村 見てくださった方の反響があって初めて、「あー私、ヤマトに乗ったんだー」と思いましたね。私が出演しているということを全然知らない方が「2199」を観に行って、「ヤマト、出てたよね?」という反応がすごく多かったんです。あるいは、友人でも、「今度ヤマトに出るんだ」と言ったら、「元々観に行くつもりだったけれど、絶対観に行く」という反応があったり。そういうのって初めてのことだったんですよ。

 

──ほかのキャストの方でも、ヤマトの場合、そういう反応は多いみたいですね。特に、ヤマト大好きな少年時代を過ごしてきた、アラフィフ世代からの反応がすごかったと。

 

中村 そうなんですよ。ヤマトを観て、それで私という存在を知っていただいたり。お正月に実家に帰ったときに1年の報告をするんですが、そこでヤマトに出たという話をしたときなどは、「え、ヤマト!?」と、親の食いつきが全然違いましたね(笑)。

 

 

仮に、作品中でヤマトに乗っていなかったとしても、「宇宙戦艦ヤマト」という作品の1クルーであるという意識は強いです

──アフレコ収録時にプレッシャーなどはありませんでしたか? 並み居る先輩の声優さん達もいらっしゃったと思いますが。

 

中村 収録時にはあまりプレッシャーはありませんでした。出演者の皆さんの団結力はすごいんですが、決して閉じている輪ではなくて、開いている輪なので、入りやすかったです。「2199」のアフレコでは、ヤマト側のクルーもそうですが、ガミラス側のクルーもすごい人数なんです。となると「声優あるある」なんですが、どっち側も演じることになります。現場ではそういうことをネタにしたりして、「今日はお前は敵だからな!」みたいなやり取りがあったりして。あと、本当にヤマトが好きなキャストさんになると、ガミラスの言葉を翻訳できるくらいになっていまして、その方に「ここ、地球語(日本語とは言わない)だとこう書いてあるけど、ガミラス語だと何て言うの?」って聞いたりすると、すぐに答えが返ってきたりとか(笑)。

 

そんな感じで、ヤマトにいつ乗り込んだとか、どれだけ自分のセリフの数が多いかとか、何番目に名前が出るとか、そういうことは全然関係ない雰囲気でやっています。仮に、作中でヤマトに乗っていなかったとしても、「宇宙戦艦ヤマト」という作品の1クルーであるという意識は強いですね。

 

──その流れで、今度は「2202」のお話に移りますが、中村さん演じる桐生美影は、地球に残る「残留組」になるじゃないですか? その時のお気持ちはどんな感じでしたか? この後の航海に参加できないという寂しさなどはありませんでしたか?

 

中村 うーん。私が一番最初に美影と出会ったとき(※編注:桐生美影は「2199」第六章から登場)には、すでにヤマトはたくさんの戦いを重ねてきていたタイミングだったので、途中から表に出てきたような形なんですよね。でも、だからこそ、いち視聴者として客観的に、やや引いた目線で観ることができた面もあります。あと、「2202」に関しては、この後、必ず美影は出てくるというお話は聞いていたので、「その間は純粋にヤマトファンとして観ていられるじゃん!」と。むしろそういう時間をプレゼントしてもらったような気持ちです。

 

──では、今回の「2202」に関しては、むしろファン目線でこれまでの航海を追いかけているという感じですか?

 

中村 そうですね。そういう気持ちは強いかもしれません。もちろん、ほかのクルーがヤマトで頑張っている時に、地球で美影は何をしているだろうな、ということは考えたりします。そういうふうに考えるのも、ファン的な楽しみと言われれば、確かに!と思いますね。

 

──それにしても、地球で待っている時間が長いな、とか思いませんでした?

 

中村 うーん。でも、結構時間軸が巻き戻ったりするもするし、ありがたいことに「愛の宣伝会議」というWeb配信番組で、キャストやスタッフの皆さんとはお会いしたり、お話をうかがったりもできるので。

 

──そんなに離れているという感じはなく?

