16年の旅路の果てに、エウレカに送りたい言葉とは……?『EUREKA/交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション』公開記念、エウレカ役・名塚佳織インタビュー!

2021年11月25日 10:000

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2017年より展開している劇場版「交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション」シリーズ。第1作『ハイエボリューション1』、第2作『ANEMONE』から続くシリーズ完結作『EUREKA/交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション』が11月26日(金)、ついに全国公開される。

2005年放送のTVアニメ「交響詩篇エウレカセブン」にはじまり、劇場版『交響詩篇エウレカセブン ポケットが虹でいっぱい』(’09年公開)、「エウレカセブンAO」(’12年)「ハイエボリューション」3部作と、長きにわたるエウレカの旅もいよいよ本作『EUREKA/交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション』で終着となる。

『ANEMONE』の世界から10年ーーその間に何があったのかは、じっくり映画を観ていけばわかるようにできているのだが、公式サイトのイントロダクションやストーリーを読んでから劇場に足を運ぶと、より世界に入り込みやすくなるはずだ。

そして、ぜひとも劇場でエウレカの物語を見届けていただきたい。

きっと、どこか爽やかな気持ちで劇場を後にできるはずだ。

 

そんな本作の公開を目前に控えたエウレカ役・名塚佳織さんに、本作の、そしてエウレカというキャラクターについての思いを語っていただいた。

 



アネモネと本音でぶつかってきたからこそ、今でも本音で甘えられる関係性になっていた

 

ーー本作のキービジュアルを見て、名塚さんはどう思われましたか?

 

名塚 率直に、今までとはまた違うタイプのエウレカに出会えたなと思いました。私はキャラクターの設定イラストをいただいたときに初めて今回のエウレカを見たんですけど、やっぱり衝撃を受けて。たぶん皆さまもキービジュアルを見たときに驚いたと思うんですけど、それと同じような衝撃で、「誰なんだろう!」みたいな(笑)。

 

なので、このエウレカをどう演じていったらいいんだろうというところから始まり、台本をいただいてから、「なるほど!」と思いました。こういう表情になったことにも納得がいきましたし、今までとは違うエウレカが誕生した感じです。

 

ーーこの「ハイエボリューション」シリーズもそうですが、「エウレカセブン」という作品には毎回驚かされますよね。

 

名塚 本当に京田知己監督の頭の中はどうなっているんでしょうね(笑)。エウレカの成長に合わせて声も変わってくると思うんですけど、今回は特に肉体的に訓練を経て強くなっているようなところもあったので、声の出し方自体が変わってくるなという感じはありました。

 

ーーTVシーズのエウレカの声から考えたら、だいぶ違いますよね。

 

名塚 そうですよね。線が細い感じだったところから、今は骨格からして強そうだから別人感がすごくあります(笑)。

 

 

ーー幼少期からオトナまで、これまでいろいろなエウレカを演じてこられていますが、エウレカを演じるうえでの軸みたいなものもあるのですか?

 

名塚 今回も外見は変わりましたけど、やっぱり根本は変わっていないなという印象はあるんですよね……。人とのコミュニケーション能力が低めであるところや、自分に自信がないというか、自分の存在のせいで周りが不幸になっていくことへの恐怖は変わらずに持っていたので、その部分は、これまでと同様に感じられた部分でした。

 

ーー『ANEMONE』は、レントンを失い仮想世界に閉じこもっていたエウレカをアネモネが救い出す話でしたが、仮想世界ということもあって、話の難しさはありました。ただ今作は、構造としてはわかりやすく、エウレカが、エウレカと同じ能力を持つアイリスを護衛しながら旅をする話でした。エウレカとアイリスのやり取りが、親子のようにも見えるし、突然親戚の子供をあずかった人みたいにも感じられて、とても面白かったです。

 

