アニゴジがもっと楽しくなる!映画「ゴジラ」講座──第1回「ゴジラVSメカゴジラ」(1993年)~対ゴジラ決戦兵器~

2018年05月13日 14:280
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日本映画界が世界に誇る大怪獣スター「ゴジラ」が、装いも新たにSFアニメーション映画として生まれ変わったのが2017年。「GODZILLA 怪獣惑星」は、アニメ・ゴジラ(通称:アニゴジ)三部作の第一章にあたり、二万年後の地球に君臨する巨大怪獣ゴジラに立ち向かう人類の壮絶な戦いが描かれた。

3DCGアニメーションで創り出されたゴジラは、従来の実写映像とはまったく異なる外観を有してはいるものの、多くの人々がよく知る「ゴジラ」の要素、すなわちあの独特な「鳴き声」や、巨大な背ビレを発光させ、口から熱線を放射するアクションなどはしっかりと受け継がれ、これもまたゴジラのひとつのバリエーションだとわからせてくれる。


2018年5月18日より公開される「第二章」「GODZILLA 決戦機動増殖都市」では、ゴジラだけでなく、かつての人気キャラクターが設定や属性を変化させて“復活”を遂げるというウワサがある。すべては映画が公開された瞬間に明らかとなるのだが、このコラムでは新作に臨む前の“予習”的意味で、かつてのゴジラ映画シリーズから“アニゴジ”と関わりが深そうな作品をいくつかチョイスし、注目ポイントや名場面などをご紹介していきたい。

 

 

新作アニメ映画「GODZILLA 決戦機動増殖都市」のポスタービジュアルには、ゴジラと、ゴジラに対抗する人類、そしてゴジラの背後から襲撃を試みんとする機械のゴジラ=メカゴジラの姿が確認できる。キャッチコピーにも「人類最後の希望」に(メカゴジラ)とルビ(ふりがな)がふられていることから、この背後のキャラクターこそが、新作で活躍するであろう「メカゴジラ」だと思われる。

 

ゴジラは人類との戦いを繰り広げた第1作に続く第2作「ゴジラの逆襲」において、暴龍アンギラスと激しい死闘を繰り広げた後、キングコングやモスラ、エビラ、ヘドラなどさまざまな怪獣たちと戦ってきた。当初は手のつけられない乱暴者として恐れられたゴジラだったが、宇宙超怪獣キングギドラをモスラ、ラドンとの共同戦線で撃退してからは、なんとなく宇宙からの敵を迎え撃つ地球怪獣のヒーロー的存在になっていった。プロレスでいえば、ヒールからベビーフェイスへの転向というやつである。

第1作「ゴジラ」(1954年)から20年という記念すべき年・1974年に、ゴジラシリーズ第14作として企画された「ゴジラ対メカゴジラ」では、ゴジラ最大の敵として、ゴジラを模したロボット怪獣が作り出されることになった。

ゴジラシリーズでいえば、ゴジラの敵にメカニックを打ち出した怪獣をぶつけるというアイデアはこれが初めてではない。「地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン」(1972年)では、宇宙怪獣をサイボーグ化した「未来怪獣ガイガン」と、レーザー熱線を発射する「ゴジラタワー」が登場している。ガイガンは両腕の巨大なツメや腹部の回転カッターなどで、接近戦に持ち込めばまず流血はまぬがれないというデンジャラスな怪獣として知られているが、粘り強い戦いを得意とするゴジラによって持久戦に持ち込まれ、相棒のキングギドラと一緒に敗走するはめとなった。

メカゴジラはガイガンの「接近戦のみ重視」という単調な戦法を反省したかのように、指に備わったフィンガーミサイル、目からは虹色のスペースビーム、胸からクロスアタックビームと、徹底した遠距離からの攻撃を行うのが大きな特徴となった。しかも、この多彩な火器・熱線兵器をゴジラ目がけて一斉に発射するのだから、ゴジラにしてみればたまったものではない。

全身が武器の塊というメカゴジラだが、その「メカ」という部分にウイークポイントが隠されていた。大宇宙ブラックホール第三惑星人が科学力の粋をこらして作り上げたメカゴジラは、その精密さゆえにヘッドコントロール部分が非常にデリケートだった。ゴジラが得意とする接近戦に持ち込むことができれば、怪力でメカゴジラをねじふせられるかもしれない。ゴジラはいつ、どこでその勝機をつかむのか? それはまだ「ゴジラ対メカゴジラ」をご覧になっていない方のため、映画を観てのおたのしみとしておこう。

