映画・アトラクション、どちらの面でも楽しめる作品に。「劇場版マクロスF~イツワリノウタヒメ~」MX4D版、河森正治総監督舞台挨拶レポート

2018年06月15日 11:400

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MX4D(“MediaMation MX4D”)とは 米・MediaMation社が開発した、3D映画を超える最新の「体感型」4Dシアターシステム。映画のシーンに合わせて、客席のシートが前後、左右、上下に動くとともに、風、ミスト、香り、ストロボ、煙や振動など五感を刺激する特殊効果が11種用意されており、これらが連動することによって、通常のシアターでは決して味わえない「アトラクション型の映画鑑賞スタイル」を実現している。

「アキバ総研」では、先日、「劇場版 マクロスΔ 激情のワルキューレ」(以下、ワルキューレ)MX4Dプロジェクトリーダーの條々 淳さんとモーションプログラマーの野中友恵さんにMX4Dシステムについて解説していただいたが、同じシステムを採用した「劇場版マクロスF~イツワリノウタヒメ~」MX4D 版が2018年6月8日(金)より上映開始となった。
この上映を記念して、河森正治総監督が登壇しての舞台挨拶が、6月9日(土)にTOHOシネマズ 新宿にて行われた。
アニメ映画上映スケジュール

「マクロス」シリーズ25周年記念作品として2008年にTVアニメが放送された「マクロスF」。その映像に大量の新作カットを加えてストーリーを再構築した劇場版2部作のアニメ映画「劇場版マクロスF ~イツワリノウタヒメ~」(以下、イツワリ)、「劇場版マクロスF ~サヨナラノツバサ~」(以下、サヨナラ)は、2009年と2011年に劇場公開され、あわせて興行収入13.5億円を記録した。
その1作目「劇場版マクロスF ~イツワリノウタヒメ~」のMX4D版が制作され、TVアニメ放映から約10年の時を経た今、河森正治総監督登壇の舞台挨拶が行われた。

ビックウエストの畠中雄一さんが司会を務め、制作や、放映当時の思い出話に花の咲いた舞台挨拶の模様をお届けする。


「マクロスF」のTVシリーズの放映から10周年となるが、今年の頭に東京スカイツリーにて開催された「マクロス BLUE MOON SHOW CASE IN TOKYO SKYTREE」で、シェリルとランカの新曲「Good job!」の映像を制作していたことなどもあり、それほど時間が経ったという感覚はなかったと河森監督。しかし、約10年が経過した「マクロスF」関連で舞台挨拶が開催されたことについては、河森監督自身も驚きをあらわにしていた。


ここで会場に集まったファンにアンケートを採る企画が行われた。「当時映画館で『劇場版マクロスF ~イツワリノウタヒメ~』を観た人」、「作中でランカが歌うキャンペーンソング『ファミリーマート・コスモス』を、当時ファミリーマートで聞いた人」、「『劇場版 マクロスΔ 激情のワルキューレ』そして、そのMX4D版を劇場で観た人」など、さまざまなアンケートが採られていく。

アンケートの最中、当時の思い出を聞かれた河森監督、TV用に作ってはいたが、劇場の大画面で観てほしい思いは常にあったとのこと。「マクロスF」ではTVアニメの放映中に劇場版が制作されることが決定し、さらにその上映が前後編となることが決定し、「イツワリ」でどこまで描くのか、「サヨナラ」でやることをとっておきつつ、1本の映画として完成されたものにしなければいけないというバランスに、非常に頭を使ったという。

その中で、アンケートでも触れられたコンビニとのタイアップでキャンペーンソングが作られるというのはどんな気持ちだったのかと、当時ファミリーマートに勤めていたという畠中さんから興味津々な様子で尋ねられる。アニメの中のキャラクターと同じように人気が駆け上がっていった歌姫(May'n、中島愛)たちと現実のリンクが面白かったという河森監督は、ほかにも現実世界とのリンクができたらと思っていたとのこと。そう考えていた時に畠中さんと出会ったことで、コンビニとのタイアップが決定したのだそうだ。当時はコラボ弁当などのメニューの監修にも河森監督が入っていたというエピソードも披露された。

