「アクティヴレイド -機動強襲室第八係-」特集 スタッフ連続インタビュー 第4回 谷口悟朗総監督

2016年03月24日 22:300

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今までと違って、“ドラマ”を作らないことを目指した作品


──すると今後、お話は誰を軸に進んでいくのでしょうか?

谷口 特定の誰かではなく、チームです。あと、この場合のドラマというのは、お話の根幹をなす特定の主人公が目標を設定し、それに伴う葛藤とか、乗り越えなきゃいけない何かを描くという意味です。そっちを作る気はありません。それが、今回の私の個人的な目標です。なので、黒騎さんみたいな大事なアイコンで単独の話はあまりやらないでしょうね。見たかったらドラマCDとかでリクエストしていただけると。

──谷口さんは以前からそういう作りをやりたかったのでしょうか?

谷口 うーん、2~3年くらい前ですかね。今のやり方だと自分の想定しているある目標を突破できないなと思って。じゃあ一回その辺のところをチャラにしてみたほうがよいのではないかというのはありますね。

──突破というのは商業的な意味でしょうか?

谷口 いえ、これは完全に谷口個人の内的な問題です。少しだけ開くと、今の限られたアニメファン層の中で、ずっとマーケットはできているわけじゃないですか。その過程の中で、多くの人から少しずつというよりも、限られた人数からより多くの金銭をいただくという形にマーケットが年々シフトしていっていると思うんですよね。ただ、私自身としては日本のマーケットが狭いんだったら、日本にこだわらなくてもいいじゃないかという考えを持っていまして、そのためには、自分の足場を再確認したりまとめる必要がある。そうしていった先にある答えはある程度自分の中で見えていますが……これは同業者じゃないとわからない感覚かもしれませんね。すみません、まだ言語化できていなくて。はっきり言えるとすると、(監督前作の)「純潔のマリア」も、その心の動きの中で作っていました。あといくつか手を打っていかなければいけないでしょうね。ただ突破しなければいけないというのは、あくまで谷口個人の話なので、業界全体がそっちに動く必要はないとも思います。


──「アクティヴレイド」は谷口さんにとって新機軸を目指す作品に。

谷口 う~ん、今までの作品においても1本ごとに楽しみ方を変えていて、「アクティヴレイド」もその意味ではそれと同じだととらえてはいます。ありがたいことに、何人かは谷口作品というところに共通した何かを求めているようなのですが、残念ながら、それが何かが私にはわからないんですよね。なので、何が新機軸なのやら……。あえて言えるとすると、「アクティヴレイド」は、よりTVアニメということを強く意識して、より多くの人を肯定しようと思っているということですかね。今まではキャラクターを肯定することが多かったんですけど、今回はより多くのスタッフ・キャストを肯定するという形ですね。

──その意味で自由度も大きく作っていくわけですね。

谷口 そうですね。多少荒っぽいことがあっても全体として勢いがあればそれで良しという形でとらえていますから。整合性ばかりを求めていくと、映像としておとなしくなる可能性があるから、この作品に関してはそっちじゃないよねと。筋が通ることを追求することと躍動感を生むことはまた別ですから、その意味において各スタッフの手法とかとらえ方をできるだけ肯定しようかと思っている部分がありますね。もう少し詳しく言うと、肯定するということは、なにもしないということではなく、相手を勉強し、理解するということです。それが私の中にある何かとケンカしなければ、それでよし、と。


──シリーズ構成の荒川稔久さんとは初めて組まれましたね。

谷口 プロダクションアイムズのプロデューサーの黄樹さんが推薦してくださいました。私はどうしてもお話を重くしてしまうので、重くなり過ぎないというか、ウェットにし過ぎない作りにしてくださったのがよかったですね。あと、場面転換がすごく速いのでコンテは慣れた人でないと苦労するだろうなとは思っていました(笑)

──カット割りが多くなると、制作は大変になりますか?

谷口 それは誤解が広がっている部分じゃないですかね。毎回400カットオーバーだったら確かに大変かもしれないけど、すべてがスタジオの負担になるわけではない。というのはCGのオレンジさんが担当するカットもあるし、2Dワーク中心のカットもありますから、実質的には400にならないわけです。最近1話300カットくらいまででという制作会社もありますが、ハッキリ言うとアクションものの何たるかがわかっていない。400くらいになると1カット1アクションで済みますが、カット数が減ると1カットあたりの尺が長くなり2~3アクションが必要で、整合性とか流れを作らなきゃいけないぶんアニメーターが大変になるわけです。つまり、カット数うんぬんというのは、カット袋単位で制作工程を管理する制作側が大変だと言っているに過ぎない。カット数うんぬんというのは大変さの目安にはならないんです。というより、それは演出や編集の領分ですね。予算内であるかぎり、という制約はつきますが。


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アクティヴレイド -機動強襲室第八係-

アクティヴレイド -機動強襲室第八係-

放送日: 2016年1月7日~2016年3月24日   制作会社: プロダクションアイムズ
キャスト: 島﨑信長、櫻井孝宏、小澤亜李、石上静香、倉田雅世、村田太志、相坂優歌、花江夏樹、大川透、大西沙織、鳥海浩輔、緑川光、大原さやか、山下大輝
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