【放送終了記念!】「続編を作るなら、下の世代の人間ドラマを」TVアニメ「BIRDIE WING -Golf Girls' Story-」Season 2關山晃弘プロデューサーインタビュー後編

2023年06月24日 17:000

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女子ゴルフをモチーフにしたオリジナルTVアニメとして2022年4月〜6月にSeason 1が放送されたTVアニメ「BIRDIE WING -Golf Girls' Story-(バーディーウイング ゴルフガールズストーリー)」(以下、「BIRDIE WING」)。

監督に「ジュエルペット サンシャイン」「タイムボカン24」などを手がけた稲垣隆行氏、シリーズ構成に「機動戦士ガンダム00」をはじめ多数の人気作品を生み出してきた黒田洋介氏を起用した本作は、ドラマティックなストーリー展開や熱い必殺ショット、衝撃的な演出などで人気を博した。

 

2023年4月から放送されたSeason 2でも「BIRDIE WING」らしさは健在。Season 1から続く日本の学園を舞台にした通称「日本編」、そしてイヴと天鷲 葵(あまわし あおい)がプロになっていく「プロ編」が描かれ、熱い戦いや結末は興奮と驚きをもって視聴者から迎えられた。

 

アキバ総研では、Season 1放送終了記念インタビューと同様に、企画の立ち上げから全てを見てきたバンダイナムコピクチャーズプロデューサーの關山晃弘(せきやま あきひろ)氏を直撃。物語の内容からキャラクター、小ネタのことまで、今回もたっぷりとお話をうかがった。

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ユーハやアイシャは、尺があればもう少し深掘りしたかった

 

――より具体的なところもお聞きします。Season 2で特に大変だったシーンをあげるとしたら、どこでしょうか?

 

關山 大変だったというか、ちゃんとやりたいなと思ったのは、高校の大会で優勝したあと、雨の中でイヴと葵が父親について会話するシーンです(第16話)。「私も嘘をついていない。葵も嘘をついていない。じゃあ誰かが嘘をついているんだ!」というこのシーンは、シナリオのときからシリアスに描きたいなと取り組みました。「日本編」の最終回であり、イヴが日本を出ていくきっかけにもなるので、きっちり描きたい思いがありましたね。

  

 

――父親に関しては、謎が解けてパズルがハマっていくような感覚がありましたね。ただ、回想シーンでの穂鷹(天鷲)一彦(CV.鳥海浩輔)の「僕がパパだよ」というセリフは、そのまま言った! と思って面白かったです。

 

關山 こういうところも、たぶん大映ドラマを意識して演出されたと思います。僕もアフレコで直接聞いたとき、「う〜ん……なんか違和感あるな」と思ったんですよ。でも、チェックで何回か聞いていくうちに、「ありだな」「大映ドラマならこういう演出あるよな」と思い、最終チェックのときには「大丈夫。狙った通り」となりました(笑)。

 

――Season 2でも多くの新キャラクターが登場しましたが、キャラクターの立たせ方など試行錯誤したところはありますか?

 

關山 キャラクターの立たせ方は、ほぼほぼ監督にお任せしていました。ただ、僕から唯一注文をつけたのは「カトリーヌ」ですね。実は最初、守銭奴の典型的なイメージみたいな、恰幅のいいおばちゃんだったんですよ。でも、そこはトレンディドラマに出てくるようなきれいな女性というか、見た目をよくしてほしいと言いました。

 

――カトリーヌといえば、第18話で地下ゴルフコースが再登場して、自動コース生成システムをまた見られたのも嬉しかったですね。

 

關山 ここは黒田さんが考えた構成です。イヴが裏社会と決別をするための覚悟というか、ここからは一途に葵を追いかけるんだ、という覚悟なんですよ。「私にさせろ! 本物のゴルフをさせろ!!」と言って終わるので、本当にイヴの決意表明の試合だったなと思います。このエピソードが入ることによって、僕的にはSeason 1で一生懸命作ったあのCGをもう一回使ってもらえてよかったです(笑)。でも、ここで圧倒的に勝っちゃうのがすごいですよね。このまま裏ゴルフの世界に行ったら、億万長者じゃん! と。

 

 

――キャラクターでは、最後に登場したのが「月の女帝」こと、ユーハ・ ハミライル。ユーハというキャラクター自身については、どのように感じていましたか?

 

關山 ユーハは、稲垣監督はあまり苦労せずにすんなり作ることができたキャラクターじゃないかなと、近くで見ていて思いました。ただ、イヴと葵の関係性を描くのに尺を使ってしまったのであれですけど、もう少し深掘りしたかったですね。絶対王者なところは表現できたと思いますが、ユーハの人間的なところや、キャラクターの深掘りまではできていなかったな、と反省しています。後半は怒涛のようにキャラクターが出てきますから。

 

 

――ユーハの前にはアイシャ・カンバッタも出てきますからね。

 

關山 アイシャもキャラクター自体面白かったので、彼女が主役の回があってもよかったかなと思います。アイシャとユーハを深掘りすることによってイヴと葵も深掘りできるというか、連想してイメージができるようになったかなと。アイシャにしてもユーハにしても、やりたいことは頭の中にありましたが、あとはどのくらい尺や話数を使えるか。その戦いでした。

