初めて1本だけ見るなら「ROAD TO NINJA ─NARUTO THE MOVIE─」
今これから、初めて、あるいは久々に見るという人にオススメするなら、「ROAD TO NINJA ─NARUTO THE MOVIE─」でしょう。2012年に公開された劇場版第9弾。現在公開中の「THE LAST ─NARUTO THE MOVIE─」のひとつ前の劇場版になる。
本作の一番の魅力は、主人公「うずまきナルト」の魅力と背景がきっちり描かれているところ。第四次忍界大戦に入ってからのナルトは心も身体も強く立派に成長しており、里の英雄としてみんなに認められて大活躍するのでわかりにくくなっていますが、もともとは孤独な「痛み」を知る主人公。
「ROAD TO NINJA ─NARUTO THE MOVIE─」では、成長したナルトに家族の問題を突きつけることで、すねる、悲しむといった子どもっぽい感情を引き出し、改めてナルトに欠けていた家族の愛と、その欠落を乗りこえてきたことで発揮したナルトの強さを浮き彫りにしている。
ナルトの両親がどんな人物で、16年前にどのようにして亡くなったかも、回想で触れられます。本編の第四次忍界大戦の敵役である「うちはマダラ」が事件の黒幕なので、本編とあまり違和感なく、サイドストーリー的に楽しむこともできるだろう。
幻術で作られた偽物の世界ではありますが、「木ノ葉隠れの里」を舞台にしているところも、ポイントが高いといえます。劇場版のエピソードでは、木ノ葉隠れの里を離れて任務につくことが多いのですが、この作品では、歴代の「火影(ほかげ=木の葉隠れの里のリーダー)」の顔岩が並ぶ、「木ノ葉隠れの里」らしい風景をたくさん見ることができる。
偽物の世界では、ナルトの仲間たちも性格が真逆になっています。元の性格を知らないと面白さがわかりにくいでしょうが、「本当の彼らとは逆のコミカルな演出」であることを念頭に置いておけば、ひとまずこの作品は楽しめるでしょう。
多彩なキャラクターやアクロバティックな忍者アクションで、魅力を再確認
主人公のナルトよりも、ナルトの同期の仲間たちのキャラクターに魅力を感じ、彼らの多彩な忍術・アクションに触れてみたいのであれば、「劇場版NARUTO─ナルト─ 疾風伝 火の意志を継ぐ者」(2009年)をオススメ。この作品では、本編でもなかなか勢ぞろいしないナルトの仲間たちが、それぞれに忍術、幻術、体術を駆使して活躍。
うちはサスケが登場する劇場版という意味でレアなのは、「NARUTO─ナルト─大活劇!雪姫忍法帖だってばよ!!」(2004年、第1弾)。仲間だったころの少年サスケが登場する劇場版は、これのみ。指導役のはたけカカシと、ナルト、サスケ、春野サクラの3人一組の「第七班」が、依頼された任務をこなすという初期の基本設定が見られる。まだ未熟な下忍でありながら、さまざまな忍術を駆使して敵と戦うナルトたちの技やアクションも楽しく、初期の魅力にあふれている。
それで「NARUTO─ナルト─」って面白いなと思ったら? 覚悟を決めて、原作コミックかアニメシリーズに、頭からチャレンジしてはいかがでしょうか? ストーリーを頭から把握したいならコミック読破、アクションや好きなキャラクターを中心に楽しみたいなら、アニメシリーズの該当エピソードのつまみ食いをオススメ。年末年始や大型連休など、長い休みが取れるときにハマってみるのも楽しいですよ。
(文/やまゆー)