【インタビュー】「宇宙飛行士でイメージするのは“オレンジ”!」ナレーション&マスコットキャラクター2役で、ムロツヨシがEテレ新作アニメ「宇宙なんちゃら こてつくん」に登場!

2021年04月15日 15:150

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「ごきげんぱんだ」や「こねずみ」など、かわいらしくユーモラスな人間味あふれるキャラクターを描く、人気クリエイター・にしむらゆうじさん原作のWEBまんが「宇宙なんちゃら こてつくん」がTVアニメ化! 毎週水曜日午後6時45分~NHK Eテレにて放送中だ。

TVアニメ「宇宙なんちゃら こてつくん」の主人公・こてつは、宇宙飛行士を目指し、宇宙アカデミーに通うパイロット科の1年生。宇宙アカデミーを舞台に、同じく宇宙を目指す仲間たちとの出会いから、アカデミーでの何気ない日常、夢に向かってがんばることの大切さを描く物語だ。

 

アキバ総研では、本作のナレーション、そしてアニメ本編中の「今日のなんちゃら雑学」コーナーで宇宙のいろんな知識を教えてくれる「DAXA(ダクサ)くん」の声と2役を務めるムロツヨシさんにインタビュー。ナレーションのこだわりやDAXAくんの役作り、作品のお気に入りポイントや本作のテーマ“夢”について、さらに演劇論などもアツく、楽しく、たっぷりと語っていただきました!

 

 

── オファーの率直な感想を教えてください。

 

ムロ 30代に入った頃からずっと、子どもに向けて何かを届けたいという気持ちが芽生えていたので、すごくうれしかったです。ゆるくて、ふんわりという世界観も大好きです。なんとなく力を合わせて、なんとなく協力しながらがんばるのもいいなと思いました。僕は少年ジャンプで育ったので、“友情・努力・勝利”の精神で力を合わせてがんばることの大切さも学んできました。世界観は違うけれど、みんなでがんばることが大事だと教えてくれる作品だと思いました。夢を持つのっていいよね、とふんわり伝えられたらと思っています。

 

—— DAXAくんの役作りについて、監督からどのようなリクエストがあったのでしょうか?

 

ムロ 映像で観たイメージで、“カワイイ感じ”を想像していました。でも、現場で聞いたのは「DAXAで働いているおじさんが変装をして、子どもたちに豆知識を伝えるキャラクター。情報を理解してもらおうと、がんばって高めの声でしゃべる人」という、かなりピンポイントの設定でした。キャラクター然としていない、とにかくゆるい感じでというリクエストでした。ちょっとムリして高い声を出しているおじさんという裏設定を生かし、うまくない感じが欲しいとのことでした。DAXAくんの声は地に足がついていない印象を受けると思います。でも、それは、すべて計算のうえでということをご理解ください(笑)。

 

 

—— 現場でリクエストを聞く前には、ムロさんの中でどのような準備やイメージづくりをしていましたか?

 

ムロ 今回はナレーションと「DAXAくん」の声とダブルで担当するので、まずは、イメージを分けたほうがいいのかどうかを考えました。ありがたいことにNHKではドキュメンタリーのナレーションをやらせてもらっています。そちらでディレクターさんに褒めてもらった経験を生かし、ちょっとした自信を持ってナレーションに臨んだのですが、開口一番「うまくやらないでください」と言われまして(笑)。とにかく“なんちゃって”感が大事なので、肩の力を抜いてくださいとリクエストがありました。準備していたものは今回の現場では全く通用しなかったです。なんちゃってナレーションが合言葉のようでした。

 

—— ゆるさが心地よいアニメですが、設定はゆるくなかったわけですね。

 

ムロ 設定がはっきりしていたおかげで、すごくやりやすかったです。ナレーションとDAXAくんをどう演じ分けようか、いろいろと考えていたので。ただ、なんちゃってナレーションは意外と難しかったです。肩の力を抜いた“風”になってしまいがちなんですよね。ナレーションを経験したばっかりに、伝えようとしちゃうんです。もちろん、なんちゃってとはいえ、伝える役割もあるのですが、しっかりと伝えるナレーションの経験を捨て、なんちゃって風にやりつつ、でも内容は伝わるようにというさじ加減は、大変でした。

 

ーー DAXAくんの声での苦労はなかったのでしょうか?

