アニゴジがもっと楽しくなる!映画「ゴジラ」講座──第2回「ゴジラ モスラ キングギドラ 大怪獣総攻撃」(2001年) ~ゴジラ最大のライバル~

2018年05月14日 16:240
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日本映画界が世界に誇る大怪獣スター「ゴジラ」が、装いも新たにSFアニメーション映画として生まれ変わったのが2017年。「GODZILLA 怪獣惑星」は、アニメ・ゴジラ(通称:アニゴジ)三部作の第一章にあたり、2万年後の地球に君臨する巨大怪獣ゴジラに立ち向かう人類の壮絶な戦いが描かれた。


「GODZILLA 怪獣惑星」には、全長300メートル、重量10万トン以上という “ゴジラ・アース”が登場する。これまでの実写映画シリーズにおけるゴジラは、「ゴジラVSキングギドラ」(1991年)での100メートル、「GODZILLA」(2014年)の108メートル、「シン・ゴジラ」(2016年)での118.5メートルあたりが最高クラスなので、アニゴジのゴジラ・アースがいかにケタ外れな巨大さなのかがわかるだろう。

 

2018年5月18日より公開される第二章「GODZILLA 決戦機動増殖都市」では、ゴジラだけでなく、かつての人気キャラクターが設定や属性を変化させて“復活”を遂げるというウワサがある。すべては映画が公開された瞬間に明らかとなるのだが、このコラムでは新作に臨む前の“予習”的意味で、かつてのゴジラ映画シリーズから“アニゴジ”と関わりが深そうな作品をいくつかチョイスし、注目ポイントや名場面などをご紹介していきたい。

 


「GODZILLA 決戦機動増殖都市」では、前作のラストで主人公ハルオを助けた謎の少女・ミアナに、双子の姉・マイナがいたことが明らかとなる。彼女たちは作品世界に登場する三種族(人間、エクシフ、ビルサルド)とは異なる第四の種族「フツア」の巫女であり、“神の卵”を守る役目を担っているという。「双子の少女」「卵」というキーワードからは、ゴジラと並ぶ東宝特撮映画の人気スター怪獣「モスラ」が想起させられる。かつて「モスラ対ゴジラ」(1964年)で無敵のゴジラを唯一破った怪獣であるモスラは、今後「アニゴジ」の世界にも登場してくるのだろうか。今後の展開に対して大いなる期待が持たれる。

 

ここでは、かつての実写「ゴジラ」シリーズにおいて、最大、最強の怪獣であるゴジラと激闘を繰り広げた「ライバル怪獣」の存在を取り上げ、特撮怪獣映画の醍醐味のひとつである「怪獣対決」名勝負の数々をご紹介しよう。

 

「ゴジラ」(1954年)で人類の前に初めて姿を現したゴジラは東京の街を蹂躙した後、海底に没した。しかし、古生物学者の山根博士が「あのゴジラが最後の一匹だとは思えない」と予言したとおり、翌年にふたたび別個体のゴジラが確認される。「ゴジラの逆襲」(1955年)では、ゴジラに加えて暴龍アンギラスまでも出現し、二大怪獣が激しく争いながらこんどは大阪の市街地を焦土と化してしまった。その戦いぶりはまさに野獣同士の抗争というべき荒々しく凄惨なもので、アンギラスはゴジラの牙で首筋を噛まれ、血を流して絶命。とどめにゴジラの放射熱線で炎上してしまった。

 

その7年後、ゴジラに思わぬビッグチャンスが舞い降りてきた。それは、1933年にデビューした怪獣界の大先輩・アメリカの「キングコング」との世界タイトルマッチだった。「キングコング対ゴジラ」(1962年)では、南方のファロ島からキングコングが北上し、北の氷山から復活したゴジラが帰巣本能で南下。両者が日本を舞台に、互いの技と力を駆使して徹底的に戦うというスケール感にあふれた筋書き。当時新進のファイターだったゴジラにとって、アメリカから来た大ベテランのキングコングはまさに相手にとって不足なし。この一戦はアメリカをはじめとする各国でも評判となり、ゴジラの世界的知名度をさらに押し上げた。キングコングとゴジラの戦いは、「ゴジラの逆襲」の時のように荒々しく牙をむき合う殺し合いとは異なり、ゴジラは頭突きや尻尾チョップ、キングコングは投石や格闘技など、お互いの持ち味を活かしたスポーツ感覚にあふれるダイナミックな戦いを展開し、怪獣対決にコミカルで痛快な印象を与えている。

