表と裏のビジネスを両立させろ!「Definitely Not Fried Chicken」レビュー ちょっとアブないダークな経営シミュレーションゲーム

2023年12月02日 12:000

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アキバ総研をご覧の皆さま、いかがお過ごしでしょうか。ゲーム買いすぎちゃう系ライターの百壁ネロでございます。皆さま、お店を経営するシミュレーションゲームはお好きでしょうか?ハンバーガーショップや服屋など、経営するお店の種類は数あれど、これからご紹介する「Definitely Not Fried Chicken」は、かなりアブない商売をシミュレーションできちゃう作品です。

フライドチキンショップを経営しよう!……と思ったら、突然のクビ!? そして危険な「裏のビジネス」の世界へ……


本作は、フライドチキンショップをはじめとしたさまざまなビジネスの経営とともに、アブない裏ビジネスも経営するという、一風変わった経営シミュレーションゲームです。タイトルの「Definitely Not Fried Chicken」は、和訳すると「決してフライドチキンではありません」となり、なにやら意味深であやしげな香りが漂います。



ゲームの舞台となるのは太陽が降り注ぐすてきな国、パラダイスシティ。この国にやってきたプレイヤーは、フライドチキンショップのマネージャーという仕事に就き、「少佐」と呼ばれる上司のもとでショップの立て直しを行うこととなります。この立て直し業務は、いわゆるチュートリアルになっており、少佐の指示にしたがってニワトリ小屋やブレンダーなどの設備を設置したり、従業員を雇ったり、スタッフ用のトイレや休憩所を設置したりしていきます。画面の左側部分から設置したいものを選択して、店内の配置したい場所をクリックしたりと、操作は経営シミュレーションゲームとしてはオーソドックスなもので、遊びやすい作り。それはそれとして、キッチン内にニワトリ小屋を設置するのは衛生的にいかがなものでしょうね……!



さて、ひととおりの作業を終え、ショップの立て直しが完了すると、少佐から衝撃のひと言が飛び出します。

「キミはクビだ!ハハハ!」

あまりのことにしばし呆然としてしまいますが、そう、プレイヤーは少佐にタダ働きさせられたあげく、店から追い出されてしまったのです。なんという仕打ち……!



すると、途方に暮れるプレイヤーの前に、ひとりの人物が現れます。その人物は、プレイヤーに新たなビジネスを紹介してくれるのですが……何を隠そう、そのビジネスとは「大麻の生産」! そう、これは立派な裏ビジネスです。というわけでプレイヤーは、危険な裏ビジネスの世界に足を踏み込んでいくこととなるのでした……。

ボクセル調で描かれたかわいらしいグラフィックとは裏腹に、内容はかなりのブラックさ。このギャップが、本作の唯一無二な魅力のひとつとなっています。

 

 

妙にリアルな(?)裏ビジネスの経営!気分はまるでアウトロー!?


ひょんなことから裏ビジネスに足を突っ込んだプレイヤーは、さっそく、裏ビジネスを行うための施設として、使われていない公園に大麻農場を作ることとなります。
なかなかスリリングな展開ですが、やることはチュートリアルで少佐から指示を受けたフライドチキンショップの立て直しと基本は同じです。

育成室を作成し、ドアや栽培台、乾燥パレットや裁断ベンチ、大麻の品質を向上させるためのライトなどを配置し、栽培作業を行うスタッフを雇えば準備完了。聞き慣れない設備が多数登場し、大麻栽培について詳しい知識がなくとも、なにやら妙なリアリティが感じられるのが面白いところ。

 

 

製品の生産場所を作り終えたら、次に保管庫を整えます。なんのための保管庫なのかと言うと、何を隠そう、出荷の準備用。そう、本作は「生産場所を作ったら終わり」ではなく、「作った製品を出荷して売りさばく」といった部分まで自分の手で作成する必要があるのです。このあたりが、本作が単なる経営シミュレーションではなく「裏ビジネスシミュレーション」たるゆえん。さらに、アブない商売にはそれなりの危険もつきものというわけで、農場や保管庫を見回りする警備員も雇わなければなりません。「警備員」と言うと聞こえはいいですが、実際はバットや銃などの武器を手にビジネス場所をうろつく仕事をする人物なので、アウトロー感が半端ないです。

 

 

出荷準備が整ったら、続いて「ホットライン」の購入と整備です。
これは簡潔に言うと、裏ビジネス製品の流通経路のようなもの。これを整備することで、ゲーム内の人物が言う「真っ当で本物の麻薬輸出業者」になれるのです!……言うまでもなく、もちろんこれはゲーム内の表現であって、現実世界では「ダメ絶対」ですよ。と、まあ、それはともかくとして、本作にはこういったディープなリアリティとブラックなジョークがいっぱいです。有名なクライムアクションゲーム「Grand Theft Auto」などがお好きな方なら、思わずハマってしまう世界観なのではないかと思います。

 

 

合法と非合法の二刀流!? 裏のビジネスだけじゃなくて「表のビジネス」も同時経営!


ここまで紹介した内容だけでも、十分ディープですさまじい本作ですが、実はここからが筆者的には本番。

というのも、本作では裏ビジネスの本拠地を経営するだけではなく、その裏ビジネスをカモフラージュするための「表のビジネス」も経営する必要があるのです! 「合法」と「非合法」をどっちも一気に経営するシミュレーションゲームなんて、なんと恐ろしい欲張りっぷりなんでしょうか……。しかし、よくよく思い出してみれば、マンガや映画などに登場する裏ビジネスは、往々にして「表の顔」として普通のビジネスを行っているもの。そんなリアルすぎる部分までしっかりとシミュレーションできてしまうというのが本作の最大の特徴なのです。

 

 

表のビジネスは、チュートリアルにて少佐のもとで立て直したフライドチキンショップを始め、コインランドリーやドーナツショップなどのラインアップが用意されています。表のビジネスは、必要な設備を設置することで営業を始められるのですが、あくまでもコインランドリーやフライドチキンショップは表の顔。実はこの表のビジネスの場でも、こっそりと裏のビジネスで作られたアブない生産物を販売しているのです。これもまた、なにやら映画などで観たことがある感じの光景ですね。

 

 

さらに本作には、大学やガンショップに納品することでもらえるスキルポイントで新たな設備などをアンロックできる要素や、敵対組織からの襲撃への対策としてトラップを仕掛けたりなどなど、ただのシミュレーションゲームでは味わえない要素がたっぷりと盛り込まれています。やれることが多く、正直なところやや複雑さのある本作ではありますが、ほかのゲームでは味わえない体験ができる点は非常に大きな魅力と言えるのではないでしょうか。

 

 

「Definitely Not Fried Chicken」で映画のような危険なビジネス体験を味わおう!


というわけで、「Definitely Not Fried Chicken」をご紹介しました。

 

危険な裏のビジネスを体験できるということで人を選ぶテーマではありますが、好きな人はたまらないぐらいハマってしまうのではないかという「Definitely Not Fried Chicken」。シミュレーションゲーム好きの人はもちろん、クライムものの映画好きの方にも遊んでいただきたいタイトルです。気になる方はぜひ、チェックしてみてください。

百壁ネロ

百壁ネロ

ゲーム買いすぎちゃう系ライター。現在積みゲー300本以上。小説家でもあります。著作は「轟運探偵の超然たる事件簿 探偵全滅館殺人事件」(星海社)、「ゆびさき怪談 一四〇字の怖い話」(PHP研究所)など。
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