そして、MX4D版の監修を担当した河森監督に、改めて本作を観た時の感想も尋ねてみると、多くのスタッフに支えられて作ったものであり、数年前の気持ちがよみがえってきたと感慨もひとしおの様子。
新たな発見を尋ねられると「『イツワリ』は新作パート3割、『サヨナラ』は新作パート7割とスタッフに伝えていたのに、実際に制作したスタッフに「絶対7割新作ですよ!」と責められていたとのことで、改めて観てみるとその言葉の通りだったと、今になってスタッフに申し訳なさそうな表情を見せる監督に、会場にはあたたかな笑いが起きていた。

またアクティブに物語が進み、全体的にアトラクション性が高い「ワルキューレ」に対し、前半と後半にアクティブなシーンが固まっていて、中心はしっとりとした感情のシーンに時間をとって作っており、映画としてもアトラクションとしても、どちらの面でも楽しめるのが「イツワリ」と語った。


「ワルキューレ」がMX4D版の1作目とすると、「イツワリ」は監督が監修したMX4D版の2作目となったわけだが、本作の制作時、注意した点についても質問が。アトラクションならば5~10分のものなので無茶な動きもできるが、映画となると2時間以上の上映となるので、最初に酔ってしまわないように気をつけて、揺らすけれど落ち着けるところを入れているとのこと。そして、バトルやライブなどに合わせて振動をつけるだけではなく、キャラクターの感情の揺れにも演出をつけているとのこと。これは「ワルキューレ」の時から取り入れているそうで、実際に視聴してみると、キャラクターの感情の高まりにあわせてシートが振動するというのは、ただ映画を観ている以上にキャラクターに感情移入できるものであると感じた。

そして、ネタバレはあまり好きではないという河森監督に、予習をしておくといいところ、本作の見どころを尋ねてみると、「超大規模戦というよりは生身の人間に近い戦闘が多いので、戦闘シーンではコックピットに乗っている臨場感はもちろん、そのスケール感や重量感がポイント」とこっそり教えてくれた。さらに「細かい気持ちの揺れが(視聴者の)じゃまにならないように入れて」おり、さらにそしてちょっとした小ネタも混ぜているので、ぜひ探してほしいとのことだった。


さらに質問は続き、まだまだある「マクロス」劇場版作品から、「MX4D版を作ってみたい作品は?」との問いには、一番最初に手がけたアニメ映画「超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか」、そして、ライドを最大に生かす作品として「マクロスプラス MOVIE EDITION」をあげ、「マクロスプラス」のMX4D版が制作できることになったら、その際には「酔うのを覚悟してもらう作りにしたい」と強気のコメントが飛び出し、これには会場から拍手が起こっていた。もちろん、本作の後編である「サヨナラ」についてもMX4D版をつくりたいと、熱い思いもアピールされた。

最後にファンに向けて、「7、8年も観ていただいた方も大勢いらして、ずっと支えていただいている感じがします。これからまた10年後でも20年後でも『マクロス』を観ていただきたいですし、新たなデカルチャーを届けていきたいと思っていますので応援よろしくおねがいいします」とメッセージが送られた。最後に急きょ、予定外の観客との記念撮影も行われた舞台挨拶は、終始なごやかな空気の流れる中、終了となった。


蛇足ながらその後の上映の筆者の感想も書かせていただくと、MX4Dの特徴である「シートの突き上げ、首元への感触、背中への感触、香り、風、水しぶき、足元への感触、地響き、突風、霧、ストロボ」がこれでもかと盛り込まれており、MX4D初体験の筆者は、思わず足下を覗き込んだり、後ろを振り返ったりしてしまった。ライブシーンでのストロボなどのライティング、バルキリーに乗っての戦闘シーンでのシートの突き上げ、そして攻撃を受けた際の背中への衝撃など、ライブからバトルシーンまですべてが臨場感にあふれており、これは一度観てしまったら病みつきになりそうだ。早くも筆者は、また決定してもいない「サヨナラ」が観たくて仕方なくなってしまった。