 

キングコングとの対戦は、両者がもつれあったまま海に転落して「引き分け」に終わったが、アメリカの大物怪獣スターと互角か、それ以上に戦ったゴジラのファイトは高く評価され、日本ナンバーワン怪獣の地位を確立した。続いてゴジラが挑んだのは、「モスラ」(1961年)で単独主演を果たして大ヒットを飛ばしたモスラだった。キングコングとの戦いが日米モンスター級タイトルマッチと称されるのに対し、モスラとの戦いは東宝映画での王座を賭けた国内防衛戦というべき重要なものとなった。「モスラ対ゴジラ」(1964年)では、「モスラ」で評判を取った小美人(身長30cmの双子の妖精)がふたたび登場。モスラ(成虫)が生み、土の中で何年もかけて大きく育った“卵”を守るため、人間世界に姿を見せている。

凶暴なゴジラ・平和の使者モスラと、善悪がはっきり分かれた両怪獣の戦いは怪獣対決の歴史に残る名勝負と呼ばれ、空から迫りくるモスラを地上のゴジラが迎え撃つなど、空間を利用したパノラミックな戦闘シーンが観る者の興奮を誘った。ゴジラよりも巨大なモスラは大きな羽根による攻撃や鱗粉攻撃でゴジラを追いつめたものの、すでに寿命が尽きかけていたためあと少しというところで敗退。しかし、小美人の祈りによって卵から双子のモスラ幼虫が誕生し、親モスラの仇を討つべくゴジラに立ち向かう。その結果、モスラ(幼虫)の糸によって動きを封じられたゴジラは海底に落下し、そのまま行方知れずとなった。

 

 

キングコング、モスラという大物怪獣スターと名勝負を繰り広げてきたゴジラだが、その戦いに大きな転機が訪れたのは「三大怪獣 地球最大の決戦」(1964年)のときである。突如日本に現れた金星人と名乗る美女が、各地で勃発する怪獣災害を予言するというストーリー。東宝が生んだ大怪獣スター、ゴジラ、ラドン、モスラの「三大怪獣」が宇宙から来た強敵キングギドラを迎え撃つという、壮大すぎるスケールで描かれる怪獣巨編となった。ゴジラとラドンは互いをライバル視して激しく争うが、今回はそんな地球怪獣同士で戦っている場合ではない。かつて金星にあった高度な文明を全滅に追いやったといわれるキングギドラが、地球上で暴威をふるいはじめたからだ。

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キングギドラは全身が金色に輝くウロコに包まれ、巨大な羽根、二股に分かれた尻尾、そして竜のような三本の首、口から吐くイナズマのような引力光線と、すべてにおいてゴージャス感のある悪役として、強いインパクトがあった。暴れん坊で通っているゴジラもラドンも、モスラ(幼虫)からの説得を受けて、地球を守るためにキングギドラと戦う決心をする。これまで単独で主役を張った三大怪獣が束になってかからないと撃退できないというキングギドラの強さとカッコよさは絶品で、これ一作によってキングギドラは多くの怪獣ファンの心をつかみとってしまった。

 

「地球最大の決戦」で一躍人気を博したキングギドラは、続く「怪獣大戦争」(1965年)でも再登場。今度はX星人に操られる怪獣(彼らは怪物ゼロと呼ぶ)として、ゴジラ、ラドンと共に日本各地を破壊してまわった。さらには、怪獣映画の総決算を目指した「怪獣総進撃」(1968年)においては、ゴジラをリーダーとする地球怪獣連合軍を迎え撃つためキラアク星人の要請で地球に飛来した。このときは、地球怪獣10体とのハンディキャップ戦だったこともあり、宇宙に逃げ帰るヒマも与えられず地上でダウンさせられてしまった。さらには「地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン」(1972年)では、地球を狙うM宇宙ハンター星雲人によって操られ、新怪獣ガイガンの「悪い仲間」として4度目の地球襲来を果たした。

 

ゴジラ映画で4度も登場した人気怪獣キングギドラは、映画の世界だけでなくテレビ界にも進出したことがある。ゴジラがゲスト出演したことでも知られる特撮ヒーロー作品「流星人間ゾーン」(1973年)では、ガロガバラン星から地球侵略を企むガロガの操る宇宙怪獣として、キングギドラが登場した。第5話「キングギドラをむかえ撃て!」、第6話「キングギドラの逆襲!」と、サブタイトルでもキングギドラ登場を強くアピールしていることがわかる。本作の巨大ヒーロー・ゾーンファイターがキングギドラを迎え撃ち、最後の決戦はキングギドラとゆかりの深い金星の大地にて行われることになった。

