原由実の笑顔のメッセージが詰まった、ラストアルバム「YOU&ME」

「夕凪」は、ヤンキー映画の主題歌なんです

── 「YOU&ME」は全12曲で、そのうちの3曲が新曲です。最初にレコーディングしたのは、どの曲ですか？

原　アルバムの3曲目に収録されている「夕凪」です。映画の主題歌ということで制作が早かったんですね。去年の夏の終わりにはすでにレコーディングしていました。

── 「夕凪」は、映画「ピースオブマッドシティ」（永田佳大監督）の主題歌です。

原　劇場公開する作品の主題歌を歌わせていただけるのは、久しぶりですし、ラストアルバムの新曲3曲のうち、2曲もタイアップがついたというのは、本当にうれしいです。「夕凪」はコンペで楽曲を選ぶところから参加させていただいたので、メロディの初期段階から聴いていたんですけど、アレンジですごく雰囲気が変わりました。作品の世界観に合わせて作っていただけたんだと思います。

── 「夕凪」はアレンジが独特ですよね。ギターの音色がエモーショナルでかっこいいです。

原　しっとりした中にロックな雰囲気があって、「いばらの灯々」とはまったく異なる雰囲気の曲になりました。不良グループ同士の闘争を描いた青春ヤンキー映画ということで、演奏にかっこよさや熱さが加えられたんだと思います。どういうエンディングを迎えて、「夕凪」が流れるのか私はまだ知らないので、とても楽しみです。

── 原さんのきれいな声が、そういう作品で流れるというマッチングが面白いですよね。

原　はい、なかなかあり得ない組み合わせで、私も面白いって感じました。歌詞も切なさの中に熱さがこもっていて、今まで歌ったことのない世界観でした。この機会に、私もヤンキー映画の世界に浸ってみようと思いました（笑）。ファンのみなさんにも、熱い世界をぜひ劇場で体感してみていただきたいです。

── レコーディングはいかがでしたか？

原　歌いやすかったです。この曲をレコーディングしたのは、ほかの2曲の新曲よりかなり早い段階で、自分の歌というものについて迷いが生まれていた時期だったんです。CDをリリースしてイベントやライブが予定されている期間は「日々修練だ！」みたいな感じで前に突き進んでいくテンションなんですけど、「夕凪」を録ったのはその合間で、自分の中の葛藤が大きくなっていて。でも、この曲がすんなり歌えたというのは、自分の感情に合っていたからだと思います。歌詞もメロディも、自分の中にストンと落ちてきたんだなって思いましたね。

── 「夕凪」は、がむしゃらに走ってきて、ふと静かな瞬間が訪れた時のことを歌った曲ですからね。

原　とても素直な感情を歌った曲で、この曲を歌えたことが次に進むひとつの力になったような気がします。今はやるべきこと、進むべき道がはっきり見えているので、あとは前に進むのみというテンションです。