名塚 今までエウレカは、子供とこんなに接することはなかったですし、むしろ周りにオトナがいて面倒を見てもらったり、翻弄されたりしていたんですけど、今作ではアイリスの立場が、今までのエウレカになっているんですよね。

 

そしてエウレカは、初めて子供と接したのに2人きりで旅をする……。アイリスという存在が、エウレカをすごくオトナに成長させてくれたなと思いました。母のように、とはちょっと違うと思うんですけど、オトナにしてくれたみたいな感じがあったかなぁ。

 

スタートはギスギスして、お互い歩み寄れずにどう接していいかもわからずにいるんですけど、深い話をしなくても徐々に気持ちが近寄っていく、お互いを思いやれるようになっていくところは、この作品の魅力なのかなと思います。

 

 

ーー個人的に、アイリスがすごくリアルな子供の動きをしていて、それにあたふたする感じもすごく共感してしまって……。TVアニメの放送から16年ですし、当時からの視聴者で、現在子供がいるような方にとっては、また違った共感ポイントがあるのかなと思いました。

 

名塚 私も娘がいるので、「わかるわかる!」って思うところが多くて、逆に理解できすぎてしまって監督からは「ちょっとお母さん味があふれすぎて、説得力がありすぎるんですけど」みたいなディレクションもあったんです(笑)。「エウレカはもう少したどたどしくていいよ、実感こもった感じで言わないで」って言われたので、そこのバランスは気をつけていましたね(笑)。

 

ーー知りすぎている難しさもあるんですね。でもほほえましく、エウレカがイライラしている姿を見ていました(笑)。

 

名塚 実際の親子でもわかりあえないことってありますからね。特に10歳前後の子供って、外でもいろいろなことを知ってくるから大きく成長するし、オトナはオトナで自分の価値観でものを言いがちだから(笑)。確かに、そういったことを経験している世代には、共感していただける部分は多いかもしれませんね。

 

ーー直撃してしまいました……。アイリス役の遠藤璃菜さんとのかけ合いはいかがでしたか?

 

名塚 彼女はすごく真っ直ぐで、いい意味で子供らしさが声に乗っているんですよね。かわいらしいワガママというか……。子供って悪気なく鋭い発言をすることが多いんですけど(笑)、それが作り込んでいるものではなく、素直に声に乗る感じがすごく素敵だと思いました。

 

アフレコも一緒にできたんですが、傷ついたり動揺したり、「え!?」って思うようなお芝居だったので、こっちも一生懸命あの手この手を考えないと言いくるめられない、下手したらアイリスに全然届かないんだろうと感じました。だから私もエウレカとして真っ直ぐ芝居をぶつけないと、アイリスの心は動かせないだろうと思いました。

 


ーー遠藤さんは実際に若い方ですが、本当に子供っぽさが声に乗っていて素晴らしかったです。もうひとり、大きな存在として石井・風花・アネモネ(CV.小清水亜美)がいます。エウレカとアネモネの関係はいかがでしたか?

 

名塚 TVシリーズだと、ライバルというか絶対にわかり合えない2人だったんですけど、この「ハイエボリューション」3部作においては戦友のようになっていく。前作『ANEMONE』だとまだぶつかっている部分はあったのですが、若い頃って、同世代や同性はいい意味でライバルなんですよね。どんなに仲がよくても、どこかで相手のことを羨ましいと思う瞬間があったり、ないものねだりをしてしまう部分が強いんですけど、それを乗り越えて30代とかに入ると、今度は戦友になっていく。

 

しかも若い頃にぶつかった人ほどその後ずっと仲がよかったり、ライバル視していた人ほど一緒に仕事をしたらうまくいくみたいなことがあるんです。きっとアネモネとエウレカもそういう関係になったのかなって思いました。

 

スタートはああいう出会いでしたけど、結果的にお互いを認め合える存在になり、最終的には心を許し、本音でぶつかってきたからこそ、今でも本音で甘えられる関係性になっていたのは、見ていてすごく感慨深かったです。

 ーーそれは、アネモネ役の小清水さんともそんな感じなのでしょうか?