 

ムロ DAXAくんは、おじさんがちょっとムリして高い声を出すという設定だったので、思う存分、弾けることもできました。まあ、やりすぎで止められることもよくありましたけどね。4話のアフレコのときに、「このイメージでやってください」と1話の声を聞かされました(笑)。ふざけすぎてムロがチラつき始めていて、高い声でしゃべるおじさんではなく、高い声でしゃべるムロになっていたようです。ナレーションでも、毎回いろいろ変えて挑んでいたのですが、こちらもネタ切れになるとムロが顔を出すので、アフレコは毎回迷路に入り込みながらやっている感じです。でも、その迷路に入り込んでいる感も含めて、楽しんでいただきたいです。答えが出ないままEテレで流れているのも、ゆるくておもしろいかなと。

 

—— ムロさんが感じる本作の魅力を教えてください。

 

ムロ キャラクターも含めて、よいゆるさがあるところです。こてつくんが宇宙飛行士の夢を持って、日々の学校生活を送るのですが、「夢を持とうぜ!」「夢に向かってがむしゃらにがんばろうぜ!」という感じではない。押し付けがましさがなく、仲間たちと楽しくゆるいやりとりをしながら、夢を持っているキャラクターがゆるく前に進んでいく。“ゆるさ”はこの作品の大きな魅力だと思います。

 

—— DAXAくんは宇宙の知識を教えてくれるというキャラクターです。ナレーションも含めて作品から得た宇宙の豆知識はありますか?

 

ムロ 月から戻ってくるときに、できるだけ帰りの機体を軽くするために、モノを置いてくるという話です。最新の技術を使って飛んで行ったはずなのに、原始的というか短絡的な発想だと驚きました。でも、それだけ安全に帰ることの大変さも伝わってきました。月に降り立った記念にと旗を立ててくるのとは違い、機体を軽くするためにモノを置いてくる。もちろん、理由はあるにせよ、月が怒らないかとちょっと心配になりつつも、とても勉強になりました。

 

—— 学べることがたくさんありそうで、楽しみですね。

 

ムロ 今日の収録でもひとつありました。天文学が学問として成り立っていない時代には、星占いが勉学の一部に入っていたそうです。星の軌道を予測する中で、未来を予測する星占いがあるらしく、天文学者は全員占いができたそうです。統計学的な意味合いもある星占いに、歴史的要素もあると考えたら、ますます星占いは見ないようにしようと思いました。信用せざるをえなくなりますからね(笑)。

 

 

—— 「ニノ国」や「ボス・ベイビー」シリーズでも声優経験があるムロさんですが、映画、ドラマ、舞台などでの役者としてのアプローチの違いはありますか?

 

ムロ 声だけの仕事には難しさを感じます。普段は、人前に立ち、体のどこかを見せた状態で芝居をするので、たたずまいも観る側の情報になります。演劇論になりますが、棒読みとまでは言わないけれど、淡々とセリフをしゃべることがよいとされる芝居の種類もあるんです。でも、それを声優でやってしまうと、何も伝わらなくなります。声だけではない芝居をたくさんしてしまった経験値があるがゆえに、それを捨てられない自分もいて、声のお芝居だからといって、その切り替えスイッチがあるわけでもない。そこが難しいところですね。キャラクターの口の動きにあわせて、セリフを言うことはできても、情報をすべてみなさんに伝えることができているのか。声優さんの演技を聞いて、自分の演技と比べると、情報が足りていないと感じることも多いです。ただ、悔しい、悲しい、うれしいという感情だけでなく、バックボーンが見える演技になっているのは、本当にすごいと思います。逆に俳優だから伝わる部分もあるかもしれないけれど、自分の課題のひとつとして、考えながらいろいろ試しているところではあります。

 

—— 常にいろいろ試しているのですね。

 

ムロ そうですね。ただ、今回のナレーションとDAXAくんに関しては、難しい考え方は一切必要なかったです(笑)。アツく語っておきながら、こんなことをいうのもなんですけれど……。なんちゃってナレーションとおじさんがちょっとムリして高い声でしゃべるキャラクターというのは、今までの声優の仕事とはまったく違う場所にいるというのが正直な感想です。

 

── ナレーションも含めて声のお仕事が来ることについては、どのように受け止めていますか?

 

ムロ いい声だね、と言われたことはありますが、鵜呑みにしたことはないです。というのも、自分の声を聞くと「鼻詰まってるな」って思うことが多いんです。ほかの人に言われたことがないので、自分にだけそう聞こえるのかもしれないけれど、なんか鼻詰まり声に聞こえません? 個性がある声でもない気もしています。高橋一生さんや玉木宏さんとか、一度実際に声を聞いてもらいたいです。「どこから声が出てるの?」ってくらい、実物は作品で聞くよりもとにかくいい声なんです。もし、いい声の役のオファーだったら、なんで僕に?と思うかもしれません。でも、こんな声でも、こてつくんやNHKさんのナレーションのお話もいただくので、自信を持って行こうとは思っています(笑)。

 

── ナレーションをしていて“楽しい”と感じることはありますか?

