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恐さとかっこよさのバランスが「バイオ」らしさに
――脚本を担当するにあたり、深見さんご自身は「こんなふうにしよう」など、考えていたことなどはありましたか?
深見 やはりまず、映画としてのクオリティは大事にしよう、ファングッズになっちゃダメだと考えました。映画館に来た人に「ちゃんと1本の映画を見たな」って感じていただけるようにしたい。ゲームだと最速でプレイしても10時間とかの世界ですが、映画の上映時間は90分ほど。ちゃんとその尺の中で終われる「バイオハザード」の物語にしようと思いました。
――具体的に脚本執筆の段階で意識したことは?
深見 前半と後半は意識してテイストを分けました。「バイオ」の魅力は「怖さ」と「かっこよさ」なので、前半で「怖さ」、後半で「かっこよさ」を出していけば、「バイオ」っぽくなるんじゃないかと。
――序盤の洋館は恐怖演出が秀逸でしたね。ゲームの「1」を彷彿とさせつつ、「呪怨」的な恐怖も感じました。
深見 今回せっかく清水さんが制作総指揮として入ってくださったということで、辻本監督がちょこっと「呪怨」のオマージュシーンを入れたりしています(笑)。
――演出面で、監督やプロデューサーからなにか面白い意見などはありましたか?
深見 清水さんは「ぜひ子供ゾンビは出したい」「びっくりさせるならこういうふうにしないと」など、たくさんアイデアをいただきました。序盤のラジコン玩具のシーンとかも清水さんからのアイデアだったと思います。中には「バイオ」的に無理なシーンもありましたが。
――無理というと?
深見 「今のレオンは強いけど、子供レオンが襲われたらだいぶ怖くなるんじゃない?」というような、クリスとレオンの子供時代の描写です。でも、もしかしたらこの先、原作ゲームでクリスとレオンの子供時代とか出るかもしれませんし、ちょっとそっちには触れられないということになりました。ともあれ、清水さんの怖さへのこだわりはすごく参考になりましたし、打ち合わせが楽しかったです。
――そういった刺激を受けるうちに、自分なりに落とし込んだものなどはありましたか?
深見 いろいろ話すうちにふくらんだものは、後半に出てくる結婚式場シーンなどですね。本作は後半になるにつれてだんだんアクション中心になっていきますが、やっぱり怖さも忘れちゃいけないと。怖さとかっこよさのバランスは最後まで意識しました。
――あの場面は人間の怖さみたいなものも垣間見える、深みを感じさせるシーンでした。
深見 あの辺は実際にメガホンを取った辻本監督の演出力も相まっての成果ですね。アリアスはサイコな人物かと思いきや、ちょっと切ないところもあり、はたまたアクション映画の悪役らしく超強いところもある、というキャラクターです。本当は尺や予算に余裕があったら、悪役を知能担当とすごく強い暴力担当の2人に分けてもよかったんです。でも90分できっちり終われて、しかも実はモデリング数とかにも制限があるので、この尺と規模感できれいに話を終わらせるには、頭がよく、かつ強いキャラクターが1人いないとまとまらなかった。その結果、アリアスにはいろいろ背負ってもらう感じになりました。