  

 

――アイシャの走りこんで打つ打法は、ルール的に問題ないみたいですね。

 

關山 基本的に大丈夫ですね。

  

――ルール的にはOKだけど安定しないので誰もやらない、とコメントしている人もいて。

 

關山 だからアイシャはスコアが荒れる。バーディーが取れてもボギーがあるとか、そういう表現にしたんですよ。

 

  

イヴや葵の“下の世代”の人間ドラマも作ってみたい

 

――必殺技の名前は黒田さんが考えたとのことでしたが、Season 2に出てきた技も、名前がわかりやすかったですね。

 

關山 技の名前は、僕らも作っていてわかりやすかったです。7色のうちの何色か、最初が「ブルー・バレット」で、「オレンジ・バレット」で旗つつみができるようになるとか。

 

――名前に関していえば、葵が亜室監督(父親)から贈られた48インチのシャイニング・ウイングスの呼び方が「シャイニング48(フォーティーエイト)」だったのも、気になりました。

 

關山 これはアソシエイトの乾が命名したんじゃなかったかな。「48インチだからフォーティーエイト」と言っていて、それ以外の意味は本人も意識していないと思います。

  

――楽曲についてもお聞きします。エンディングテーマは門脇更紗さんの「君がいるから」に変わりましたが、オープニングテーマはSeason 2も、引き続き広瀬香美さんの「Venus Line」でした。これは最初から決めていたのでしょうか?

 

關山 はい。広瀬さんに楽曲を作っていただけるとなったときに、第1話から第25話まで通しで使おうと決めていました。絵はちょっとだけ差し替えましたけど。

 

――この曲はまさに「BIRDIE WING」のイメージですからね。

 

關山 逆に広瀬さんの楽曲じゃないなら、Season 2のオープニングは誰に頼んだらいいんだ? となっちゃうかなと。本当に素晴らしい楽曲を作っていただいたので、最後まで使いたかった。それは最初に思ったことですね。エンディングに関しては、最初のプランでは3部作だから3曲作ろうと考えていたんです。でも、そうすると曲のかかる回数がそれぞれ8回とか9回になってしまう。それだと作っていただいた楽曲がもったいないと思い、2曲にしました。

 

 

――では最後に、希望で構いませんので「BIRDIE WING」の続編があるとしたら、どんなお話を作りたいかをお聞かせください。

 

關山 イヴと葵が主人公の続編、彼女たちがプロとして新しい強敵と対戦したり、苦難を乗り越えていったりする話も作れるとは思いますが、僕がもし「BIRDIE WING」の新シリーズを作るなら、イヴと葵の“次の世代”を描きたいですね。

裏ゴルフを描くのか、主人公が2人なのか1人なのかは置いといて、イヴと葵の活躍に憧れた子たちを主人公にしてやってみたいなと。当然、姫川(みずほ)もあれだけの実力があるわけですからプロになっているだろうし、アイシャはプロツアーを回っているのか、それともレオにくっついていってパトロンをいっぱい引き連れて理想のゴルフを極めているのかわからないですけど、強敵はたくさんいるじゃないですか。下の世代が、イヴたちが戦ってきた強敵たちともう一度戦うのも面白いなと思います。

  

――みんなキャラクターが濃いですからね。そういう人たちも掘り下げられますし。

 

關山 「BIRDIE WING」ってゴルフをやりながら人間ドラマを描いてきたので、ゴルフのすごいところではなく、下の世代での人間ドラマをまた作りたいです。

  

――やはり一番描きたいのは人間ドラマだと。

 

關山 僕はそのほうが作っていて楽しいですし、見ている人も楽しいと思うんですよ。ゴルフを掘り下げていっちゃうと、ゴルフを好きな人は面白いと感じるかもしれないですけど、あまり興味のない人は「そんな技術的なことを解説されても……」となると思うんです。もちろん、ある程度はゴルフもリアリティを持って掘り下げますけど、主軸は人間ドラマ。ゴルフって、競技としては「自分との戦い」みたいなところもあるので、やはり今回同様、人間ドラマを描いていきたいですね。

 

 

――では、「BIRDIE WING」に限らず、次にやってみたい題材はありますか?

 

關山 僕自身の一番大きな目標は、「ドラえもん」や「クレヨンしんちゃん」のような誰もが知っているファミリー向けのアニメを作ることですね。なかなか難しいですけど。

  

――ジャンルに関してはいかがですか?

 

關山 ありがたいことにいろいろやらせていただきましたが、僕がプロデューサーとしてやってきていないものって「メカもの」「ロボットもの」なんですよ。

  

――「ヘボット!」はメカものじゃなかったんですか……?

 

關山 周りの同僚も「(「ヘボット!」で)メカものやってるじゃん」と言うんですが、僕としてはあれをメカものとしてカウントしていいのかな……? と(笑)。あと、僕は劇場版を作ったことがないので、どういう題材でもいいので映画を作りたいです。やったことのないフォーマットに取り組んでみたいですね。

  

――「BIRDIE WING」の続編もそうですし、ほかの題材にしても楽しみにしています。ありがとうございました。


(取材・文/千葉研一)

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放送日: 2022年4月5日~2022年6月28日   制作会社: BN Pictures
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