僕が見たかった平安や京都を感じる「牙狼<GARO>」――映画「薄墨桜 牙狼」キャラクターデザイン・桂正和インタビュー

2018年10月05日 20:340
僕が見たかった平安や京都を感じる「牙狼<GARO>」――映画「薄墨桜 牙狼」キャラクターデザイン・桂正和インタビュー

2018年10月6日(土)より新宿バルト9ほかにて、映画「薄墨桜-GARO-」(原作:雨宮慶太、監督:西村聡)が全国ロードショーされる。2015年10月~2016年4月に放送されたTVアニメ「牙狼 -紅蓮ノ月-」と同じ平安時代を舞台に、黄金騎士ガロの称号を受け継ぐ雷吼と魔戒法師・星明を中心とした新たな物語が描かれる。

本作にはゲストキャラクターとして陰陽師の明羅(アキラ)と盗賊の時丸が登場。哀しくも儚い復讐劇とは何なのか。その美しい姿にはどのような因果が秘められているのだろうか……。

 

そこで今回は、TVアニメ「牙狼 -紅蓮ノ月-」に引き続きキャラクターデザインを務めた桂正和先生にインタビュー。明羅や時丸をデザインした際のこだわりや本作の見どころ、さらには雨宮さんとの関係などさまざまなことをお聞きした。



“和”っぽさを意識してデザインしました

――「牙狼<GARO>」シリーズに参加した経緯を教えてください。

 

桂正和(以下、桂) 雨宮さんは専門学校(阿佐ヶ谷美術専門学校)の先輩で、実写の「牙狼<GARO>」がもともと好きだったので応援していたんです。それがアニメ化された時になぜか僕が声優で呼ばれて(笑)。何の経験もないのに、行ってみたら30分フルに出ているような役で……。その時に「実は(アニメの)第2弾を考えている」「舞台設定は平安時代」という話を聞いて、面白そうだったので「ぜひ僕にやらせてください!」と言ったのがきっかけです。

 

――自分からやらせてくださいと?

 

 そうです。雨宮さんは「いいよ」と、その場で決まった感じです(笑)。

 

――そしてTVアニメ「牙狼 -紅蓮ノ月-」でキャラクターデザインを務め、今回は映画「薄墨桜 牙狼」となります。ゲストキャラクターの明羅と時丸をデザインするうえで意識したことを教えてください。

 

 キャラクターデザインって監督や脚本家が(内容を)がっちり決める前にやる仕事なので、ふわっとしているところで始めなきゃいけないのが大変なんです。2人が陰陽師と盗賊ということは決まっていましたが、明羅は名前も決まっていなくて。でも、星明とは逆の透明感のある白っぽくてきれいな人にしようと思いました。静かな目をしながらも、どこか復讐心のあるところを意識した感じですね。普通の陰陽師の服で烏帽子は被らせずに描いていき、そこからいろいろ付け足していきました。

 

――時丸についてはいかがですか?

 

 時丸は盗賊なので汚い格好をしているだろうなと。歌舞伎っぽい感じにしたくて、白っぽい長髪の印象は最初からありました。平安「牙狼<GARO>」に関しては、全体的に歌舞伎っぽく見せるような顔つきにしているんです。雷吼も僕のイラストではでは眉毛の形や口の感じは浮世絵や歌舞伎を意識していて。時代は違えど、“和”っぽさを意識して描いていますね。

 

――明羅と時丸のイメージが似ているのは意識してでしょうか?

 

 それは偶然の産物です。脚本会議の中でいろいろ設定も話も変わっていきますから。2人ともブルーベースで塗っているのも偶然ですし、明羅と時丸の関係性も最初は違っていました。

 

 

――脚本の小林靖子さんも、最初は2人組ということだけ考えていたと話していました。

 

 そうそう。(雷吼たちの)単に相手側だからグループ分けみたいにブルーベースに寄せて、2人とも白い髪で。

 

――時丸は顔の傷もポイントになっています。

 

 キャラ立ちとして傷をつけたら面白いかなというのはありました。盗賊をやっているなら傷らだけだと思うし、そういうギリギリのところで生きている人をイメージして描きました。そういう意味でも、やっぱり平安時代の「牙狼<GARO>」はイマジネーションが浮かんできます。平安時代って、雰囲気もいいし魑魅魍魎がいてもおかしくない感じがありますよね。個人的に京都の街も好きなので、やっていてとても楽しいです。