 

中村 ですです! もしかしたら美影の気持ちに近いのかもしれませんね。こっち(地球)はこっちで頑張っているけど、そちら(ヤマト)はどうですか? みたいな。

 

──で、今回の「第五章」で久々に地球が出てきたわけですが、中村さんにとっては、お待ちかねの再登場ということになりました。

 

中村 実はそのことをちょっと忘れてました(笑)。もちろん自分が17話(第五章)に出させていただいたというのは覚えていたんですが、1話1話というよりも、「章」としてとらえているので、前後のつながりなどはよくわかっていなかったんです。それで、第五章の映像を観させていただいたときに、「あれ? この話、どこかで観たことある」と、ちょっとしたデジャブ状態になりまして。「そういえば、ほかのキャラクターの声も生で聞いたことがある気がする。あ、アフレコブースだ!」という(笑)。後から遅れて感動がついてきたという感覚でした。


──中村さん自身、ある種ファン目線でこれまで「2202」をご覧になって、どんな感想を持たれましたか?

 

中村 もう「うわーーーー!!」って感じです(笑)。

 

──これは大変なことになってきたぞ、と?

 

中村 それこそ、私は第四章のときに、第五章は大変なことになると言っていたわけですが、実はそれ、第三章のときにも舞台挨拶で言ってた気がして。そういえば、第二章のときにも第三章は、って言ってた気がする、あれ?って。でも、いつも表現している言葉は「大変なことになりますよ」で変わらないんですけど、これまで全くそれが裏切られていないんですよ。だから、いつも、ああ、大変なことになってきたー!と。

 

──確かに、章を追うごとに、ますます大変なことになってますよね。

 

中村 でも、おさらいとして第二章とか第三章を見返してみても、やっぱりそれはそれでその時の大変さがあるんですよね。大変さの記録は章を重ねるごとに更新されていってますけど、その時の大変さが古びたり、かすんだりはしない。大変さの種類だったり色が違ってくるという。よくこんなに大変なことばかり集められたなあ、本当にすごいなあって思います。

 

──しかも今回のサブタイトルは「煉獄(れんごく)篇」ですからね。これは相当ヤバいことになるんじゃないかという雰囲気満々ですよね。いよいよ、仇敵・デスラーとの戦い、そしてガトランティスとの直接対決ということにもなってきて、「2202」ならではのオリジナル要素も満載ですが、このあたりはいかがですか?

 

中村 先ほどお話ししたように、私はあえて旧作は見ないようにしているので、「2202」のすべてが私にとっての「ヤマト」なんですね。そういう意味で、常にフレッシュに観られるのはある意味ラッキーかもしれません。今回の「2202」全七章が完結したら、その時こそ、ようやく解禁ということで、旧作を見たいと思っていますが、その時に初めて、いろいろな要素が違うんだとかわかるんでしょうね。そういう意味では、2回見ても3回見ても楽しめるんじゃないかなと思います。

 

私にとっては、たとえアフレコをしていたとしても、それってヤマトの1ピースでしかなくて、それが「宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち」という作品になるには、すべての要素がかみ合わないとダメなんだろうなと思うんです。なので、仮にアフレコなどで先に話を知っていたとしても、私にとっては、いつも初見のフレッシュな状態で観ていますね。

 

──最後に、中村さんから見た、第五章の見どころを教えてください。

 

中村 突然古代くん達の目の前に敵であるデスラーが現れるわけですが、一体「敵」って何なんだろう?ということが、この第五章を観ていくと、どんどんわからなくなっていきます。ヤマトは何と戦い、何のために戦っているのか、そんなある意味で心地いい混乱の中に巻き込まれていくんです。そして最後には、もう一度この「敵」の意味、言わば「愛が生み出す敵」という意味を感じられるんじゃないかなと思います。

 

──やはり、テーマは「愛」ですね。

 

中村 そうですね。今のところ、かなり痛めの「愛」しかない気がしていますが……(笑)。

 

──ありがとうございました。

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