話題のウォーキングシミュレーター「8番出口」をレビュー。どこかに潜む異変を見極め、無限に続く通路から脱出できるか?

2024年01月02日 14:000

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2023年11月29日より、Steamではウォーキングシミュレーターの「8番出口」が配信されている。本稿では、SNSなどで話題沸騰の本作のレビューをお届けしよう。

異変を見つけたら引き返し、なにもなければそのまま進む

 

本作の目的は、駅の地下通路を通って8番の出口から地上に出ること。蛍光灯に点字ブロック、ポスターや監視カメラなど、通路には駅の地下ならとくに珍しくもないものが配置されている。ただし、通路は同じ地形を無限にくり返すような仕組みになっており、やみくもに進んでもまず出られない。

 

操作はシンプルで、前後左右の移動のみ

 

脱出の突破口となるのが、通路に潜む異変への対処だ。通路では大小さまざまな異変が起こり得るため、プレイヤーは通路をくり返し通るたびにその有無を見極め、あるなら引き返し、なにもなければそのまま進む。これを少なくとも8回以上くり返し、連続で正解する必要がある。異変を見逃して先に進んだ場合、プレイヤーは振り出しに戻されてしまう。進捗の目安になるのが通路の最初の曲がり角にある案内板で、初期は出口の番号がゼロなのだが、正解するたびにひとつずつ増えていく。

 

 

8回以上連続で間違い探しに正解するわけだが、異変が必ず起こるわけではないというのがポイント。異変の有無によって変化する場所を覚えるためにも、通路を何度も通って周囲をつぶさに観察し、風景を細かく覚えなくてはならない。

 

異変のバリエーションは多く、1周目のプレイだけではおそらく回収しきれない。通路を通るだけで明らかにわかるタイプもあれば、途中で振り返ったり、その場で凝視しなければ判別できないものもある。

 

 

最初はなにかとゼロ番まで戻されてしまい、遅々として先に進めないことが大半。じれったくもあるが、それは観察と失敗をくり返して通路の風景を目に焼き付け、やがてどこかに生じる異変に気付くための下準備でもある。いわゆる「無限ループ」と間違い探しを組み合わせたゲーム性で、シンプルながらよくできたシステムである。

 

なお、案内板に8番と書かれているからといって、そのままゴールに着けるかはわからない。たとえその先に出口があったとしても、いま自分がいる通路に異変が確認された場合、引き返さなくてはならないためだ。8番出口に向かうには、異変がない正常な通路を通らねばならず、場合によっては案内板に8番と書かれた通路を何度も引き返す可能性もある。ようやく8番まで来たときは、失敗したらまた最初からというプレッシャーも大きくなるなど、遊んでいてスリルがあった。

 

 

今回のプレイでは筆者は40分ほどでクリアできた。異変をいかに見極められるかによってクリアにかかる時間は大きく変わるが、筆者の感覚では長くても1時間半あればどうにかなりそうな気はする。ちなみに、Steamにおける本作の公式ページの説明文では、プレイ時間は15~60分と書かれていた。

 

異変が起こり得る場をじっくり探索する緊張感


 

異変の中にはちょっとしたホラー要素もあるのだが、うしろから化け物に襲われるとか、突如として幽霊の姿が画面いっぱいに表示されるといった、びっくり系のホラーではない。気付くと背筋が寒くなるような、心を徐々にむしばんでくるタイプが中心だ。

 

しかり、それがかえってプレイヤーの恐怖をあおる。なにが潜んでいるかわからない空間で、その場で足を止めて周囲をじっくり観察しなければならないという状況が精神的に来る。本作は画質や質感が非常にリアルであること、さらに主観視点のゲームなので臨場感があることも手伝って、雰囲気でプレイヤーを怖がらせるホラーゲームとしても楽しめる。

 

 

目安ではあるが、数十分から1時間ほどで終わる手軽なボリュームに加え、470円という安さ、操作性のシンプルさなど、「8番出口」はとても遊びやすい。サクッと楽しみたいという人はもちろん、じわじわくるタイプのホラーゲームが好きな人にもオススメできる1作だ。

夏無内好

夏無内好

活動歴約10年のフリーライター。専門学校を出た後、大手のゲーム雑誌の記事作成や編集プロダクションの攻略本作成などを経験。週刊誌での長期連載やプレスリリースのリライトも経て、最近はアキバ総研などのウェブ系でも執筆を始める。 基本的に雑食で、RPGからアクション、シミュレーションやFPSまでなんでもやる。

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