 

――平安が好きだからこそのこだわりがあればお聞かせください。

 

 僕なりに見てきた「牙狼<GARO>」のイメージと平安時代のルールは極力守りたい、ということを自分で決めてデザインしています。小物をうまく使わないと平安っぽくならないんですよ。刀ひとつにしても、平安時代の刀は紐で結っている刀もあるんですが、皮を貼っているものが多いんですね。飾りがついていないと江戸の刀に見えちゃいますし。“差す”というより“垂らす”という感じだったりとか。

 

草履も、戦う人の草履は地面を踏みしめるように指が出ているという話があるらしいんです。アニメには反映されていないですけど、デザインではそこも描いています。こだわりといえばこだわりだし、面白がっていると言えば面白がっている感じですかね。

 

――そういうデザインをがっつり観る見方も面白いかもしれないですね。

 

 こういう映像作品では、集中してデザインを見るというよりも、ぱーっとみた時の印象がすべてだと思うので、そこで何かを感じてくれればいいなと思っています。

 

――デザインはしっかり描いていてあっても、全体として感じてもらえればと?

 

 (ぼんやりと)「明羅、きれいだったな~」と思ってもらえたら、それでいいです。

 

  

平安や京都をすごく感じられる映像です

――完成した映像をご覧になった感想をお聞かせください。

 

 やっと僕が見たい平安「牙狼<GARO>」を観られたと思いました。漂う平安の感じもいいし、竹林で出会うシーンがとても印象深くて。ああいう静かなシーンに普段の平安感が出ているんですよね。もともと平安や京都を感じたいと思っていたので、今回はそれをすごく感じられました。

 

――京都の街の雰囲気がすごく出ていて壮観ですからね。バトルシーンでは街が……となりますけど。

 

 バトルということではちょっと物足りないんですよ。時代が時代だから仕方ないんですけど、平安時代って屋根や背景が低いじゃないですか。でも、やっぱり時代劇の「牙狼<GARO>」を見られてよかったなと思います。

 

 

――「牙狼<GARO>」シリーズの中でも和風なのは珍しい立ち位置ですよね。

 

 雨宮さんと言えば、個人的には「ゼイラム」や「未来忍者 慶雲機忍外伝」のイメージが強くて。(平安ではない)「牙狼<GARO>」のほうが珍しいというか。あの“和とSF”のインパクトに僕はすごく影響を受けたので、雨宮さんの仕事はしたいなと思っていました。しかも平安や京都は僕の大好きな要素だったので、やっていて楽しいですね。

 

――「牙狼<GARO>」の中でも和風というのが桂先生にもマッチしたと。

 

 マッチしました。平安「牙狼<GARO>」は渡したくないです(笑)。

 

――では、シリーズを通した「牙狼<GARO>」の魅力はどこだと感じていますか?

 

 「牙狼<GARO>」って複雑な設定のように見えて、とても王道な作品なんですよ。わかりやすい勧善懲悪だし。雨宮さんはマニアックな人かと思ったら、こんなにストレートな話を撮れるんだなと思って1作目からファンとして応援していました。美術スタッフの竹谷(竹谷隆之)は全く観なかったので「バカ、竹谷。超面白いからちゃんと見ろ」と(笑)。

 

――より具体的なポイントをあげるなら?

 

 人間配置というか、登場人物それぞれの立ち位置がすごく魅力的ですね。戦ってどうのこうのとか因果云々よりも、キャラクターたちがどう生きてどう思っているかが「牙狼<GARO>」の魅力だと思っています。

 

――シリーズの中で特に好きな作品や思い出深い作品を教えてください。

 

 1作目はダークヒーロー然とした無口な主人公(冴島鋼牙)とヒロイン(御月カオル)のコントラストがいいですよね。あと、「牙狼<GARO>-魔戒ノ花-」が好きなんですよ。特に魔道具のマユリの立ち位置が好きです。

 

雨宮慶太さんはプロデューサー能力にすぐれた人

――雨宮さんとは専門学校の先輩・後輩とのことですが、当時から交流があったのですか?