 

ムロ ドキュメンタリーのときは、内容がおもしろいときには、ほんの少しだけ感情を入れたりすることもあります。本当は“伝える”ナレーションやニュースキャスターが感情や思いを入れないほうがいい、入れてはいけないらしいのですが、僕は入れちゃうタイプです。

 

── それが味になっている感じはあります。

 

ムロ ありがとうございます!

 

── 宇宙飛行士と聞いてイメージするものを教えてください。

 

ムロ “オレンジ”です。こてつくんもそうだけど、みんなオレンジの服を着ていますよね。オレンジ以外はないのかな?

 

── ブルーもありますね。

 

ムロ そうだ。こてつくんのイメージが強すぎて、オレンジって出ちゃったけど。でも、求めてたのはそういう答えではないですよね? マスク越しに伝わってきました、そういう答えではなく、もうちょっとないかな〜って感じ(笑)

 

── オレンジも問題ありません、が……(笑)。

 

ムロ 「宇宙飛行士=選ばれし人間」ですかね。訓練はすごくきついと聞くし、誰でも簡単になれないものだと思います。役者なんてみんななれますから。

 

── いえ、そんなことはないです。

 

ムロ いえ、そんなことはあります。かっこつけではなく、劇場を借りて舞台に立ったら、みんな役者なんです。セリフよく覚えられますねとか、言われますが、あ、アニメから離れてちょっとアツく語っていいですか?

 

── もちろんです!

 

ムロ 本番を決めてください。役を決めてください。(そう言われれば)絶対セリフを覚えることができます。なぜなら、恥をかきたくないから。人の記憶力って、やると決まったら、絶対できるんですよ、やろうとするんです。すごい能力だと思います。言い方はよくないかもしれないけれど、子どもの役者はいるけど、子どもの医者はいない。つまり、子どもでもできることを僕たちはやっているんです。これだけは絶対忘れてはいけないと思っています。以上、ムロツヨシでした! どうです? “オレンジ”からのこの飛躍と熱弁!

 

── 熱さの違い(笑)。ただ、宇宙からも大きく離れてしまいましたが、こういうお話大好物です!

 

ムロ アハハハ。離れちゃったか。そういうときは架空の質問を足してもらって、うまくまとめていただければ(笑)。

 

── 流れ的には問題ないですが、もっと気楽に答えられる質問にします。宇宙への憧れを抱いたことはありますか?

 

ムロ あります。映画がニュースで見るのではなく、自分の目で見る側に行ってみたい気はします。本当に自分が地球に生きていることを確かめたいです。飛行機に乗って空から見ることができるのは、生活している土地です。地球の輪郭は見たことないし、地球が青いのかも自分の目で見たいです。

 

── 自分の目で見て信じたいのですね。

 

ムロ はい、自分の目で見て信じたい派です。自分の目で見て信じたい派です。ここ、強調なので、2回言うので残しておいてください(笑)。

 

 

── 「夢を持つこと、夢に向かって挑戦することの大切さ」がテーマです。ムロさんがかなえた夢、もしくはかなえたい夢を教えてください。

 

ムロ かなえた夢は、ごはんが食べられる役者になれたことです。役者でごはんが食べられるようになったら、好きな芝居を試してみなさいと自分に言い聞かせてやってきました。今、ごはんが食べられる役者になったので、過去の自分が「ここからは好きな芝居をやっていいよ」と言ってくれるはず。4月から舞台をやるのですが、今までは自己アピール、セリフプロデュース、公開オーディションの場という気持ちで取り組んでいましたが、これからは自己表現だと思っています。自分がおもしろいと思うのはこれです、というところに重きを置いてやっていきたいです。だから、今は、夢の途中かな。これから先、どう転ぶかわからないし、ごはんが食べられる役者でいられるかどうかの保証もありません。でも、自分なりに「いい役者とはどういうことか」を考えながら、自分に期待して明日以降、やっていきたいと思っています。

 

── すてきなコメントです。

 

ムロ でしょ? オレンジよりよかったでしょ?

 

── オレンジも好きですよ。

 

ムロ ありがとうございます(笑)。

 

(取材・文/タナカシノブ)

 

【作品情報】

■宇宙なんちゃら こてつくん

・毎週水曜18:45~にNHK Eテレで放送中

 

・監督:作田ハズム

・原作:にしむらゆうじ

・アニメーション制作:ファンワークス

・主題歌:RHYMESTER

・声の出演:藤原夏海、榎木淳弥、玉木雅士、竹達彩奈、山口茜、山口勝平、ムロツヨシ

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宇宙なんちゃら こてつくん

宇宙なんちゃら こてつくん

放送日: 2021年4月7日~   制作会社: ファンワークス
キャスト: 藤原夏海、榎木淳弥、玉木雅士、竹達彩奈、山口茜、山口勝平、伊藤彩沙、ムロツヨシ、稲川淳二
(C) 2021 Space Academy/ちょっくら月まで委員会

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