メカゴジラは「ゴジラ対メカゴジラ」において、主役のゴジラを食うほどの憎々しいヒール役で強烈な存在感をアピールし、翌年には「メカゴジラの逆襲」(1975年)というメカゴジラ・シリーズ第2弾が作られた。この作品でのメカゴジラ(2号機)は前作よりもパワーアップした設定で、フィンガーミサイルが回転ミサイルに強化されたほか、胸の装甲もゴジラの熱線を受け流せるようV字型にマイナーチェンジ。「遠隔操縦を絶たれると弱い」といったウイークポイントも、しっかりと克服されていて感心するほかない。

 

一度、シリーズを中断させたゴジラが1984年に「ゴジラ」として復活した後、1989年の「ゴジラVSビオランテ」から「平成ゴジラ」シリーズが始まった。「ゴジラVSキングギドラ」(1991年)からは、かつての人気怪獣を平成版へとリニューアルさせてゴジラにぶつける方針が定まった。大ヒット作「ゴジラVSモスラ」(1992年)に続く作品として製作された「ゴジラVSメカゴジラ」(1993年)は、かつての「宇宙人が作ったロボット怪獣」という設定からガラリと変わり、ゴジラの脅威に対抗するべく「国連G対策センター」によって建造された究極の対ゴジラ兵器となった。身体の各部分が鋭角的だった昭和のメカゴジラと異なり、平成のメカゴジラはゴジラのシルエットを活かした曲面パーツで構成されるスタイルとなり、どっしりとした下半身は力士を思わせ重量感に満ちている。映画では、飛行メカのガルーダと合体してスーパーメカゴジラとなり、ゴジラを一度は地に這わせたほどの攻撃力を見せつけている。

 

平成ゴジラ(VS)シリーズが「ゴジラの死」を描いた「ゴジラVSデストロイア」(1995年)で完結し、アメリカ製ゴジラの「GODZILLA」(1998年/トライスター社)をはさむ形で再開したゴジラシリーズは、「ゴジラ2000ミレニアム」(1999年)にちなんで「ミレニアムゴジラシリーズ」という愛称が付けられた。ミレニアムシリーズの特徴は、ある程度連続性があった「VS」と違い「ゴジラ2000ミレニアム」、「ゴジラ×メガギラス G消滅作戦」(2000年)、「ゴジラ モスラ キングギドラ 大怪獣総攻撃」(2001年)と、各作品がそれぞれ独立した世界観でのストーリーが展開している部分。これに続く作品として企画されたのが、みたびの「メカゴジラ」登場となった「ゴジラ×メカゴジラ」(2002年)である。

 

「ゴジラ×メカゴジラ」でのメカゴジラ=3式機龍は、「VS」時と同じく人類がゴジラを対すために作り上げた叡智の結晶という部分こそ同じだが、大きな違いは、いわゆる初代ゴジラ(1954年に東京を襲った最初のゴジラ)の骨をベースにした生体ロボットであるということ。人間によって操縦される兵器でありながら、同族のゴジラを前にしたとたん、初代ゴジラの“魂”が共鳴し、暴走してしまうという危うい一面も兼ね備えた、実に魅力的なキャラクターとなった。

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歴代メカゴジラの中でももっとも機動性に優れており、重厚さとアクティブさの両方を兼ね備えたファイターとして、機龍は怪獣ファン、メカニックファンから熱い視線が注がれた。2018年4月に日本公開され、大ヒットを記録している「レディ・プレイヤー1」(スティーブン・スピルバーグ監督)にメカゴジラが(とてつもなくいい場面で)出てくることが大勢の怪獣ファンからの話題を集めたが、メカゴジラ自体は映画オリジナル・デザインのものだった。

しかし、映画の原作となった小説「ゲーム・ウォーズ」(アーネスト・クライン作)には、明確に「機龍」が登場すると書かれている。機龍の世界的な人気の片りんを、こういったところに見ることができるだろう。

「ゴジラ×メカゴジラ」であと一歩のところまでゴジラを追いつめた機龍は、補修・改造を施されて続編「ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS」(2003年)にも登場し、ここではゴジラとの最後の決戦が東京のど真ん中で繰り広げられる。人気キャラクター「機龍」の誕生からその最後までを描いたこの2作品は、ミレニアムゴジラシリーズの中でもひときわ思い入れの強いファンが存在している。

 

このように、いつの時代も我らの心を掴んで離さなかったメカゴジラ。「アニゴジ」では、どのような姿になって“メカゴジラ”が活躍をするのか……? しかと見届けよう。

 

(文/秋田英夫)

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