 

1984年に「ゴジラ」で“復活”を遂げたゴジラ映画は、「ゴジラVSビオランテ」(1989年)という新感覚の作品を生み出した後、かつての人気怪獣をも復活させる企画を打ち立てた。それが「ゴジラVSキングギドラ」(1991年)である。ここでのキングギドラはかつての宇宙怪獣ではなく、23世紀の未来人が遺伝子操作によって生み出した「超ドラゴン怪獣」という新しい設定に生まれ変わっての登場となった。

それまではゴジラとキングギドラは決して単体同士では戦ったことがなかったが、今回は初めて1対1のタイマン勝負が実現。キングギドラの圧倒的な大きさ・ボリューム感はそのままで、ゴジラのほうが身長100メートル、重量6万トンにパワーアップ。放射熱線の威力もすさまじいスパイラル熱線となり、キングギドラの羽根を突き破る破壊力を見せつけた。さらに本作では、ゴジラに敗れたキングギドラが未来人の科学技術によってサイボーグ改造され、驚異の「メカキングギドラ」が誕生。当時、完成したばかりの東京都庁舎周辺を舞台に、圧倒的スケールでの大怪獣バトルが行なわれた。

 

ゴジラ、モスラに匹敵する人気を誇るキングギドラは、その後も外見や属性をマイナーチェンジさせて、東宝怪獣映画の世界で活躍している。平成ゴジラシリーズが「ゴジラVSデストロイア」(1995年)で終了したのを受けて始まった平成「モスラ」シリーズの第3作「モスラ3 キングギドラ来襲」(1998年)では、宇宙から来た恐怖の大魔王として来襲したキングギドラに立ち向かう、レインボーモスラの活躍が描かれた。強大な超能力を持つキングギドラに圧倒されたモスラはタイムスリップして白亜紀に向かい、まだ超能力を身につけていないキングギドラを倒そうとする。白亜紀での若いギドラ(通称:ヤングギドラ)は成体よりも羽根が小さく、身体も小さいので小回りがきき、従来よりもアクティブに動きまわる新しいキングギドラ像を打ち出し、好評を博した。

 

 

また、平成「ガメラ」シリーズ3作で怪獣映画ファンから絶大な支持を得た金子修介監督による「ゴジラ モスラ キングギドラ 大怪獣総攻撃」(2001年)では、最凶・最悪のゴジラから人々を守るべく、ヤマトの「聖獣」たち(バラゴン、モスラ、ギドラ)が命を懸けた戦いに挑んでいる。従来の怪獣映画に比べてもオカルティックな要素を多めに加味した本作では、ゴジラに“戦没者の怨念が集まって生まれた怪獣”という新たな属性が与えられ、人間サイドの感情移入を拒絶する「白目」が強く印象に残った。ゴジラの圧倒的な強さ、怖さを強調するためか、バラゴン、モスラ、ギドラの三大怪獣はいずれもゴジラより小さく設定されているのも、本作だけの特徴である。

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ゴジラの情け容赦ない攻撃によってバラゴン、モスラは炎上、消滅するが、その生命エネルギーを得たことで、ギドラは“千年竜王”ことキングギドラとなり、勇気ある人間(防衛軍)と力を合わせて最後の戦いへと向かっていく。当初、ゴジラに挑むヤマトの聖獣はバラゴン、バラン、アンギラスだったのだが、“知名度の高い怪獣を出したい”という興行的な理由により、バランとアンギラスに代わってモスラとキングギドラが抜擢されたという経緯がある。せっかくの映画復帰が実現しなかったバランとアンギラスには気の毒ではあったが、それだけ、ゴジラ、モスラ、キングギドラという名前には観客に強い期待を抱かせるだけのバリューがあるといえるだろう。

 

果たして、「アニゴジ」の世界にはゴジラ宿命のライバル・キングギドラは存在するのだろうか。そしてモスラは……? 公開を間近に控えた第二章「GODZILLA 決戦機動増殖都市」および、来たるべき第三章に大きな期待を抱かずにはいられない。

 

(文/秋田英夫)

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