 

名塚 そうですね! レントン役の三瓶(由布子)ちゃんも小清水亜美ちゃんもデビューも同じくらいの時期で、10代の頃から一緒にお芝居をさせてもらっているので。

 

別に仲が悪いとかけんかした経験もないんですけど、何となく10代の頃は意識の仕方が今とは違っていた気がするんです。仲よくお話しているけど、刺激をし合う相手だったんですよね。でも今は刺激というより、お互い支え合う関係になってきたというか。

 

誰かがしんどい思いをしていれば助けたいと思いますし、逆に助けてもらうこともたくさんあったりとか。いつの間にか家族みたいな関係性に変わってきて、今は日常生活に関しても、親よりも三瓶ちゃんや小清水ちゃんに相談することが多いかもしれないですね(笑)。

 

ーーTVシリーズからのファンにとって、すごく嬉しい発言だと思います。

 

名塚 ラジオとかもずっと一緒にやっていましたからね。イベントも一緒に呼んでもらったり、お仕事でも一緒になったりすることが多くて、それぞれ初めて経験することが多かったので、いつの間にか長い付き合いになりました(笑)。

 

 

ーー長い付き合いと言えば、本作でムーンドギー(CV.宮野真守)やギジェット(CV.水沢史絵)やタルホ(CV.根谷美智子)が出てきたのも、TVシリーズからのファンにとってはうれしいことでした。

 

名塚 そうなんですよ! 今回はみんなが出てきてくれて。やっぱり声の力ってすごいなぁと思いました。声を聴いただけで、ああ!ってなりましたから。

 

今回はコロナの影響で、全員一緒に収録はできなくて、ほかの方たちが出るのは知っていたんですけど、収録のときは聞けていなかったんです。でもそのあと、音声が入った映像を見せていただいたときに、すごく興奮しました。「みんないるっ!」って(笑)。

 

ーームーンドギーはやっぱりなまっていたし、ホランドは相変わらず尻に敷かれていました。

 

名塚 そうでしたね(笑)。でもタルホは妊娠していたからやわらかい感じになっていたと思います。TVシリーズのときは尖った存在だったけど、すごくやわらかくなって、ホランドをガッツリつかんでいる感じが出ていて、いいなって思いました(笑)。

 

ーーそういう意味で、16年の歴史を懐かしむこともできる作品なのかなと感じました。声を聞いたときは、その頃の思い出が蘇ってきたりしたのですか?

 

名塚 当時のアフレコは思い出しました! 夜の収録だったので、終わったあとにみんなで夕飯を食べに行ったなぁとか。ゲッコーステイトのメンバーは家族みたいな感じで、収録中もおしゃべりして和気あいあいとしていたので、そのスタジオの感じや空気は、一瞬にして思い出されました。

 

でも今回の映画では、収録後の打ち上げができていないんです。すぐにではなくてもいいので、いつかはみんなで集まってやれたらいいなと思います。

 

 

ーーそして、本作でエウレカとしては旅が終わる……ということになっています。今、エウレカに声をかけるとしたら、どんな言葉をかけたいですか?

 

名塚 そうだなぁ。でも今作はエウレカがオトナになりすぎちゃって、私がかける言葉はないんですよね(笑)。私なんかより、いろんなことを飲み込んで、包み込んで、最後のシーンを迎えていたので。

 

これはネタバレになってしまいますけど、「●●●、●●●●●●●(※ネタバレにつき、伏せ字)」というエウレカの最後のセリフがあるんです。そのセリフが本当にすべてだなと思うんですよね……。いっぱい辛いことがあったし、大変な目にも遭ってきたんですけど、その言葉が言えたのは、本心なんだろうなぁって、録っているときに思ったんです。それが私にはうれしくて。エウレカがそう思えたなら、私もそれでいいと思いました。

 

