“メカメカしいけどかわいい”! 「テクノポリス21C」のスキャニー(アオシマ製)を組んでハートがときめいた!!【80年代B級アニメプラモ博物誌】第1回

2020年07月05日 12:001

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“女の子ロボ”らしいポージングと“ぬえメカ”ディテールを目指す!


組み立て手順はきわめてオーソドックスで、頭→両腕→両足の順番に組んで、最後に頭と手足を前後から胴体パーツではさむ……という、初期ガンプラでもおなじみの構造だ。
まず、頭から見ていこう。

▲特筆すべきは、首のパーツ。T字型をしており、左右に回転するだけでなく上下にも可動する。83年当時のガンプラでも散見される構造だが、スキャニーの場合は「アゴを引く」という女の子らしいポージングを目指していた痕跡と思われる

▲たとえば、頭頂部の丸いパーツは前後の向きがわかるよう、嵌合(部品をはめる突起と穴)が凸型をしているし、アンテナの取りつけ部分も半円になっていて、位置や向きをピタリと決められる。細かいところに配慮された、繊細なキットであることがわかる

さて、このキットで注目したいのは、ヒジの関節だ。今でこそ、ヒジを二重関節にして可動範囲を広げる仕様は当たり前だが、83年当時はほとんど見られなかった。宮武一貴氏のデザイン画では、人間と同じポーズをとらせるため、最初から可動箇所が2か所に設けられているのだ。

▲まず、上腕部。ヒジ内部にH型のジョイントを組み込むが、平行に回転する。つまり、ヒジから先が曲がるだけではなく、左右にもひねることができるのだ。この機構により、より女の子らしい仕草が可能となる……はずである

▲前腕の内側にも、上腕と同様のジョイントを組み込むが、ここではソデ部のパーツを見てほしい。説明書には、ソデパーツの取りつけ向きに注意するよう指示がある。なぜなら、ヒジの外側が斜めに切れているからである。ガンダムのように、単なる角柱ではないのだ。こうしたデザインの志向性に対する気配りが、あちこちに見受けられる

▲さて、上腕と前腕のパーツを組んだら、ヒジ関節のパーツで繋ぐ。ご覧のように、可動軸が2つある。これで人間そっくりに腕が曲げられる……はずが、切り込みが浅すぎて、思ったより曲がらない。しかし、二重関節の機構を考案した、元デザインのアイデアを模型で再現した、という時点で評価に値すると思う

▲ヒジ関節の複雑に比べて、ヒザはただ曲がるだけではあるが、よく見ていただきたい。ジャバラの端に突起があり、そのベロがストッパーになって、ヒザが逆方向に曲がらないよう工夫してあるのだ

だが、驚くのは早い。脚部を組んだ後、前後に小さなパネルのような薄いパーツを貼る指示があるのだ。スネ側にはスクリーンのようなセンサーのようなパネル。カカト側には、もっと複雑なディテールの彫られたパネルを貼るようになっている。
つまり、純粋に「デザイン画がそうなっているから、細部までデザイン画どおりに再現する」、それ以外に何の目的も持たないパーツだ。スタジオぬえが、宮武一貴氏がそのようなディテールを描きたいなら、プラモデルも喜んで地の果てまで着いてきます! という宣言なのである。スネとカカトに貼る極小パーツには、メーカーの決意が込められているのだ。魂が震えるではないか。

▲脚部は簡素な左右分割なので、脚の前後方向に小さなディテールを彫ることはできない。しかし、だからといって、わずか数ミリのパネルで別パーツにするか? でも、1983年のアオシマは、やったのだ

▲パネルを貼ると思ったより見映えはしないのだが、ふくらはぎの辺りの穴にもスリットが彫られていて、「スタジオぬえの意向を最大限尊重する」「とにかく妥協なくデザインを再現したい」暑苦しいまでの想いだけは、しっかり伝わってくる

▲股関節は、当時のロボットプラモでは当たり前になっていたV字型の可動軸。スキャニーの腰が狭いので、ほとんど無意味なんだけど……。胴体前後で頭と手足を挟んで接着すると、いよいよ完成に近づくが……近づくのだが、しかし!

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関連作品

テクノポリス21C

テクノポリス21C

上映開始日: 1982年7月7日
キャスト: 安原義人、滝沢久美子、池田勝、内海賢二、幸田直子、滝口順平、青野武、稲垣悟、大木民夫

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コメント(1)
ソウキソウキ2021/03/01 13:07

懐かしいですね。テクロイドはアニメ誌なんかの設定画を見てすごくワクワクしてました。「ロボットの教科書」と言ってもいいくらいのデザインです。 それだけにもっと活躍する場があれば良かったのですが。

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