そんな多くの仕掛けの中、特に気になったのが、とあるシーンでの香りと、そしてシェリルの胸の揺れにあわせたシートの振動だったのだが、筆者の妄想かもしれないので、これはぜひ皆さんにも劇場に足を運んでいただき、確認していただきたいところである。

「劇場版マクロスF~イツワリノウタヒメ~」MX4D版はTOHOシネマズ MX4D各劇場にて絶賛上映中。
銀河の妖精 シェリル・ノームと超時空シンデレラ ランカ・リーのライブ、そしてバルキリー対バジュラの戦闘を、ぜひ全身で感じていただきたい。


【作品情報】
■「劇場版マクロスF~イツワリノウタヒメ~」MX4D版


<STORY>
西暦2059年。新天地を目指し航海する超長距離移民船団「マクロス・フロンティア」。大空に憧れバルキリー・パイロットを目指す少年「早乙女アルト」。
銀河最強のポップスター「シェリル・ノーム」。
そのシェリルを目指して一直線に走る歌手志望の少女「ランカ・リー」。
三人が出逢った時、誰も想像しなかった物語が幕を開ける。
謎の生物「バジュラ」からふたりの少女を守るため、可変戦闘機VF-25で戦うアルト。
友との出会い、新しい世界。だが、船団を巡る戦いは激しさを増し、ついにはシェリルにスパイの疑惑さえ持ち上がる。炎を切り裂き飛び行く先に、彼らを待つ“謎”と“歌”とは……!


<スタッフ
原作:河森正治 / スタジオぬえ
監督:河森正治
演出:菊地康仁
脚本:吉野弘幸/河森正治
キャラクターデザイン:江端里沙/ 高橋裕一
メカニックデザイン:石垣純哉/高倉武史
バルキリーデザイン:河森正治
メカニカルアート:天神英貴
CGIテクニカルディレクター:八木下浩史
色彩設計:中山久美子
美術監督:吉原俊一郎(美峰)
音楽:菅野よう子  
音響監督:三間雅文
制作:サテライト/エイトビット
配給:クロックワークス
製作:ビックウエスト/劇場版マクロスF製作委員会

<キャスト>
早乙女アルト:中村悠一
シェリル・ノーム:遠藤綾
ランカ・リー:中島愛
オズマ・リー:小西克幸
ミハエル・ブラン:神谷浩史
ルカ・アンジェローニ:福山潤
クラン・クラン:豊口めぐみ
ブレラ・スターン:保志総一朗     他

<料金>
通常料金+MX4D 追加料金

<チケット販売>
販売方法、販売状況など詳しくは劇場ページをご参照ください。

<実施劇場:TOHOシネマズ>
赤池 柏 ららぽーと富士見 新宿 岡南 西宮OS 二条 鳳 なんば 宇都宮 ららぽーと横浜 川崎 海老名 ららぽーと船橋 府中 西新井 六本木ヒルズ

(C)2009 ビックウエスト/劇場版マクロスF製作委員会

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上映開始日: 2009年11月21日   制作会社: エイトビット/サテライト
キャスト: 中村悠一、遠藤綾、中島愛、小西克幸、神谷浩史、福山潤、豊口めぐみ、大川透、小林沙苗、三宅健太、杉田智和、井上喜久子、桑島法子、保志総一朗
(C) ビックウエスト/劇場版マクロスF製作委員会

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キャスト: 中村悠一、遠藤綾、中島愛、小西克幸、神谷浩史、福山潤、豊口めぐみ、大川透、小林沙苗、三宅健太、杉田智和、井上喜久子、桑島法子、保志総一朗
(C) 2011 ビックウエスト/劇場版マクロスF製作委員会

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放送日: 2008年4月4日~2008年9月26日   制作会社: サテライト
キャスト: 中村悠一、遠藤綾、中島愛、小西克幸、神谷浩史、福山潤、豊口めぐみ、大川透、桑島法子、小林沙苗、三宅健太、西村知道、杉田智和、田中理恵、平野綾、福原香織、井上喜久子、大村歌奈、保志総一朗、宮澤正
(C) 2007 ビックウエスト/マクロスF製作委員会・MBS

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