 

 いや、世代が違うのでほとんど交流はなくて、文化祭で1回会ったぐらいですね。僕の後輩の竹谷隆之や寺田克也は雨宮さんと交流があったので、何回かバーベキューパーティーに行ったりとかはありましたが、そのぐらいのつき合いしかなかったです。

 

――仕事を始めた後もあまり交流はなく?

 

 あの人は実写畑の人なので、接点はずっとなかったんです。「ゼイラム」をアニメ化した「I・Я・I・A ZЁIЯAM THE ANIMATION」という作品を作った時に、キャラクター原案をやれと言われたのが仕事での最初の接点ですね。

 

――「ゼイラム」本編のほうでも通行人役をやっていましたよね。

 

 あれはただ呼ばれただけです(笑)。バーベキューで知ってはいましたから。「ジャンプ漫画家を登場させたら話題になるんじゃね?」ぐらいの感じだったんじゃないですかね(笑)。

 

――桂先生から見た、雨宮さんの原作者としての魅力とは?

 

 原作者や監督ということ以上に、プロデュース能力にすぐれた人だなという印象を持っています。「この作品をこうやって売っていく」というビジョンが見えているというか。それは僕にはあまりないし、竹谷や寺田にもない部分なので、すごいなと思いますね。

 

――キャラクターデザインなどで一緒に仕事をする時、雨宮さんはいろいろ言ってくるタイプなのですか?

 

 一切言ってこないです。描いたものに対して「もうちょっとこうしてくれ」と言われることはありますけど、事前に「ああしろ。こうしろ」「こうやれ」というのは全然ないです。やらせてみて、どんなものが出てくるのか見ている感じですかね。

 

――では、TVアニメ「牙狼 -紅蓮ノ月-」で最初に関わった時も桂先生が描いたものがほぼそのまま?

 

 そうですね。雨宮さんは実写で忙しいですから。アニメは好きにやらせている感じがします。

 

――ちなみに、「牙狼 -紅蓮ノ月-」では黄金騎士の後半のデザインも担当されたそうですね。

 

 そうですね。日本の鎧のイメージをどうブレンドしていくかを考えてデザインしました。足元を袴っぽくふくらませてみたり。和風にアレンジするのはとても面白かったです。案外、もとの黄金騎士よりトゲが多いんですけど(笑)。

 

 

――パワーアップするのはワクワクしました。

 

 パワーアップするのは「牙狼<GARO>」の特徴のひとつだったりしますから。

 

――また次のシリーズがある際は期待しています。

 

 やりたいな~。話は全然終わっていないですもんね。

 

――最後に、ファンの方にメッセージをお願いします。

 

 映画「薄墨桜 牙狼」は映像もとても美しくて日本を感じられる作品になっています。テレビシリーズの“ちょっとSF感のある平安”ではなく、本当にあの時代にあったかもしれないと思わせてくれますので、ぜひ観ていただきたいです。

 

 

(取材・文・写真/千葉研一) 




アニメ映画「薄墨桜 -GARO-」公開記念! 桂正和先生サイン色紙プレゼント

明日10月6日(土)より公開となるアニメ映画「薄墨桜 -GARO-」を記念して、キャラクターデザインを務める桂正和先生のサイン入り色紙が当たる、プレゼントキャンペーンが本日よりスタート!

以下の応募要項をご確認のうえ、ドシドシご応募ください。


■賞品
桂正和先生サイン入り色紙


■応募要項
応募期間:2018年10月05日(金)~10月19日(水)23:59
当選人数:1名様
賞品発送:2018年11月までに発送予定
応募方法:専用応募フォームにて受付

<注意事項>
・応募には会員登録(無料)が必要です。
・当選は賞品の発送をもって代えさせていただきます。
・抽選結果・発送状況に関するお問い合わせには応じられません。
・当選された賞品もしくは権利を第三者に譲渡・転売することを禁じます。
・カカクコムグループ社員、および関係者は参加できません。
・下記の場合は、当選を無効とさせていただきますので、ご注意ください。
 ご当選者の住所、転居先不明・長期不在などによりプレゼントをお届けできない場合

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