ホビー業界インサイド第10回:プロモデラーが出迎えるホビーショップの存在意義 「模型ファクトリー」マイスター、関田恵輔、インタビュー!

2016年04月29日 11:000

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「来店したら、作るしかない」、簡潔な作業スペース


──オオゴシ*トモエさんが講師をされている、女性限定のワークショップでは、なにかテーマを決めているんですか?

関田 いえ、決めていません。プラモデルを作る方の横で、ガレージキットを作っている女性もいるし、戦車、飛行機、怪獣……とても、バラエティに富んでいます。メディアの方には、「女性が作るのだから、キラキラのデコデコの作品では?」といった固定概念があるようなのですが、そんなことはありません。プラモデルというのは、「好きなものを好きなときに好きように作る」、それに尽きます。ですので、私の講座で「キャラクター、メカモデル限定」というような場合はありますが、それ以外の縛りは設けていません。それに、模型では男女の差はないな、と感じています。女性でも、ウェザリング(汚し塗装)でがっちり汚してくる方もいらっしゃいます。私も当初は、女性ならではの作品傾向があるのかと思っていたのですが、まったくありませんでした。

──なぜ、そこまでモデラー層の広がりが出たのでしょう?

関田 「プラモデルを始めてみたいけど、どうしたらいいのか具体的にわからない」方が、いま本当に多いと感じています。弊社代表の有馬も、そこを敏感に察知して、マルイさんの中というご来店しやすい環境に店舗をかまえて、いつでも気軽に立ちよれて、なんでも話を聞いてもらえるお店に……という気持ちが働いたのでしょう。ですから、作業スペースに英字新聞置いて気取ってみたり(笑)、内装も小ぎれいにまとまっていると思います。

今までは、われわれショップも、メーカーも、雑誌社さんも、「すでにプラモデルを作れる人」しか見てこなかったと思うんです。そうではなく、これから始めたい人や、そもそもプラモデルなんて意識していなかった人のことを考えたい。それと、今までプラモデルを作っていた人の中にも、ご家族が有機溶剤の匂いを嫌がったり、家庭内で肩身のせまい思いをしていたり、いろいろと問題を抱えてらっしゃる方がいます。そういう方にこそ、この作業スペースを使って、気兼ねなく塗装してほしいと思います。


もうひとつ、この場所の特徴のひとつは「来たら、作るしかない」ことです。ご家庭だと、やはりテレビやパソコンなど、他に誘惑がいっぱいあるでしょうけれど、この作業スペースなら11時の開店時間に来店してガーッと集中して作って、ちょっとお腹がすいたら、上階はレストラン・フロアですから、昼食をとって、また作業に戻る方が多いです。「ここに来ると、作業がはかどる」と、よく言われます。それと、プラモデルって、「上手くなってから始める」ことはできませんよね。「作りながら、上手くなっていく」しかない。だけど、お客様は失敗したくないし、どうしたらいいのかわからず、手が止まってしまう……そこで、私たちが力をお貸しすることで、スムーズに前へ進むことができる。それが、当店の存在価値だと思っています。




(取材・文/廣田恵介)

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