「交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション 1」完成! 京田知己監督も語りつくした「我らの“エウレカ”アニメ誌3誌連合試写会」レポート

アキバ総研 | 2017年09月11日 17:44
「交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション 1」完成! 京田知己監督も語りつくした「我らの“エウレカ”アニメ誌3誌連合試写会」レポート

2017年9月8日(金)、アニメ映画「交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション 1」の試写イベント「我らの“エウレカ”アニメ誌3誌連合試写会」が開催された。今回は、東京会場で行われた京田総監督とアニメ評論家・藤津亮太氏のトークイベントの様子をご紹介しよう。



2005年にテレビ放送され、絶大な人気を誇ったアニメ「交響詩篇エウレカセブン」。2017年9月16日(土)より公開されるアニメ映画「交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション 1」は、総監督・京田知己さん、脚本・佐藤大さん、キャラクターデザイン・吉田健一さんといったオリジナルスタッフが集い、12年の時を経てリブートされた全3部作の記念すべき第1作目となる。
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会場となった秋葉原のUDXシアターは多くの「エウレカ」ファンで埋め尽くされ、万雷の拍手で迎えられる2人。今回の試写会が「アニメージュ」「アニメディア」「ニュータイプ」のアニメ誌3誌の連合企画ということもあり、トークの口慣らしに藤津さんから「京田監督はアニメ誌は何派だったんですか?」と聞かれると、京田監督は今はなき「アニメック」派だったと明言。当時中学生だった京田監督は、現KADOKAWA代表取締役専務の井上伸一郎さんが副編集長を務めていたことでも知られるマニア向けアニメ雑誌を通じて、人気デザイナー・アニメ監督の出渕裕さんやアニメ制作会社・GAINAXの存在を知ったと振り返る。

 


中学校時代の話から本作の主人公レントンも14歳ということで、そのまま話題は「交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション 1」へと突入。全3部作の1作目となる本作は、レントンを中心に物語が動いていく。藤津さんの「レントンというキャラを描く時に、監督の中学時代の感覚をある程度反映しているのでしょうか?」という質問に対し、京田監督は「特にテレビ版の頃は、自分が14歳だった頃の感覚からは距離があるように描いていました。ただ、今回のほうが今の自分たちから見た過去の自分たちとして、中学生の時の自分の感じ方を反映してます」と答える。いっぽうで、京田監督自身が50代に差しかかるということもあり、佐藤大さんや吉田健一さんと共に「僕らはもうレントンになれないね」と話していたことも明かしていた。

 

また、今回の「交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション1」の制作にあたっては、新規カットだけでなく、テレビ版の画からかなりの修正を加えているとのこと。「交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション1」では、テレビ版から流用したように見えるカットでも、キャラクターの芝居やセリフ、背景の描き直しなど、その多くが新しく生まれ変わっているという。京田監督は「もともとそこまでやるつもりはなかったんですが、物理的な素材がなくなっているカットがあったりして……。どうせ直すんだったら、ちゃんとやったほうがいいと思いました」と話す。

 

「どのあたりをテレビ版から意識して変えましたか?」と問われた京田監督は「まず、(レントンの祖父である)アクセル・サーストンを演じていた青野武さんが(2012年に)亡くなられて、アクセルを出せないということがありました。メインスタッフのわがままかもしれないですけど、青野さんの声じゃないアクセルは見たくなかった。それで、(レントンの父)アドロックの話をやろうということになったんです。

 

そうなった時に、レントンを見守る人がいなくなってしまう。ですので、レイとチャールズをちゃんとレントンの義理の親にしてあげたいと思ったんです。僕らも年を取って、どうしても親目線になってしまうことがありました」と制作時を振り返る。

 

そして、話はレントンの父であるアドロック・サーストンについて。テレビ版では声を当てられなかった重要キャラクターだが、本作では古谷徹さんを起用。この理由について、京田監督はアドロックというキャラクターを以下のように語る。

 


「アドロックはすごくロマンチックな人だろうと思ったんです。そうでないと、こんな無茶苦茶な作戦は考えないし、サマー・オブ・ラブなんて言い出さないでしょう。いっぽうで、部隊を指揮するためにヒゲを生やしたりしてなんとか威厳を見せようとするナイーブなところもある。

なので、単純に渋い声じゃなく、ナイーブな面もありながら、最終的にはいろんな物事を背負って解決するような、ある意味で主役という存在になるような人だったんです」

 

こうしたキャラクター性を表現するにあたり、「機動戦士ガンダム」シリーズのアムロ・レイの印象もあってか、「古谷さんの声しか聞こえてこなかった」と京田監督は話す。また、京田監督が演出として参加したアニメ映画「楽園追放 -Expelled from Paradise-」にて、古谷さんの芝居に対するスタンスを目の当たりにして、感銘を受けたということも述懐していた。

 

藤津さんはさらに踏み込んで「京田監督にとって、(ヒロインである)エウレカはシリーズ全般を通してどのような存在として描こうとしていたのですか?」と問いかける。それに対し、京田監督は「たとえば、男の子と女の子が出会って恋愛が成就する話だったとしても、そこで終わってしまう話にはしたくないと思っていました。それで、エウレカに対して辛い状況だったり課題を与え続けているんです。エウレカはもう与える課題がないくらいだし、僕らも年を取って課題を与えることに臆病になってきているんですけど……。そういう意味で、エウレカは強い生き様や意志を持って、自立して生きていく人間であってほしいと思って描いてます」と答えるなど、監督のキャラクター観に光が当てられた。

 

そして、話題は早くも第二作目について。次回予告で登場するアネモネに加え、監督の口から「交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション 2」ではちゃんとドミニクが登場することも明言された。これにはドミニクファンもひと安心といったところだろう。

 

また、ネタバレとなるため、具体的なことがしゃべれない中でも「『交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション 1』は毛色が変わった方法論だったんですけど、『交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション 2』はよりみなさんが見たいと思っている内容で、エンターテインメントな映画になっていると思います」(京田監督)と語るなど、テレビ版からのファン待望のエピソードが展開されることもうかがえた。

 

そのほか、トークイベントでは音響設計や演出による画面比率の使い分けといったテクニカルな話題も飛び出し、盛りあがりを見せていた。惜しまれながらもトークの時間が終わりに近づき、最後に京田監督からファンへ向けての挨拶でイベントは締めくくられた。

 

「今回、いろんな事情があってこういうフィルムになったんですけど、(『交響詩篇エウレカセブン』は)毎回すごいトラブルが多くて、今度こそ作れないわ……ってなるたびに、いろんな人が現れては『エウレカを作ってるんでしょ』と言って手助けや支援をしてくれるんです。現場のスタッフは『奇跡で成り立っている』と言っていますが、本当に『エウレカ』というタイトルがみんなから愛されているんだということがすごくよくわかりました。12年間好きでいてくれた方々の支えがあったからこそ、ここまでたどり着けました。

 

本当にみなさんに感謝していますし、もっとみなさんを驚かせて、見て喜んでもらえるものを作って返さないといけないと思っています。(次作は)1年おきくらいに(公開予定なので)、あと2年間ほどお付き合いいただけるとありがたいです」。

 

「交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション 1」は、9月16日より全国ロードショー。

 

(取材・文/須賀原みち)

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