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CGならではの苦労と魅力
――チーム戦やミリタリー要素も今回の映画の魅力のひとつです。
深見 自分は「バイオ」シリーズの中でも「4」以降が特に好きなんです。「4」は革命的なタイトルで、ここからミリタリー色が強まり、TPS(サードパーソン・シューティングゲーム)になるじゃないですか。あのスタイルになって「銃を撃ってる感」がすごく高まったと感じます。もちろんそれまでにもTPS的な作品はありましたが、「4」はかっこよさも完成度も群を抜いていた。で、「5」でバイオテロ対策部隊のBSAAが出てきた。特殊部隊ものって見栄えもいいし、話的にもまとめやすいんです。だから今回もがっつり出したいなと思っていました。
――オスプレイに乗ってる隊員の、いかにも軍隊然とした雰囲気がいいですよね。
深見 そう、チーム感というか……だから予算の許す限り(笑)、隊員はなるべく出そうと思いました。
――そこでまた予算の壁が出てくるわけですね。CG制作におけるコストなどの問題は、素人的にはなかなかわかりにくいと思うのですが、具体的にどういった問題があるのでしょうか。
深見 一部の映画ファンには誤解があって、たまに「CGなら楽だよね」的に言う方がいるんですが、「いや違う!」と(笑)。今回もそうなんですが、レイアウトのチェックやライティングなど、結局どれも最後は人力なんです。
――なるほど。そのほか、たとえばCGならではの苦労や難しい点というと?
深見 「ものを食べるシーンだけはやめてください」とはよく言われます。あと「濡れる」「燃える」とかも、「ちょっと状況をスタッフで相談してみます」という話になりがちですね。本作でも燃えるシーンは結構ありますが、そのあたりはすごく工夫や節約されています。いかに派手なシーンを盛り込みつつ予算を削減するかとか、CG的に手間のかからないようにするかなど、うまく調整してある。その辺は辻本監督も、マーザのスタッフといろいろ仕事をしていくうちに、「CG的にはこれはアウトでこれはセーフ」っていうのが身についたとおっしゃってました。
――逆にCG映画ならではの魅力や長所は何だと思われますか?
深見 実写と比べると低予算で作れるところですね。もしも今回の「ヴェンデッタ」を実写で撮ったら、おそらく100億円はかかります。ニューヨークを舞台にパンデミックを起こすストーリーとなるとそのくらいかかります。だから、CGはもちろん楽ではないけど、それでも今の日本の制作会社がハリウッド的なものを撮りたいと思ったら、非常にすぐれた手段だと思います。ハリウッド映画の基準としては低予算。でもCG映画としては十分大作ができる。脚本としても、ハリウッド並みの規模の話を書かせていただけて、すごくやりがいがありました。また、クリスもレオンも元々CGのキャラクターですから、CG映画との相性はいいですよね。この違和感のなさは、今回の「ヴェンデッタ」の魅力のひとつだと思っています。