これでエウレカを演じられなくなるのは寂しいですけど、最後にこの言葉が聞けて嬉しかったですし、これ以上の言葉はないと思っています。

 

(取材・文/塚越淳一)

【作品情報】
EUREKA/交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション

2021年11月26日(金) 全国ロードショー

 

<キャスト>
エウレカ・サーストン:名塚佳織/アイリス・マッケンジー:遠藤璃菜/石井・風花・アネモネ:小清水亜美
ホランド・ノヴァク:森川智之/タルホ・ノヴァク:根谷美智子/ムーンドギー:宮野真守/ギジェット:水沢史絵/ウォズ:チョー
チャールズ・ビームス:小杉十郎太/レイ・ビームス:久川 綾/エンドウ:佐々木敏/サムナ・スタージョン:下野 紘/ルリ・フレイム:豊口めぐみ
ミーシャ・ストラヴィンスカヤ:沢海陽子/バンクス:三木眞一郎/グレッグ・ベア・イーガン:銀河万丈
レッド・ツゥ:千本木彩花/チャイム:潘めぐみ/エクス・トラ:瀬戸麻沙美/キラ・ポマト:M・A・O/末野・ラ・ティーノ:嶋村 侑/ラ・ラ・ランド:諸星すみれ
レントン・ビームス・サーストン:三瓶由布子/デューイ・ノヴァク:山寺宏一


<スタッフ>
監督:京田知己/脚本:野村祐一、京田知己/原作:BONES/キャラクターデザイン原案:吉田健一/キャラクターデザイン・作画監督:奥村正志
メインメカニックデザイン:河森正治/コンセプチャルデザイン:宮武一貴/メカニックデザイン:大河原邦男、出渕 裕、玉盛順一朗
メインデザイン:上津康義、佐山善則、山根公利、柳瀬敬之、齋藤将嗣、片貝文洋、武半慎吾/銃器設定:金子秀一/特技監督:村木靖
メカ作画監督:横屋健太/メインアニメーター:柿田英樹、大塚 健、阿部慎吾、長野伸明/美術監督:永井一男、本庄雄志/色彩設計:水田信子/
編集:坂本久美子/撮影監督:木村俊也/音響監督:若林和弘/音響効果:倉橋静男/音楽:佐藤直紀
主題歌「Eureka (feat. kojikoji)」変態紳士クラブ(TOY’S FACTORY)
アニメーション制作:ボンズ
製作:バンダイナムコアーツ、バンダイナムコセブンズ、博報堂DYミュージック&ピクチャーズ、ボンズ、サミー、MBS
配給:ショウゲート

<あらすじ>
エウレカが作り上げたスカブコーラル(珊瑚状の情報生命体)の中の仮想世界。その崩壊とともに、仮想世界の人々がこの地球に姿を現して10年が経過した。この“大融合”の結果、 仮想世界人類は「グリーンアース」を、旧来の地球人類は「ブルーアース」を名乗り、水面下でさまざまな衝突を繰り返すことになった。そしてグリーンアース軍の高官デューイ・ノヴァクは、 自分たちの尊厳を守るため、仲間とともに決起し、大規模なテロ計画をついに実行へと移す。
混乱の元凶として世界中から憎まれるエウレカは、国連の独立師団無任所部隊A.C.I.D.(アシッド)の上級戦闘員となっていた。この世界を平和に保つために生きる。それがエウレカの選んだ贖罪の道だった。そんなエウレカに、スカブコーラルを操る能力を持つ新たな“EUREKA”、少女アイリスを保護する命令が下る。最初は対立するばかりだった2人は、孤独な逃避行を通じて、次第に互いのことを理解していく。やがて世界が危機に直面した時、エウレカは極限まで自らの力を振り絞って戦う。「アイリスとこの世界を守りたい」。エウレカの願いの果てに待つ未来とは――


(C)2021 BONES/Project EUREKA MOVIE

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